未来探偵ミツオ(麗しのクーマ その43)
室内には子分が二十人はいただろうか。鉄壁の守りに子分達の表情には優越感さえあった。
侵入者は真緑の男が一人だけだからだ。
子分のリーダー格らしき男が叫ぶ。
「撃て」
武装集団の武器は強烈だった。
鉛の弾丸、レーザー、多彩なエネルギーを内包するものが一斉にミスター・グリーンに襲いかかる。
しかし、ミスター・グリーンに到達する弾丸は何もなかった。すべての発射されたものは、そのままの威力を保ったまま、射手に帰って行った。
赤い煙が室内に立ちこめる。
血のにおいだけが、ミスター・グリーンとジャン親分の間にあるだけだった。
ジャン親分が口を開く。
「捕まえに行ったときとは、まるで別人だな。本当の目的は何だだ」
「とびきりやばいものが、あんたの手に入っただろう」
ミスター・グリーンが値踏みするようにジャン親分の目を見る。
「宇宙ゴミの中にあった、あれのことを言っているのか」
ミスター・グリーンが無言でうなずく。
ジャン親分は未来が見えたような絶望の表情を浮かべて、続ける言葉を失う。
「あれ超大国に売りつける手はずになっている」
「それを渡してもらおう」
「どうするつもりだ。ここまでしたお前を俺が許すとでも思うのか」
二人の間にしばしの沈黙が訪れる。ミスター・グリーンが口火を切る。
「あんた、自分の命は大事だろう。いま、この瞬間、終わるのはいやだろう。それが報酬だ。悪くないと思う」
ジャン親分はしばらくの沈黙の後、無言で懐から端末を取り出した。
キーを操作する。
床の一部がせり上がり、青く光る筒状の物体が宙に浮遊する。
いつの間にか、室内に侵入していたクーマが、ミスターグリーンのそばに立っていた。
クーマが筒に手を伸ばす。
腕が開口した。
クーマはその筒を腕に納める。
「ありがとう」
ミスター・グリーンは満足したようにジャン親分に指先をむける。
その仕草は攻撃を実行しようとするものだ。
親分は素早かった。
身の危険を察知した親分は素早く手元の端末を親指で操作する。
次の瞬間、ミスター・グリーンとクーマは真上に消え失せた。
ジャン親分による侵入者排除装置により、室外へと排出されたのだった。




