クロフォード邸の仕事
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翌朝。
「おはようございます、デニスさん。」
「おはよう、ベッキー。実はきょうからしばらくクロフォード様のお屋敷に伺うことになってるんだが、ポールが昨夜急病で手術したんだ。バートとテッドはお城の仕事が入ってるので、悪いがベッキー、しばらくの間クロフォード様のお屋敷の仕事をしてもらえないか?」
「まあ、ポールさん、どうなさったんですか?大丈夫ですか?もちろん私クロフォード様のお屋敷のお仕事させていただきます。」
「すまないねえ。ポールは昨夜病院に担ぎ込まれて、盲腸の手術受けたんだ。ちょっとこじらせてたようで、しばらくかかりそうだ。」
「まあ、そうですか。痛かったでしょうねえ。お見舞い行ってもいいでしょうか?」
「ああ、きょう終わってから一緒に行こうか。」
「はい。あの、それから私がするはずの農園の苗のほうは?」
「それはバージニアとエディスが頑張ると言ってる。」
「そうですか。私もクロフォード様のが終わったらそちらに行きますね。水やりだけでもお任せください。」
「ああ、でも無理すんなよ。」
「はい。」レベッカはにっこり笑って返事をした。
「これだよな。この笑顔がうちの売りだからよ。よろしく頼むな。」
「デニスさんったらー。」
クロフォード邸に行く道、デニスが
「ベッキー、クロフォード様のことはなにか知ってるか?」
「いいえ、父は知ってるかもしれませんけど、私は何も。」
「そうか。実はお屋敷にティモシー様というご令息がいらっしゃるんだ。それが2年位前の魔物討伐でえれえお怪我をなさってな、顔にすげえ傷が残って、体も弱ってしまったそうでお屋敷で養生なさっているんだそうだ。お姿見かけてびっくりしないようにな。」
「まあ、お気の毒に。お顔に傷跡があるなんて、お辛いでしょうね。それでは精一杯お庭をきれいにして、きれいな木やお花でお気持ちを晴らしていただけるように頑張ります!」
「ベッキーは優しい子だなあ。よろしく頼んだぞ。」
「はい」とにっこり。
クロフォード様のお屋敷はさすが公爵家というだけあって小さなお城のようだ。庭も壮大で、レベッカは楽しくてワクワクした。
まずお屋敷の庭師の人たちに挨拶し、プランを検討する。お屋敷の庭師のボスはトムさんというおじいさんで総指揮官という感じ。細かいところはマイクさんというトムさんの息子さんが取り仕切っている。デニスさんがトムさんと話し合っていろいろ決めていく。
話し合いのあと、レベッカはトムさんによばれた。
「デニスさんからティモシー様のことを聞いたようじゃが、もう少し付け加えるよ。ティモシー様は魔物の毒で体の半分がやられてしもうてな、顔の半分がケロイドになっとって、ティモシー様もお若いからそれを気にしておられるようじゃ。お館様が嫁をとお考えになって、ティモシー様は嫌がったのじゃが無理矢理添わせようとなさったことがあってな。奥様になるかたは、話を聞いた上で納得して結婚なさったそうじゃが、実際ティモシー様に会った時に悲鳴をあげて逃げてしまったそうじゃ。ティモシー様はそれ以来、おなごは、特に若いお嬢さんは避けるようになられた。ここは使用人が男が多く、女はだいぶ年取った者だけなのは、そのためじゃ。レベッカさんと言ったな。デニスさんがレベッカさんは優しい子だから大丈夫だと言うたが、くれぐれもティモシー様に会って叫んだりせんでくれ。どうか、どうかよろしく頼む。」
「はい。承知しました。あの、トムさん、ティモシー様は目や鼻に障害がおありですか?例えばきれいなお花が見えないとか、お花の匂いがわからないとか。」
「いんや、そういうのは全く大丈夫じゃよ。見た目だけがな・・・気の毒に。」
「そうですか。お若いと、お辛いでしょうね。」
レベッカはそう言ってから、慌てて
「あの、お年だったら見た目はもうどうでもいいってわけじゃないんです。ごめんなさい。」
「わははは、レベッカちゃんは良い子だな。そんなに気にせんでもいいよ。まあたしかに、うちの婆さんはもう儂の顔なんか見もしないがな。」
トムはおもしろそうに笑っている。
そこにマイクが来て、
「おやっさんなに笑ってんだよ。」
「ああ、レベッカちゃんがかわいくてな。」
「いい年してなーに言ってんだ。仕事しろよ仕事。」
「ところで、レベッカちゃん、あんたは高いところでも大丈夫ってほんとか?」
「はい。高いところでも、池の中でも大丈夫です。」とにっこり。
「なーるほど、おやっさんの鼻の下が伸びてるわけがわかったぞ。」
マイクはにやにやしている。
「そうか。じゃあすまねえが、あっちの木から頼むわ。窓から中覗いたらだめだぞ。」
「あははは、覗きませんよぉ。」
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