0話 エピローグ
夜明け前、この国では暁とも呼ばれる時間帯。
それは突然、空から襲来した。
つい数時間前まで、一家で、ここで作業した。
いつか父のように、立派な業物を作ろうと、そう目指した場所。
その豪咆によって、大切な場所は炎に呑まれた。
それらは群で獲物を屠る。
それらにとって小さな獲物だろうと、確実に仕留める。
それと目が合った気がした。
空を舞う燃えカスのように消えるのだと覚悟した。
それは地に伏した。
頭部には巨大な剣が突き刺さっていた。
剣を抜き、背後の小さき命に振り向き問いかける。
『無事か少年』
この大陸の唯一の英雄。
◆
襲来は曙の刻を過ぎた時にはもう終わった。
日の明かりに照らされる小さき集落は灰と化している。
大剣を背負う英雄に、小さき命は問いかける。
『あなたみたいな英雄になれますか』
時は過ぎても、あの日の事を忘れる日はない。
それらの炎、顎、翼、豪咆。
故郷を離れ、大陸の中心に位置する中立都市『タナバン』、この都市では、戦闘職・術師・職人・技術者・その他などの育成を目的とした開拓者訓練ギルド「ソフェルディ開拓団」が設置されている。
リバ大陸の各国からの支援を受け、優秀な人材の育成を目指し、訓練終了後に各国・各ギルドへの派遣または、開拓者や冒険者として名を残す人もいる。
入団にあたっては適正検査を受け、適正な訓練を受けることになっている。
もちろん希望は戦闘職だ。あの日の英雄のようになると誓い、国を出た。
「ええハイジ入団候補生、事前測定診断の結果が出ました、ええと、あ~、魔力量は1、戦闘職は向いてないねこれ……平均の5くらいはないと戦闘は厳しいね、術師ならもっといるし」
「え」
「あっ君日出國出身ではないか、職人コースならどうだろうか。座学は、えっと優秀だね、文官もどうだろうか。最近後方部隊が足りなくてね。あでも君の魔力操作技術も侮れないね。技術部とかも…あえて特殊部隊コースとか……どうする?」
「…」
現実は甘くはなかった。




