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健康茶静観中

物見台の上での飲み食いは少量であれば許される。

以前は干し肉と水くらいしか持ち込まなかったが、新しく兵士として入ってきた青年が、若い侍女さんから甘味をもらってくるので、お相伴に預かる事が多くなった。

焼き菓子は買うと高いから有り難いです。


「もらっておいてなんだが、甘いのばかりだと太りそうでな…。」


「マイルズさんは痩せてますから、贅肉足したくらいで丁度いいくらいです。」


最近組むことになった異国からきた元騎士マイルズ様は、初めて会った頃は病的に痩せていたがようやく肉が戻りはじめ、スラリとした体躯の美青年にもどりかけている。

祖国ではさぞかしモテモテだったんだろうなと邪推してしまったのだが、生憎寒い地方だったので肉多めの体格をしていたらしい。

リバウンドが怖いが、彼の口癖だ。


「オレももっと筋肉つけたいけど、いくら鍛えても筋肉つかないんですよねぇ。」


「そうか?細いって事はないとおもうんだが…。

そういえば、向こうにいた時に分隊長が鍛え過ぎても筋肉つかないって話してたな。」


「それじゃ、まだまだ鍛え方が足りないって事ですかね。」


朝わずかな時間の筋トレくらいじゃそこまで行かないか。


「…あれは、誰が見てもやり過ぎなんだろうがな。」


マイルズさんが遠くを眺めなから諦めたように呟く。


分隊長もしくは同僚さんとやらは鍛えすぎて痩せていたって事なんだろうか。


「二三日休むだけで構わないらしいから試してみたらどうだ?」


ダイエット中の友達に今日だけならいいじゃんといいながら足引っ張ろうとする友達のセリフみたいなんですが?


「一度手を抜くと甘えてしまうたちなんで、オレは試せませんねぇ。」


肉はつくかもしれないけど、そのまま落ちてしまいそうで難しい。


「そうか、体づくりはほどほどにするくらいでちょうどいいんだがな。


「そうですね、ほどほどで抑えときます。」


「…本当にな。」


とは言え最近は訓練中は筋トレくらいしかしてないから絶賛自堕落中なんだけど。

勇者達を相手に稽古なんかしてもつまんないしねぇ。

護衛騎士様達がオレなんか本気で相手にしてくれてないのは確かなんだ。


今やレベル60オーバーだからなぁ、オレみたいなスラム育ちじゃ瞬殺されちゃうんだろうなぁ。


「それはともかく騎士とは…貴族とはなんだと思う?」


「貴族様ですか、尊き存在でみだりに下々その領域に踏み込み煩わせてはいけない方々であると教えられてきましたが?」


そして、なにより恐れて敬うべきである。

話をしているマイルズ様は亡国の貴族様、みだりに心情に踏み込むような無粋はしてはならない。


「…今や帰るべき祖国もなし。そんな男でも貴族だと思うか?」


なんか難しい話がきたな。

でも大丈夫、こんな時にこその言葉がある。


「よくわかりませんが、スラム育ちはどこまでもスラム育ちのままです。」


まさに、鳶は鷹を生まないの答え、そして進化は飛躍せず歩くように緩慢に進む。


「スラム育ちが英雄になった話などもあるだろう。」


「あれらは、時代が違います。ここのスラム育ちが貴族様と同じ舞台上に立つような無粋な真似をする事はまずありません。」


そして同じ舞台にたつだけの道理がない。


「だから敬語を使うのか?」


「身分以前に、年下ですから敬語は当然だと思います。

親しき中にも礼儀あり。年上にタメ口を聞く度胸のある輩はおりません幼い頃から徹底的に身に覚えさせられますから。」


「…それはそれでスゴいが。」

「ええ、泣きわめいても許されませんでした。」


あの姐達にタメ口聞ける度胸はないから皆こうなっただけなんて話もあるが、なんにしても言葉づかい一つがその身を守る事は少なくない。


「過酷なんだな。」


「おかげ様で、年上には打算的や理由なく敬語ができるようにはなりました。」


おかげで就職先には困らずにすみました。



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