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もしもゲームのライバルキャラが全員転生者だったら~未プレイ主人公と既プレイ転生者の鬱ゲー攻略~  作者: 紗沙
学園編

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第71話 その刀は天さえも斬り伏せる

災害は、前触れなく訪れる。

それはこれまでの幸せな、平穏な日々を全て終わらせる。

人には、どうすることもできない。


前世では、私は災害にあったことがない。

恐ろしい台風や、大きな地震にみまわれたことはない。

これはあくまでもテレビで聞いた話だ。


けれど、災害というのはこういうものなのだろう。


彼はたった数分で、エヴァを圧倒した。

エヴァのオーバーライトの瞬間移動も、特殊な魔法も、手も足も出なかった。

まともな傷を負うことすらなく、彼は私たち姉妹を圧倒した。


目の前で、エヴァが傷ついていくのを見せられた。

癒すことも助けることもできず、ただ無力だった。

だからこそ、リフィルが助けに来てくれて、安堵した。けれど。


「なにをしていると聞いた。魔王【天】」


魔王【天】。

あまりにも強い彼の正体を聞いて、私は言葉を失う。

ジン先生から聞いてはいたが、聞くのと見るのでは全然違う。


同じ魔王であるクロムを倒すのには、数多くの助けがあった。

私たちにリフィル、先生たち。

エヴァの魔法が効果的だったのも大きいし、謎の光の騎士も手助けしてくれた。


それと同じ魔王に、リフィル一人。

戦力としては、足りない。


「久しいなエルフの娘。10年ぶりか」

「私はリフィル。お嬢さまの専属侍女です」

「ふむ。あのときは名乗ってなかったな……俺はヒビキだ」


10年.それは私とリフィルが出会ってからの期間。

リフィルは魔王【天】、ヒビキと10年前に戦っている?


私の疑問をよそに、リフィルは駆けだした。

エヴァよりも速い。一瞬でテスタロッサを展開し、ストリームを振り下ろす。

その剣を、ヒビキは普刃で受け止めた。


(ダメ!不用意に斬りかかっちゃ!)


エヴァはヒビキと剣を交えたときに、オーバーライトの力で逃げた。

瞬間移動を使用した、最速の回避。

にもかかわらず、エヴァは全身を浅く斬られた。


血の海に沈む最悪の光景を予想して、恐る恐るリフィルを見る。

しかし、リフィルの体が傷つくことはなかった。

目を凝らしてみてみると、風がリフィルの周りを囲んでいる。


あの風で、ヒビキの斬撃を防いでいるのだろう。

何回かヒビキと剣を交えているが、返り討ちにあっている様子はない。

とりあえずは一安心。


「くっ……」


しかし、その剣での戦いはヒビキが押しているように見える。

涼しい顔をしているヒビキに対して、リフィルは苦しそうな表情だ。


「どうした?10年前の方がまだ出来たぞ?まあ、種はもう割れている。あの娘っ子が何かをしたのだろう」

「……だとしたら?」

「決まっている。その不可解な力を斬る」

「させるものか!」


ヒビキの言う娘っ子とは私のことだろう。

私が、リフィルに何かをしている?


リフィルの回復魔法が効いてきたのか、腕の痛みが和らぐ。

落ち着いて、2人の戦いを観察することが出来そうだ。

本当ならば、リフィルに手を貸したい。けれど悔しいが、私では力不足だ。


「本気を出したらどうだ?」

「……っ!」


力負けしたリフィルが剣を弾かれる。

その隙を、ヒビキが見逃すわけがない。風の力で体を逃がしたものの、浅く斬られてしまった。

ヒビキから距離を取り、リフィルは私の横まで飛んでくる。


「リフィル!」


慌てて近づき、治癒魔法をかける。

まだ腕は痛むものの、それを堪えてかけ続ける。


「今のままでは普刃で十分すぎるほどだな。弱すぎる」


遠くでこちらを見ているヒビキは呆れたように吐き捨てた。

少しづつこちらに歩いてくる。それが、死神のように見えた。


「お嬢さま」


魔法をかける手を急に握られる。

リフィルの方を見ると、彼女は真剣な瞳で私を見ていた。


「信じてください。あなたの騎士を。必ずあなたを護ってみせます」


そう言って、まだ傷が治りきってもいないのにリフィルは立ち上がる。

リフィルが、信じてくれと言った。

それなら自分にできることは、信じることだけ。


(大丈夫。リフィルは勝てる。負けない)

「10年前の続きでもするか?」


挑発的な一言をヒビキが告げる。

それに対するリフィルからの返答はない。

けれど彼女は息を吐いて、蒼い瞳を輝かせた。


「おはよう、『ストリーム』」


エヴァ、リフィル、私の体の周りを風が包む。

リフィルの周りの風が厚みを増し、暴風と化す。

ストリームの刀剣が緑に輝き、それに呼応して空の雲が厚く、黒くなる。


雨が降り注ぎ、風が強くなる。

風が砂塵を巻き上げ、嵐となる。

テスタロッサや術者だけでなく、周りに影響を与える。


「ほう、テスタロッサをカタストロフ級にまで上げたか」


雨に打たれながら、ヒビキは感心したように声を上げた。

風の力を纏ったリフィルは、ヒビキに突撃。

テスタロッサの力を最大まで解放したリフィルの攻撃は速く、そして鋭い。


その攻撃に合わせて、ヒビキは落ちてくる雷を避けながら前進。

普刃でリフィルの剣を、あっさりと受け止めた。

最大まで強化された、あのリフィルの剣を。


「天候を変えるテスタロッサか。カタストロフとしても上位だろう。だが、それでは俺は止まらんぞ」


体をかがめ、刀の角度を変え、ヒビキは横なぎにリフィルの胴体を切断しようとする。

その斬撃を、リフィルは防御魔法で防いだ。けれど防ぎきれない。

障壁にヒビがはいる。砕ければ、リフィルは負ける。


障壁は耐え切れずに砕け散った。

だがその瞬間に、ヒビキを雷が打った。


それは、自然が偶然私たちに味方してくれた一撃。

テスタロッサの力でも、魔法で作り出したものでもない。

純粋な災害の攻撃。


「今のは……効いたぞ」


ヒビキの体に電撃が走っている。

しかしその状態でも、ヒビキは直立不動。むしろ状況を楽しんでいるような雰囲気だ。

一方で、リフィルは目を見開き、ヒビキを見つめている。


「なぜ……雷ですよ!?打たれて平然としているなんて――」

「人間は災害には勝てない」


驚き、叫ぶリフィルに対し、ヒビキは雷に打たれたと思えないほど冷静に答える。

左手を持ち上げ、握りしめる。


「しかし、魔王は勝てる。それだけだ」


圧倒的な力の差を見せつけられる。

誰が雷に打たれて平然としていられるだろうか。

私の知り合いの誰でも、できはしないだろう。


ヒビキは左手を脱力し、気だるげに空を見上げた。

雨で濡れた髪で、ヒビキの瞳は見えない。


「それにしても……邪魔だな」


何気なくつぶやいた一言。

彼をじっと見ていると、ヒビキは右手の刀を左に持ってくる。

そのまま力の限りに振り上げた。


まるで空を斬るような、一閃。


次の瞬間、飛翔した斬撃は雲にあたる。

それは雲を裂き、雨を、風を、彼方へと吹き飛ばす。


先ほどの悪天候はどこへやら、空には雲一つなく、太陽が輝いていた。


「やはり、天気は晴れがいい」


目の前で天候すら斬った男は、すがすがしい笑みを浮かべる。

それがどれだけ異常な行動であるのか、彼は理解すらしていないのだろう。


ヒビキが右手に持つ刀に、ひびが入る。

その日々は次第に大きくなり、彼の持つ普刃は粉々に砕け散ってしまった。

テスタロッサが、自壊する。見たこともない光景に、唖然とした。


ヒビキはその刀を投げ捨て、空間からまた普刃を取り出した。


(あぁ……この人にとっては、テスタロッサは使い捨てなんだ……そのくらい、強いんだ)

「次は何をする?噴火でもさせるか?津波でも起こすか?好きにするがいい。そのすべてを、俺が斬り伏せてやろう」


ヒビキは挑発的な笑みを浮かべる。

ダメだ。この人は、止められない。


「ウリア!」


声に反応して振り返ると、ルナ達が駆け寄ってきていた。

彼女たちは私とエヴァを護るように前に出る。


「どけ、学生。俺は魔王【天】。すでに学んでいるだろう?ここで若い芽を摘むつもりはない」

「何が目的なの!?」

「そこにいる娘に用がある。だからどけ」

「断る!私達はウリアの友達だ!友達が危険にさらされているのに、黙って見ているわけにはいかない!」


ルナの言葉に、胸が熱くなる。

でも、だからこそ友達を巻き込みたくはない。


ふとヒビキを見ると、彼は目を見開いてルナを見つめていた。

彼はゆっくりと目を伏せる。


「……そうだな。友を思うその気持ちは素晴らしい」


ヒビキの様子が……少しおかしい。

そのことを不思議に思っていると。


「魔王……【天】」


後ろから、声が聞こえた。

首だけを動かしてみてみると、校舎の玄関口にレアさんが立っていた。


彼女は目を見開いて、ヒビキを見つめている。

その瞳は、なぜか揺れていた。


ヒビキの方に目を向けてみると、彼はレアさんを見て目を細めている。

その目が次第に見開かれる。


「貴様……まさか【緋色】か?」


ヒビキの声が、私の耳に届いた。


【ステータス】

名前:ヒビキ

称号:魔王【天】

魔法:F

武:EX

知:A

速:EX

技:F


※原作設定資料集より引用

※EXランクは一部の魔王のみ所持。SSSとは一線を画する


読んでいただきありがとうございます!


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