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宿題

朝。



成一はいつも通り教室に居る。



美鈴は教室の窓側で優里と話している。



その優里の表情はかなり機嫌が良さそうだ。



多分優人から誕生日プレゼントを貰えた事が嬉しいのだろう。



「良かったな、早くプレゼント渡して」



成一は優里の様子を見ながら言う。



「あぁ、朝早く起きて優里の家に行った甲斐があったよ」



優人は朝早く優里の家に行ってプレゼントを渡したようだ。



この三日間は大変だった。


成一も優里に問い詰められた。



「ねぇ、本当は知ってるんでしょ?教えてよ」



普段、落ち着いた優里とは違う一面だった。



図星を突かれた成一は言いそうになったが何とか知らないフリを通した。



何はともあれ無事に三日間を終えられて良かったものだ。



成一と美鈴はついさっき優人からそれを聞いて一安心した。



「そう言えば花山さんの両親、どんな感じだったんだ?」



朝行ったと言う事は両親も居たはずだ。


成一はふとどういう両親なのか気になった。



「あぁとても良い両親だったよ、今朝アポなしで行ったのに嫌な顔1つしなかったし」



「そうか確かに人が良さそうだな」



「だろ?、それに朝食までごちそうになったよ」



「良い両親だな…」



成一は思わず自分の両親を思い出してしまう。



「あ!、悪いこんな話ししちまって…」



優人は成一の両親の事情を知っているため咄嗟に謝った。



「気にすんな、聞いたのはオレだし」



成一は微笑みながらそう言った。



「あぁ、悪いな」



優人がこう言った所でチャイムが鳴った。



「本当に気にすんなよ?」



優人の事だ、気にしているに違いない。



優人は手で軽く会釈して席に戻った。




昼休みになった。成一は美鈴が作った弁当を受け取り、蓋を開けた。



「今日はおにぎりか、中身は?」



「鮭と梅だよ」



成一はそれを聞いて、おにぎりを口に運んだ。



「サンキュー旨いぜ」



成一が食べているのは梅おにぎりだ。



「うん、ありがとう!」



美鈴は嬉しそうにそう言った。



成一は食べる度に毎回美鈴に美味しいと言いながら食べている。



ここまで美味しいと言われると作った甲斐があるものだ。



昼食は食べ終わったが、まだ時間が10分残っているため、雑談をした。



「優里ちゃん、今朝ね、優人君から貰ったプレゼントの話しをずっとしてたよ」


美鈴は今朝の事を思い出して微笑みながらそう言った。


「はは、だろうな、何となく此方からも見えてたよ」


成一は今朝の優里の様子を思い出して、思わず笑ってしまった。




ここで昼休み終了のチャイムが鳴った。






放課後の帰り道。言ってなかったが、成一と美鈴、優人と優里は部活には入っていない。



この前までかなり暑かったが、外はすっかり秋になっている。



4人はたわいもない話をしながら分かれ道に着いて。別れた。




右側の道と左側の道がある。



成一と美鈴の家は右側、優人と優里の家は左側にある。



成一は美鈴と話しながら家に帰った。



成一は家に帰ってきて、コタツテーブルで美鈴と宿題をやり始めた。



少し時間が立つ。20分ぐらい集中力してやって居ただろう。



「喉乾いたから麦茶淹れて来るね、成一は?」



「あぁじゃあ頼む」



途中で美鈴が飲み物持ってくると言いキッチンに行った。



「…って、ちょっと待て!」


成一は遅れて3秒後にハッとなった、大急ぎでキッチンに向かったが時既に遅し、


美鈴が麦茶の容器を持ち上げた時だった。



手を滑らせて麦茶の容器が落下していく。



成一は脊髄反射かと思うほどの速さでヘッドを決めたがそれが不幸に働いた。



成一の頭に容器の麦茶がかかり、最後に容器が頭に直撃した。



「……」



「ご、ごめん!」



美鈴から出た言葉はそうだが、今の成一の状況にどうしても笑いが堪えられないのか肩が少し震えている。



「おい…」



成一は思わず顔を上げて美鈴にジト目にを向けたがその成一の顔が何故か真っ赤になった。



「あ…」



そう、美鈴のスカートの中が見えてしまったようだ。


「ちょっと!、何処見てるの!」



美鈴は直ぐに気付き、慌てて隠した。顔がトマトのように、真っ赤だ。因みに色はシークレット。




「……」



「……」



二人とも顔を赤くしながら5秒ぐらい沈黙になった。


「と、取り合えず床片付けるか!」



先に口を開いたのは成一だ。


わざわざ声音を高くしているところを見ると、話を逸らそうとしているのは明白だ。



直ぐに雑巾を取りに行った。




片付けが一段落した所で宿題の続きをやった。もうあらかた済んでいて数分も立たない内に終わった。



さっきまでは先程の事故で微妙に気まずかったが。いつの間にか元の雰囲気だ。



「さて、終わったな」



「うん、結構簡単だったね」


「そうだな」



成一と美鈴に取っては簡単な宿題だったようだ。



二人は元々物覚えが良いので当然と言えば当然かも知れない。




美鈴はキッチンで夕食を作り始めた。



時間も夕方で二人とも空腹感を感じていた。



成一は絨毯が引いてある床に座っている。



何故か料理ではテキパキとしてミスをしない。



どうも大事な場面だと一時的に大丈夫になるようだ。


「出来たよ!」



「あぁ、サンキュー!」



美鈴が作ったのは卵焼きに大根の味噌汁とサンマだった。



「和食か」



「うん」



「じゃあ、頂きます」



成一は美味しく美鈴が作った和食を食べた。



作った美鈴の表情はやはり嬉しそうだった。



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