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17~18-3話 新たな継承者


 魔力の躍動。

「全軍に告ぐ、フォーデン盟主は打ち取った。


 この刻をもって、自由都市デンバザールは崩壊。


 そして宣言しよう、この、フィリップ・ドーゼン・グリームランドが、新たな黄金の継承者となった」


 魔力を通じて、戦いの終結を、広域に轟かせた。


 最後の魔力が潰えた。待っているのは魔力欠乏症。


 しかし王者は地に伏せることは無かった。

 王者を支えるは、王者の右手。


「よくやった、フィリップ。よく最後まで立った」


 長年の相棒が新しき継承者を支えた。


 王者は決して倒れない。



 数日が経ち、旧自由都市デンバザール、首都コタダブン都庁にて、瓦礫で埋め尽くされている盟主室に円卓が新たに置かれた。

 そして円卓を囲む五者。


「皆と同じ、新たに選ばれた黄金の継承者にして、先日前王が譲位し、グリムランド王国国王となったフィリップ・ドーゼンだ」


 円卓を囲む者の一人、フィリップ・ドーゼン・グリームランド。

 黄金の継承者に至った事により、父、グリムランド王国前国王より、その位を授かった。


「俺と黒ババァも新参者だ、仲良くしようぜフィリップ」

「目ざわりな陰湿ジジイを消してくれて感謝するよ坊や。

 

 …おい海の小僧、誰がババアだぶっ殺すぞ」


 フィリップより一回り程度の青年、良く焼けた黒い肌に、王とは思えない、時代がかった汚れが目立つ、海の荒くれ者の頂点に立つ男、イガースティ・ワヤ・バンバン・ライ。

 深きものが蔓延る、リバの海を征する海の覇者、海洋都市クタランティスの”提督キャプテン”。

 

 男と対称に、黒いローブでその全身を身に纏い、そのローブでさえ隠し切れない魔物の一対の角、禍々しい尾を靡かせる、”見た目”は妙齢の女性、アシサト・オショアラ。

 リバ大陸南部、ニュー・パプラの”黒女王”。希代の黒魔女であり魔族。亜人の中でも一際迫害を受け続けている魔族を束ねる長にして、リバ大陸南部を支配する女王。


 2名は比較的近年、黄金の継承者に選ばれた者だ。


「古代よりの約定、その責務をともに果たそうぞ、若き継承者よ」


 全員を白い毛で覆われている、巨神の如く、獅子の顔を持つ亜人、レオネル・ガルシア。

 リバ大陸北部を広範囲に支配する獣王国家マーレオネの国王にして、古代より続く百獣大帝ガルシアの末裔。獣王国家は血統ではなく、力を持つものを頂点とする弱肉強食の国家。レオネル王は力をもって王に至った百獣の王。


 そして最後は、ウェスト・ドラガンの英雄王、ドラガン・ムルジャ・11世。



「挨拶は程々にしようや、取り分の話をしないか」


 円卓に緊張が走った。


「グリムランド王国は、旧デンバザール首都及び、アバド皇国に接する北部、そして中立都市を結ぶ東部の主権を主張する」


 王たちは、青年の主張に各々驚く。 


「随分と欲張りだねフィリップ、俺は西の海へアクセスできる西海岸を貰えればそれで良いぜ」

「北は好きにしな、アタイらパプラは南を頂くよ」


 百獣の王は、少し困惑した顔を示した。

「若き王よ、フィリップ、3つを求むとは剛毅な事だ。しかし、王となったばかりであろう、些か困難な道が訪れようぞ、北部は我らマーレオネが引き受けよう」


「心配はご無用、我らは優秀な臣民に支えられている、2つも3つも大した事ではない。それに、盟主を直に叩いた事を、小さく見積もって欲しくはないな」

 若き王は、襲名直後の外交の場であるにも関わらず、王らしく、堂々たる様を示した。


「それに、ここまで何も主張していないがドラガン王、今回の作戦の発案は貴殿主導の遠征部隊の成果だ、それなりに主張は通ると思うが」


 ドラガン王は、嵐の前の静けさの如く、一言も発していなかった。


「…遅れてしまい申し訳ない、フィリップ王、黄金の継承者にしてグリームランド王国国王即位、改めて祝辞を送ろう」


 ドラガン王は淡々と、王族らしい言葉を並べた。

 そして、ドラガン王の言葉に各位、言葉を無くした。


「我らウェスト・ドラガンは領土を求めない」

「なっ」

「はぁ?」

「…友よそれは」

「ドラガン王、それはどういうおつもりかな」


 外交の場、そして本作戦においてフィリップに次ぐ貢献者でもある国が、戦果を求めない。それは謙虚さではない、それは愚策だ。

 己の国を無欲として示しつけて、外交関係を軽んじる、回答でもあった。


「領土を求めないが、そうだな…分割案を提唱させて頂く。

 

 旧デンバザール中央にて中立地自由都市の設置、北部領土をマーレオネとグリームランドとの分割、西海岸全面をクタランティスへの配分、南部をパプラへの譲渡を望む。


 これが我らの案だ」


「それは…」

「そういう決着に持っていくつもりだけど、どういうつもりだい、ムルジャ」


「友よ、何を焦っている」

「…西か、ドラガン王」


 フィリップはドラガン王へ問いかけた。


「腹の探り合いをするつもりは無いが…知っている者もいるだろう、西の脅威は想定以上だ。


 我々は内部の安定を何よりも望んでいる。フォーデン家のように、誰が西と繋がっているかは分からん内は、外界への冒険もままならないものよ」


 円卓は静寂に包まれた。


「願わくば、今の継承者たちで、殺し合いする事無く、1000年、いや500年来のリバ統一が出来る事を望む」


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