懐古
何年も人の行き来が途絶えた村にあの少年が訪れた。
同時期に村の娘たちが村の道端で座ったりおしゃべりをする時間が長くなる。
若いとは言うがエルフより古き者の村。百才二百才であるわけもなく、ゆるやかな時が流れる暮らしに暇を持て余していたのだろう。
彼の噂一色なのは仕方ないとして、なぜ傷んでしまったのかがわからない。
いや、わかっているのだ。
先代の勇者が異界への転移を可能にする魔法が原因である。
先代勇者に動向した者がもたらしたソレは《コミケの日》にだけ開かれる。
先代勇者は買い専門であったから、向こうの同種の人類を目当てに跳んだ。
同行するエルフは年々増えた。
そのうち、腐女子が蔓延しだしいまではそれが当たり前となりつつある。
ルッシェ…強く生きよ。
自身を強く持たねばこの地の穢れに汚染されるぞ。
まだ若き少年があの世界を知るにはまだ早い。
◇◇
「エルフの村だと…。」
「そうだ、いきたくないか?」
「「「「行きたい。」」」」
全員乗り気だ。流石に四名様ご案内~、て訳にはいかないか。
「いや、一応人里離れたエルフの村だから期待するなよ?」
エルフは森の民にして守護者。みだりに出入りするわけにも行かないはず。
どのみち、タイチさえ入村できればいいんだ、後はついでだし。
◇◇◇
「暇じゃからええぞ。」
「ありがとうございます。」
今の時期は農閑期らしく触ることがないそうだ。
とりあえずアポは取れた。
「いつ来るかだけ教えといてくれんかの?」
「今からじゃダメですか?」
「構わんが、さすがに魔力が足りんじゃろ。」
「え?二三回くらい余裕で往復できそうですけど…。」
俺がそう答えると、なんだか村長が不審物を見るような目を向ける。
…いや、別に変な事いってないはずなんだけど。
「…ならええわ、観光るもんもないが連れて来るがええ。」
確かに、自然以外はなんもない。特殊魔法陣もないから変哲もない普通の村。
変わったものといえば変なキノコしかないのは住民のお墨付き。
「ありがとうございます。早速迎えにいってきます。」
シュンッと、ルッシェが居なくなった部屋で村長は昔を思い出す。
「転移ってそんなにホイホイ出来るもんじゃったかのう。」
普通であれば、勇者教や国々がほうっておく訳がないのに、完全に放任されている少年。
ルッシェが遊び(・・・)に来る度に頭を悩ますのだ。




