139.ペンダント
「同じペンダント、良いですね。私のは中央の紫水晶の周りにダイヤが並んで間にルビーが入っていますが、アベルは?」
「アベルはルビーの所をエメラルド、かしら?」
ガイが閃いた顔をした。
「ああ、瞳の色だったんですね、このルビーは」
「そうそう、ピンクトパーズでも良かったんだけどルビーの色にしたの。紫水晶は私の色ね。だからルーカスは、サファイヤ。ねえ、このダイヤ型の形は気に入っている?」
「もちろんです」
「じゃあデザインはこのままで色違いで良いわね。ガイはまた希望を考えてね」
ガイは少し考えたが意外に早く答えた。
「・・・でしたら、お籠りをお願いしても良いですか?」
「それはダメよ、だって定着前の予定にお籠りを考えてあるもの」
「え?そうなんですか?でしたら、そのお籠りが3日間なら一週間にして欲しいです。アレクシウス様とフローリア様がラナダからスタニスラガに移動する日数です」
シルフィーナが困った顔をした。
「ガイを一週間入れたままにしたら、また立てなくなっちゃうわ」
「お支えします。立てるようになるまで!」
呆れたシルフィーナはため息をついて
「分かったわ。お兄様とお姉様が移動の時ね」
と答えた。
その日の夜、二柱は意外にも、いや、予想通りか、何の邪魔も入らず健やかに眠れた。
「う~ん・・・がぁいぃ・・・」
「はい、ガイです。お目覚めですか?」
ガイの首筋にいつものように接吻を何度も落とす。
「この屋敷は静かですね。私も先ほどまで眠っていました」
ガイが辺りをきょろきょろしながら言った。
「・・・せっぷんして~、ガイィ」
まだ目の覚め切っていない女神がおねだりをしたら、間髪入れずに唇が降って来る。
たっぷりと寝起きにじゃれた後に
「動くの嫌。ガイ、抱っこしたまま屋敷の探検しましょうよ」
「承知しました」
そう言うとシルフィーナを横抱きにして、ドアも壁も関係なしにグルグルと3階フロアを見て回った。
どうやら3階は夫婦の寝室以外は夫婦それぞれ私的なクローゼット部屋や居間ぐらいしか使われていないようで、家具のある部屋には家具に布が掛けられていて、主寝室の隣には大きな風呂場があったが、これは夫婦専用なのだろう。
「私が産まれたら、3階はほとんど私の物になりそうね」
「ふふふ、全部使ったら子供の足では大変な広さですよ」
などと話しながら4階に向かう。
4階は使用人の部屋のようで、グルグル回ったら、使われている部屋もあるが、たくさんある部屋は空き部屋も多かった。
ただ一つ一つの部屋には風呂場は無いが、フロアの端に使用人専用と思われる大浴場があるのには驚いた。
なかなか使用人は恵まれた環境で仕事が出来るようだと思った。
「ここの使用人って、ひょっとしたら屋敷の大きさの割に少ないのかしら?」




