【9話改稿:貴女達と百年ぶりの祝賀会開催です!】
前回の一人称主人公表記から改稿してみたいとちょっとづつですが、弄り直し始めました。本来のシナリオは変わらない予定ですのでご容赦くださいますようお願いいたします。
泣き笑いで抱きついてきた二人がやっとのことでラリーから離れた。それでようやく三人揃ってなんとか立ち上り、さっきまでサギが横になっていた寝台に横に並んで腰をかけ直した。
ここまでは特にトラブルも無く順調に事が運んだ、しかしこれから先は誰にも当てが無い。とは言え、魔力を使って体力も消耗したところでみんなお腹が空いてきたことは確かのようだった。
「神殿の中にどこか食料庫があったはずです、探しましょう?」
「おう、そうじゃの、腹が減っては戦は出来ぬと申すモノ、まずは腹ごしらえからじゃな!」
今の神殿の状況では特に危険がなさそうだしラリーの事はこの際置いておいて、彼以外のお二方は何気に強いとにらんで三人手分けをして神殿の中を探索し始めた。
神殿内部には色々な部屋があって、武器や衣服や食料も見つかった。
どこも次元結界の中なので食料も取れたてのまま保存されていたし、武器や衣類も全くもって劣化していなかった。なんて便利な空間なのだろう、次元結界というものは!
三人ともそれぞれ戦利品を持ち寄って最上階の小部屋に集合する、小部屋の端にはちょうど台所の代わりの場所があり、持ち帰った食料を調理するのも全く問題は無かった。
調理当番はサギである、昔から旅先の野宿でも料理の腕を見込まれて、みんなの胃袋の管理はサギの役目であった。まあウギは剣士ならではで、包丁さばきは見事だがすべての食材が全部細切れになってしまう為、ハンバーグしか作れないことが判明した。結果、月に一回だけの当番となっていた、何事も加減というものが必要である。
パンに肉、野菜そしてワインと一連の食物は豊富にあった。このまま一年間、籠城出来るのでは……と言うほどの量であった。
サギは百年分ため込んでいた料理のレシピをまるで今日一日で一気に作るかのような勢いで進め、食卓にはずらーっと大量の料理が並ぶことと相成ったわけで……。
「どうすんだ、この量は……サギ!」
「うっ……、次元結界の中ですから余ってもどうせ腐りませんから、明日も明後日も食べられますし、少ないよりはいいでしょ! ……まあ、作りすぎは認めますけど……」
「ラリーも許してあげるのじゃの、なんせサギは……もう、うきうきして、鼻歌まじりに魔術料理までしてしまったのだからな! うれしいんじゃよ! みんなにまた会えて!」
――んっ、まあそうだな、久しぶりだし文句を言ってしまったサギには悪いことをしたな。
そうラリーは思うと思わずサギの頭に手を置いてワシャワシャと頭を撫でながら謝った。さらさらとした金色の髪の毛の心地よい手触りが彼の手に残った。
「サギ、わりーぃ言い過ぎた、ごめんな!」
「ラリー、悪いと思うなら、もっと頭を撫でてください……もっともっと、百年分たまってますから……!」
――また、こいつ涙目で笑いながら抱きついてくるんだよな、うるうるした碧眼の瞳で上目遣いに見つめられるだけでこっちは既に敗者だよ、まったく!
「妾も後で、撫でてもらいたいモノだの……頭以外をっん!」
――ってまた、「ほれほれ!」とウギは自慢の胸を突き出しながら俺に、にじり寄ってくるし。やっぱり楽しいなこいつら!
「さあ、じゃ――食べるか!」
「「はい!」」ふたりの弾むような返事が部屋に木霊した。
大量の料理を胃袋に押し込めながら、みんなで和気藹々とサギの作ってくれた料理に舌鼓をうつ。うまい料理とおいしいワイン! これさえあれば、後は昔話に花が咲くと言うモノだった。
大昔のことを昨日のように思い出し始めたラリーに、サギとウギはいろいろと話しを初めてくれた。