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美徳、慣習、選択、欲望
風が哭く
強い嵐の前触れのように
波は揺れ空は唸り
雲は遠くへ遠くへと走り
月は誰にも気付かれずに
光を弱め空へ溶けていく
昼の太陽も雲に隠され
暮れる陽も僅かな光を与えず
走る雲に月は静かに眠り
人は空を見上げることを忘れた
静寂の沈黙に満たされた世界に
僕らは生まれ堕ちた
戦うことを悪と諭され
従順たることを美徳と求められ
嵐は受け入れる存在と
諦めを植えつけられた
一度生まれた疑問は消えない
心に刻みつけられたものを
確かめ為に僕らは旅に出る
受け入れるのではなく
自身の手足で答を見つける為に
嵐と対峙する
その先に在るものが
これからの僕自身に変わる
傷を背負う覚悟はまだない
傷みを得て考えようと思う
全ての選択を僕が持っていると
そう信じて進もう
道は僕が歩いて出来るのだから