表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/196

引越し

 引っ越すことが決まってからは早かった。


 しょーちゃんは即次の住まいを決めただけでなく、私の引越しも手伝うと言ってくれた。更に、これまで使っていたもので私が使えそうなものも残してくれるそうだ。

 そうまでされては私ものんびりしていられない。そもそも長びかせて良いことはないのだから急ぐのは当たり前なのだが。

 要さんのところに転がり込んだとしても、生活の拠点を完全にうつさない限り、モノを取りにあの部屋に行かないとならないし、解約するまで家賃はかかるし、契約というつながりが残っているうちは、結ばれてしまった縁を完全に切ることもできない。

 もとより心理的な恐怖に起因した騒動だから、心からもうあの部屋とは関係が無いと思える状況にならないと意味がない。


 とにかく一気に荷造りをし、今住んでいるマンションの解約の手続きも進めた。

 学校へは通いながら、必要が生じた際は部屋に戻って荷物などを回収し要さんの家に持っていく。

 怖いけど一瞬なら大丈夫。だけど暗い時間になってしまったり、家での作業に時間がかかりそうな時などは要さんも立ち会ってくれた。

 迷惑をかけてばっかりだ。情けなすぎて本当に自分が嫌になるが、そこを我慢しても無理しても結局もっと要さんに迷惑をかけてしまうことになりそうなので、素直に甘えながら段取りを進めていった。



 すべての作業や段取りは駆け足で、慌ただしく忙しかったが、引っ越しが完了するまでの間はその目の回るような忙しさに身を委ねていれば良く、恐怖を感じる暇もなかった。




 引っ越しは要さんやその友だち、要さんとしょーちゃんのお店の人も手伝ってくれて、軽トラやら人工やらかなりのマンパワーで作業してくれたおかげで引越自体は一日かからずに終えることができた。費用もほとんどかからなくてありがたかった。


 持って行っても置場の無い家具や家電は、買ったばかりのものが多くもったいないが処分した。

 一部冷蔵庫や電子レンジなど、私はこれから要さんとシェアすることになるため必要の無い家電なんかは、逆にこれまでの生活でシェアしていてこの後買い足さなきゃいけなくなるしょーちゃんが引き取ってくれた。

 そんな状況もあって、しょーちゃんも喜んでくれたことが、私の方に残っていた申し訳なさを軽減してくれた。しょーちゃんはそこまで考えて喜んでくれているのだとしたら、やっぱり申し訳なくなってしまうのだけれど、それを考え出したら切りがないので、素直に「私も少しは役に立てた」と思うことにする。



 とにかくいろいろな人に掛けた迷惑、受けた恩は後で返す。

 今はまず私自身がちゃんとリスタートを切ることが、目先でできるみんなの貢献に報いることになるはずだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ