轟音
何かに導かれるように空を見上げれば、音より早く駆け抜ける巨大な槍が勇者一行の頭上を通り過ぎた。
「んな、ばかな。」
イチローがポカーンと口を開けて固まっている。
次いでついぞ聞いたこともないような轟音が空気を震わせる。
「*2◎28*88★00◎00000。」
誰かどころか驚き叫んでいたが音が大き過ぎて誰が何を言っているかなんて判断しようもない
音を生み出した物体の正体は映画にしか出て来ないような、現代兵器の定番中の定番
巡航だか巡行かわ解らないが、とにかくミサイルとしか形容出来ない何か。
立ち直った一行が音に驚いた馬が暴れるのを宥めている中、ミサイルは何かに導かれるようにセプト山へと一直線に突き進む。
遠雷か火山の噴火が混ざったような凄まじい爆音、そしてそれを遥かに凌ぐ巨大な咆哮…いや断末魔が響いた。
「…また、彼の仕業か。」
雲の向こうで、巨大な何かが崩れ、消えたセプト山から一番近い場所にいた勇者一行に、常識では有り得ないほど大量の経験値がもたらされた。
気がつけばレベル二桁に達したばかりのメンバーが、なぜかレベルが折り返しに入るまでに達している。
「目標の有無を確認する、偵察部隊走れっ!
それは付き添いの騎士や兵士も同じで、皆が同様するなか騎士隊長が声を張り上げ命令を下す。
斥候が馬に飛び乗ると、その馬は何時もの何倍もの速さで走り出した。
それも、往年の逃げ馬ツイ◎ターボやナリ◎ブライアンすら、一瞬でチギって周回遅れにするような神速だ。
どう考えても馬が出せる速度ではない、もはやエフワンかなにかといわれた方が納得出来そうだった。
セプト山もまたガイア山脈と同じく鎧竜のなれの果てとの伝承があった。
もはや跡形もなくなった山を目指し一行は歩を進める。
一撃で地形を変えた正体不明のナニかが再び来ないことを祈りながら。




