昔話をしよう
それは遥か太古の物語。
もっとも古く長く居きた竜が見たままを若い竜に伝えただけのこと。
遥か昔、世界はいくつもの大陸にわかれ、竜の祖先たる恐竜種が全ての大陸を支配していたという。当時はまだ、人種はまだ姿もない。
千年を居きるエルフもドワーフもいなかった。
ただ、ひたすら恐竜種が競うように進化と衰退を繰り返した時代。
人種の感覚で何万年と続いた恐竜種はある時期に絶滅する。
空から他の陸地が落ちてきた。人種の言うところの大隕石の衝突である。
世界中にそのカケラが降り注ぎ空は常闇に支配された。
草木は枯れ、やがて冬でもないのに大地は氷で覆われ始めた。
食べ物がなくなったため、現代の竜種など比較にするのがおかしいくらいの巨大を誇った草食恐竜から倒れていったという。
肉食恐竜は倒れたそれらを糧にしばらくは生きた。
しかし、草食恐竜の数が激減すると続いて大型の肉食恐竜が飢えて倒れていった。
陸地で生き残ったのは始祖鳥の祖先となる小型のラプトル種と寒さに耐えたほ乳類。
竜種そのものが生まれたのは、ずっと過去になり人種が生まれてからの話し。
我々は恐竜の化石から人が生み出した想像上の生き物でしかなかった。
故に恐竜より強く恐ろしいのは人の想像力の賜物である。
故に竜種進化をしない。だから竜種は人に試練を与え自らのかわりの進化を促す。
恐竜は自らを滅ぼしたモノをなんと呼んでいたのだろうか。
遥か昔に産まれ大地とともに生きた我が体は伝承とよく似たモノに破壊された。
私は、人の伝承にならいソレに名を与えた。
其れは言葉無き破壊の化身
―魔王―




