闘技場デビュー
ジマとユリは闘技場デビューすることになった。二人とも試合を見て触発されたのだ。
レベル制ではないため、対戦相手はプレイ時間の近い両者が戦うことになる。
「それじゃ、私から行ってくるねー」
そうして公開マッチに希望を出す。少し時間が経つとユリの対戦相手が決まったようだ。
ユリの対戦相手は、同じく女性の悪魔だった。
「私はユリ。貴女は?」
「そんなのはあたしに勝ったら、いくらでも教えてやるよ」
「そう、じゃあ何としても勝たないとね」
ジマは有り金全てをユリに賭けた。
「頼むぜ、なんとか勝ってくれよ」
ユリが負けるとは思えないが、相手の素性も分からないVRの世界だからこそ、心配にもなる。
試合開始直後、悪魔の専用武器である大鎌を振るってくる相手。だが、慣れたものと言わんばかりに、やすやすと攻撃を避けるユリ。
「さて、反撃といこうか」
接近して、打撃を打ち込む。ユリの攻撃は、素人が受けきれる程安易ではない。苦悶の表情を浮かべる相手。
「ユリ、そのままやっちまえ」
ジマの声が届いたか分からないが、ユリは迎撃体制である。
「ダークエンチャント」
ユリはそう囁くと、全身が黒いオーラに包まれる。相手はなんとか大鎌を構え直すが、ユリの後ろ回し蹴りが頭部を的確にとらえる。それだけで相手は失神し、試合終了となった。
「持ち金全部ユリに賭けといて良かったー。これしばらく稼がなくて済む」
どうやら相手選手は連勝中だったらしく、オッズも良い。持ち金が4倍になって返ってきた。
「ユリ、ナイスだ」
「ふふん、余裕だったのだー」
「次は俺が行ってくるから応援よろしくな」
ジマも公開マッチに申し込む。すると相手が決まったようで、闘技場のリングに転送される。
「さてと、誰が相手かな?」
なんと相手はエルフのクロキチだった。
「お久しぶりです」
「こちらこそお久しぶりです」
ジマの闘技場デビュー第一戦が始まろうとしている。相手はエルフ、遠距離勝負になったら勝ち目はない。カウントダウン3、2、1、0。一直線にクロキチに向かっていく。
一方のクロキチは
「ウォーターボール」
を三連続で放ってきた。それでも避けれる。間合いに入って、前蹴りを繰り出す。スタンプと言った相手を押すタイプの前蹴りではなく、スピアと呼ばれる相手の芯に突き刺さるような蹴りだ。
「ぐふっ」
クロキチの苦しそうな声が聞こえる。しかし痛覚は0に等しいので、呼吸が上手く出来ないと言ったところだろうか。魔法の無詠唱があるかもしれないと思って警戒したが、特に何もない。それならばと、縦の肘打ちと膝蹴りで止めをさす。
「よしっ!」
公開マッチ初勝利だ。闘技場のリングから転送されると、ユリも近寄ってくる。
「初勝利おめでとー!」
「ありがとう」
「全額ジマに賭けてたから、お財布ホクホクだよ」
「なんだ、ユリもか。俺もユリに全額賭けてたよ」
「んじゃこれでリアルマネーも増えるね」
ユリの言うとおり、これでリアルマネーに変換出来る。闘技場で勝った分の報酬もある。5万円以上儲けていることに気が付いた。
後から聞いた話だが、鬼とエルフの対決だったので、オッズが鬼不利の5倍にまで膨れ上がっていたらしい。ユリ信じてくれてありがとう。心の中で感謝するのだった。




