ある日の土曜日
時間がかかりました。
活動報告で書いた通り、少し短めになっています。
今日は土曜日。
成一は特にやる事も無く家のテーブルで椅子に座りながら勉強をしていた。
勉強してから30分くらい立つだろうか。
「成一!」
玄関から元気良い声が聞こえた。
「美鈴」
「ちょっと暇だから成一と話そうと思って」
聞きもしないのに美鈴がそう言ったため、成一は勉強を止めて美鈴と話すことにした。
こう言う事は別に珍しくはない。
話の内容は雑談の類いに入るだろう。些細な事だ。
「紅葉が綺麗になってきたね」
成一の家の窓から見える紅葉を見ながら美鈴は言う。
「おう、そうだな」
とか。
「最近物価上がったよな」
「そうだね、数年前に比べると…」
と言った感じの会話をした。
美鈴と色々話している内に時間は夕方の五時を過ぎた。
「何か腹減ったな」
「そうだね」
流石にこの時間まで話せば腹も減る。
成一は空腹感を感じて冷蔵庫を覗いたが中にはほぼ、食材は無かった。
美鈴も隣で覗いて来たが何も入ってない冷蔵庫を見てガッカリとした様子だ。
途端に成一と美鈴の腹の虫が鳴った。
美鈴は成一の方を見て、「お腹空いたから早くスーパーに行こうよ」と言いたげな顔をしている。
「な、何か買いに行こうか」
美鈴の顔を見て成一は遠慮がちにそう言うと。
「うん!、行こう!」
美鈴はかなり元気良く答えた。
成一は美鈴と雑談をしながらスーパーに行く道を歩いている。
外はちょっと冷たい風が吹いている。もう冬も近い。
「さっきも似たような事言ったけどだんだん寒くなってきたな」
「そうだね、この前まで結構暑かったのに」
美鈴はちょっと寒そうにしている。
成一は迷わず美鈴の手を繋いだ。
「え?」
「この方が温かいだろ?」
成一は当然のようにそう言った。
「…うん」
美鈴はドキッとしたが迷わず握り返した。
成一の手は温かい。冷えた手が温まった。
美鈴と話している内にスーパーに着いた。
(何買ってくかな…取り合えずなるべく安くて栄養がある物を2、3日分適当に買ってくか)
成一がそう思っていると。
「成一、こっちの方が安いよ!」
と言ってかごに入れて来たのはモヤシだった。
毎回スーパーに来る度に大概美鈴が選ぶ。
結局この日もほとんど美鈴が選んで2、3日分程度食材を買って帰った。
因みに、美鈴の家も食材が尽きていたため、成一の手荷物には美鈴の家の食材も含まれている。
言ってなかったが成一と美鈴はお互いの家のやりくりを協力しながら生活をしている。
成一と美鈴は家庭的に特別生活が貧しい訳ではないが、自然と安い物や得する物を選ぶ事が多い。
庶民の性だろうか。
成一の家に帰ってから美鈴は早速調理を始めた。
(今日はサンマ焼いて、味噌汁で良いかな)
美鈴はそう考えると手際良くサンマを焼き始め、味噌汁も作り始めた。
美鈴自身、ちょっとおっちょこちょいだが大事な場面の時は不思議と大丈夫だ。
20分くらいして料理が完成した。
「サンマか」
「うん!、今時期だからね」
美鈴は笑顔でそう言って米をよそり始めた。
スーパーに行く前に炊いた物だ。
成一にはご飯を大盛りによそって、美鈴も大盛りにした。
この年頃の女子なら体重を気にしそうなものだが美鈴自身、ぜんぜんと言って良い程気にしていない。
とは言っても太っているどころかかなり痩せている。
それもまた不思議だ。
成一は美鈴が作った料理を食べている。
サンマと味噌汁だ。
「サンキュ、旨いぜ」
成一はシンプルにそう言った。
「うん、ありがとう!」
いつも聞いている言葉だが美鈴は嬉しかった。
目の前の成一は言葉では毎回シンプルだが毎回必ず美味しそうに自分が作った料理を食べてくれる。
美鈴はそのたびに嬉しい気持ちになる。
美鈴も再び料理に視線を戻して食べ始めた。
その顔はやはり嬉しそうだ。




