表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/22

大好き

お立ち寄りいただきありがとうございます。


 「私ね、きのうティモシー様たちがお酒飲んでらした時、母とおしゃべりしたんです。母が父のことが大好きだって言うので、大好きってどんな感じ?って訊いたんです。そうしたら、結婚する前に、お父様に会いたいなって思ってて、会うと嬉しくて、お父様が帰る時悲しかったって言ってたんです。私、いままでそんなふうに思った人っていませんでした。でも、ティモシー様にはお会いしたいなって思うし、お会いできないと寂しいなって思うので、私、ティモシー様のこと大好きなんだなって思いました。」

「・・・ッ」

「ティモシー様?」


 「君は、なぜそんなにまっすぐなんだ。こんなに可愛くて、惚れない男がいるのだろうか。レベッカ、頼みたいことがあるのだが、聞いてくれるか?」

「はい」

「俺は君が貴族が嫌いなのはよくわかったつもりだ。たしかに俺も嫌いだ。だが、俺は貴族だ。そんな俺だが、君の夫として一生君を守ることを許してはもらえないだろうか。」

「・・・・・・」

レベッカは少し考えている。

「あの、ティモシー様」

「ティモシー様は私のことがお好きですか?」

「すまない。なんということだ。肝心なことを言うのを忘れていた。レベッカ、’俺は君が好きだ。大好きだ。ずっと一緒にいたい。どうか、一緒にいさせてくれ。」

レベッカはそれを聞いて花が咲いたような笑顔を見せて、

「あの・・・ティモシー様は私と一緒に暮らしたら幸せになるとお思いですか?」

「ああ、全力で君を幸せにする。」

「ティモシー様ご自身は?」

「もちろん君と一緒にいられれば幸せだ。」

「じゃあ私、ティモシー様のおそばに置いていただきたいです。」

「本当か!ありがとう!ああ、夢のようだ。夢ではないよな?」

「ふふふ、私、とっても幸せです。大好きなティモシー様のおそばにいられるなんて。」


 「レベッカ」

「はい?」

レベッカはきらきらした目でティモシーを見返した。

「抱きしめてよいか?」

「・・・はい」レベッカの顔は真っ赤である。

ティモシーはレベッカをそおっと抱きしめた。なんだか強く抱きしめると壊れてしまいそうに感じるからだ。

しばらくして、レベッカは深呼吸?をした。

「ティモシー様の匂いがする。いい匂い。ティモシー様の体って大きくて硬くてとっても頼りになる感じがします。」

「レベッカ、そういうことを言わないでくれ。もっともっとと思ってしまう。」

「あら、私だって、ずうっと抱いていていただきたいです。」

「やめてくれ、降参だ。」

「なにが?私が勝ったの?」

「ああ、レベッカの勝ちだ。俺の完敗だ。レベッカ、愛してる。」

「私もティモシー様を愛してます。大好き。」


 しばらくそのままでいたが、ジェフリーがドアをノックした。

「失礼致します。お父上様がそろそろお帰りになると仰っていますが。」

「ああ、少し待ってくれと伝えてもらえるだろうか?」

「畏まりました。」

ジェフリーが行ってから、

「レベッカ、婚約したことを話そうと思うが、良いか?」

「はい、もちろんです。嬉しいことですもの、早く言いたいです。ふふふ」

レベッカの屈託のない笑顔がまぶしい。


 ふたりでホートン卿とクロフォード卿のいるサロンに行った。

「おお、来てくれたのか。」

「はい、少々お話したいことがありまして。」

ティモシーがそう言うと、クロフォード卿が

「なんだ?」と訊く。

「いままでレベッカと話をしておりましたが、私達は婚約致しましたことをご報告させていただきます。」

「「な、なに?」」

両家の父は驚いて立ち上がり、やがて嬉しそうに相好を崩して

クロフォード卿が

「いやー、そうかそうか。息子よ、よくやった!」

と言えば、

「キャロル、そうなのか。幸せか?」

と訊く。

「はい、お父様、私はとても幸せです。」

と言うと、ホートン卿は

「そうか、よかったよかった。・・・そうだ、おおい、ジェフリー、オードリーを呼んでくれ。」

そう言いながら、目に涙を浮かべている。

母は来るなり察したようで、ホートン卿から聞くと

「まあ、キャロルちゃん、よかったわ、おめでとう。嬉しいわ。」

と言ってレベッカを抱きしめた。


 母が

「バーニーたちにも言わなきゃね。」

と言い、ジェフリーが去ると間もなくバタバタと足音がして

「何事ですか、母上。」

と部屋に入ってきた。

ホートン卿が

「キャロルがティモシー殿と婚約したんだ。」

と、少し寂しそうに言うと、バーナードは

「おお、そうか、おめでとう。でも、ティモシー殿、こんなはねっかえりで良いんですか?振り回されますよ。」

と、すこし意地悪く言った。

「振り回されたいです。レベッカが良い返事をしてくれて、まだ夢のようです。」

ティモシーはそう言った。

「キャロルちゃん、おめでとう。よかったね。」

アーロンも祝福してくれている。

その夜はクロフォード家の父と息子はさらに帰宅が遅くなった。


お読みいただきありがとうございます。

ご感想、評価、いいね、などいただけますと幸いです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ