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第1話 フィッシング詐欺

第1話

この世は選民思想にまみれたクソゲーだ。

個人の意見としてそう思う。


小さい頃から施しを受け、レールから外れずに成人までに至った者のみが、順当にいいところに就職し、順当に結婚し、順当に子供を作り、順当に『一般的な幸せ』を手にする。


どん底からの大逆転劇とかそういったものは今話していない。

そういうのは何かしら途中で介入する『運』が絡んでいる。


例えば宝くじ。

全財産が300円で宝くじを買ったらそれがたまたまヒット。

一撃で億万長者になり、金も女も手に入る。

これは絶対と言っていいほど『運』である。

少なくとも自分で為し得たものではない。

そういった高尚な存在を遠目で見て指を加えているがそれにはなれず、精一杯やってもやっと人並み。

正直者は馬鹿を見る。

俺は早くして『人生』を冷笑し、無駄に達観した価値観を持つ残念な存在だった。


そうして不登校になり、アニメや漫画、ゲームにハマりそれしかしない怠惰な生活を貪ってる。

父親にも母親にも見捨てられてしまった。当然だ。


俺はゲームやアニメの世界が本当に羨ましかった。

最初から何かしらのスキルを持っていて、やれ冒険だのやれ王国だのやれハーレムだの。

そういうチープな『無敵感』を夢見るほどに憧れていた。

そして俺のいるべき世界はここではない、と。

そう本気で思っていた。


いつも通りネットサーフィンをしていると。


「異世界に行ってみない?」


怪しいリンク。

こういうのの相場はだいたいワンクリック詐欺だ。

体験記事とかの画面両端に出るあの長細いやつ。

ああいう類だった。

このpcがぶっ壊れなければ別になんでもいい。


俺は面白半分でそのリンクを踏む。

瞬間、部屋は白い光に包まれた。


_____________________________________________________


目を覚ますとそこは日本風の部屋。ただやや少し手狭で、1人暮らし用と言ったところか。

ここはどこだろう。外に出てみる。


そこは広大なグラウンド。学校の敷地らしかった。

どういうことだ。学校にはしばらく行ってないはずだが。

1度部屋に戻ろう。

そう思い踵を返すと。

何やら表札のようなものが目につく。

そして字は読める。日本の可能性が高い。

その表札には、

「リーア学術学院 入学候補生専用寮」 と書かれていた。

どうやら俺はどこかイギリスチックな名前の大学に入学することになっているらしい。

もういちど部屋に戻る。次の目をつけたのはカレンダー

そしてカレンダーには1日だけ日付に二重丸がついている。

これはリーア学術学院の入学式や試験日であろう。


ひとまず、分かったことがいくつかある。

1, おそらく転生した

2, 日本ぽいが日本ではないどこか。文字は読める

3,どうやら魔術なるものがあるらしい

4,俺は2日後に魔法大学の試験をうけることになっている。


お金は多少持っているらしかった。

ひとまずあるかは分からないが商店街に行き、日本にあった似た商品を探してこのコインの価値と相場を探ろうと思う。


学校外から出ると、そこは中世ヨーロッパのような露店が数々並んでいた。

串焼き、焼き菓子、肉、野菜、フルーツと言った食料品から、何やら光を放つ宝石、辞典ほどの厚さの本、ゲームで言う杖のようなものまで並んでいる。

ひとまず後半の方は縁が無さそうなので食料品から見ていこう。


ここにきてまだ1,2時間ほどしか経たないがやはり腹は減っている。

串焼き屋を見てみよう。と言っても日本ほど買わない客には優しくないと思うので遠巻きに目を細めて値札を見る。


やきとり:石貨15枚


なんとなくだが、そこに焼き鳥と記されているのは、もとの世界でもよく見た普通の焼き鳥。相場はだいたい150円くらいだろう。

なので石貨1枚→10円と考えるのが良さそうだ。


ひとまず買ってみる。


「おう兄ちゃん!どうだい焼き鳥」


気さくな店主が話しかけてくる。もちろんそのつもりだ


「はい。1本頂けますか」


「あいよぉ!石貨15枚だ」


「すみません。俺ここに来たばっかなもんで。金はあると思うんですが、価値を教えて頂けませんか。お代は石貨100枚程度で払います」


手っ取り早く情報を得るにはこれしかない。貨幣の価値なんかそこの民にとっては当たり前なのでどこにも書いてないし、背に腹は変えられない。


「おぉ、まぁいいだろう。

1番価値が安いのは石貨。(10)

次に鉄貨。これは石貨5枚分の価値がある。 (50)

次に銅貨。これは石貨10枚分。鉄貨 (100)

次に大銅貨。これは石貨100枚分。(1000)

次に銀貨。 これは石貨500枚分。 (5000)

次に金貨。これは石貨1000枚分。(10000)

最後に大金貨。これがコインの中でいちばん高級で、石貨10000枚分だ」


とこれはこれは丁寧に教えてくれた。


「どれ兄ちゃん。財布ん中見せてみな」


言われるがままに財布を開く。

すぐに中から1枚の石のような貨幣を取り出して。


「おおこれこれ。これが石貨。いちばん安い単位だ。これ15枚、あるいは、これ5枚と鉄貨1枚でうちの焼き鳥が買える」


なるほど。どうやら紙幣があるかというだけで、あまり日本と変わらないらしかった。

それに見た目でだいたいどれがどれか分かるようになっていた。

これはありがたい。


「本当に助かりました。これは今のお礼です」

そう言い、俺は銀貨1枚を取り出し店主に渡す。


「銀貨ってお前…最近来たばっかなんだろ?そんなに金もねえだろうに。見栄を張るのもいいが、1番大事なのは自分だぞ」


そう驚かれ、俺は最初に宣言した通り大銅貨1枚を取り出す。


「よぉし。まいどな。今から6本焼くから待ってろ」


そう言い、また焼き出す。

当初の約束では、貨幣の情報を教えてもらうかわりに、大銅貨1枚で焼き鳥を1本買うという約束だった。


「ま、待ってください。俺1本とお金の価値を教えてもらうから大銅貨1枚って____」


「なぁに気にすんな。困った時はお互い様だ兄ちゃん。あ、でも銅貨切らしててな。1枚お釣りが出るはずだが、これは情報料ってことで」


ニカっと白い歯を見せて笑い、焼き鳥が6本詰められた袋を手渡す。


「本当に、ありがとうございます」

「細けえことは気にすんな。男ならもっとバシっと生きていけ!じゃあな兄ちゃん!」


そう言われ笑顔で送り出される。なんて懐の深い人なんだろうか。

俺の真逆だな。



焼き鳥を食らいつつ、街並みを散策する。

服飾店、八百屋のようなもの、そしてなんか怪しい店。

まんまとは言わないが、どうも日本と似ていた。

まるで中世ヨーロッパの街並みに現代の技術をまるごと持ってきたみたいな。

まあでも考えても分からないな。


にしてもこの焼き鳥は美味い。本当に美味い。

おそらく元いた日本と素材はあんまり変わらないんだろうが、なんというか、謎のパワーでより美味く感じる。

人情に触れたせいもあるだろう。


ふと空を見る。夕焼け空。明日は8時から受付開始だったっけな。

そろそろ帰ろうか。


寮についた。夕飯はいらないな。

風呂に入って今日学んだ貨幣の価値でも復習して明日に備えよう。


風呂から出て、今日得た貨幣の情報を思い出す。


1番価値が安いのは石貨。

鉄貨。これは石貨5枚分

銅貨。これは石貨10枚分。

大銅貨。これは石貨100枚分。

銀貨。 これは石貨500枚分。

金貨。これは石貨1000枚分。

大金貨。これは石貨10000枚分。


上から順に、10円、50円、100円、1000円、5000円、10000円、100000円。焼き鳥の価値から見るに、だいたいこんな感じだろう。


次に自分の財布の中身を確認する。

・鉄貨 5枚

・大銅貨 8枚

・銀貨 1枚

・金貨 2枚

だいたい33350円くらいだろうか。

大丈夫だな。十分すぎるくらいに。




財布にしまい、早めに眠りに落ちた。

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