第3話 これより住まう所
望美「え、ちょっと待って?私たちシェアハウス制なの!?」
瑞穂「なんだ、聞いてなかったのか?村が空家を何軒か持ってるから、そこに住んでもらったほうがいいわけだ。」
素朗「それに、今使えそうな家が一軒しかないんだ。ま、そんなわけなんだよ。ホラ、早く行こ!」
…あばら屋でいいから1人で暮らしたかった…。
まあ、しかたない…。人口が少ないと投資できる金額も減るからな…。…なんで小4がそんな事知ってるかって?祖父がこの手の話が好きだからだ。
望美「いやー、シェアハウスできるなんて思わなかったよ。絶対楽しいよね!」
疾照「私もそんな事想像できませんよ。」
和城「……。」
あ、この和城ってやつ、すごく嫌がってるな…。
…わかるぞ、その気持ち…。…こいつとなら仲良くできるか…?
幸伶「うわッ!川にゲンゴロウがいる!!」
…幸伶とかいうやつとは仲良くできそうにない。軽薄な人間は簡単に裏切るからな。
素朗「ここが家だよ。」
幾斗「いい家DARO!」
瑞穂「やたら昭和臭いが、これでもリフォームはしてあるんだ。我慢してくれ。」
望美「うわー!大きい家!私ん家の1.125倍はあるよ!」
1.125倍はほとんど変わらんだろ…。っと、心の中でつっこんでおいた…。話す勇気は俺にない。
和城「庭付きか。手入れもしないといけないのか?」
素朗「そうなるね。放置しておくと草ボーボーになるし、3年くらい前には結構大きなハチの巣ができたこともあったし。」
望美「ええ…。怖い…。」
…俺もハチは苦手だ…。根拠のない恐怖がまとわりつく感じがする…。
幸伶「あれ、英春くんハチが怖かったりする?」
英春「……。消えろ。」
幸伶「ごめんって!」
素朗「ま、まあ、話を戻そう。ほら、なかに入ってみて。」
廊下は、恐らく元のレトロさを残した少し暗めの雰囲気で、壁は土壁風になっている。居間などの部屋は畳敷きで、床の間さえある。
幸伶「すごい!テレビが2009年製だ!」
瑞穂「そこをつっこむなあああああ!」
和城「別にいいだろ使えるんだから…。」
疾照「ですよね。うわ、縁側がありますよ!」
疾照は居間の戸を開けて庭に出ていった。
縁側か…。父方の祖父母の家にそれっぽいものがあったが、実物は初めて見た。
というか、疾照は話がうまいのだろう。さりげなく話題をすり替えた。部屋に残っているメンバーは和室か洋室、どちらが良いのか議論している。
… ど う い う こ っ ち ゃ …。
素朗「それじゃあ、あとはみんなで部屋割りを決めてね。この家の中のものは自由に使っていいし、みんなが事前に送ってくれた荷物は庭の倉庫のなかにあるよ。」
瑞穂「4日後に学校が始まるからな〜。」
幾斗「じゃあな!SHINUNAYO!」
幸伶「え、僕ら死ぬ可能性があるの…?」
幾斗「USO.USO冗談だ。じゃあな。」
そう言い残して、3人衆はそそくさと帰り、家には俺たち5人だけが残った。
幸伶「うーん、実際に部屋を見てみないと、決められないよね…。」
望美「え、でもさ、あの子たちが言ってた部屋って、個人の部屋ってことでしょ?そんなところあったっけ。」
疾照「さっきの廊下に階段がありましたよ。上じゃないですか?」
幸伶「よーし、2階に行こう!」
パッと見ただけでもかなりの広さがありそうな家だ。部屋数もそれなりにはあるのだろう…。
というか、2階だと家具を持ち出すのが面倒だな。
バラして持っていくことになるのだろうが、いかんせん時間がかかる。
和城「結構急な階段だな…。」
疾照「昭和様式の昔ながらなお家ですし、仕方がないですよ。」
幸伶「うわー、2階も部屋が多いなあ…。」
2階の廊下は1階と比べて明るい。それもそのはず。表からは見えなかったがベランダがあるようだ。
そこへ行くための出入り口から光が差し込んでる。
幸伶「1、2、3…。あ、5部屋あるよ。」
望美「おおー!ちょうどいいね。」
幸伶「それじゃあ、部屋の中でも観させてもらいますかー!」
そのとき、俺は忘れていたことを思い出した。そして階段を降りようとしたときに、和城に止められた。
和城「おい英春。なんで降りる。今から大事な部屋割りを決めるんだぞ。」
英春「…下の部屋を見てからだ。それに、俺はどこでもいい。好きに決めてろ。」
そう言い残し、俺は階段を下った。
上からはあの4人の話し声が聞こえてきた。どうやら、やつらも下を見るらしい…。…ついてくんなよ…。
まあ、いいか。俺が見たいのは、居間以外の空き部屋だけだからな…。




