268:エクスゼウスの思惑
アール視点。今回のエクスゼウスの目的とは?
実は今日で『プラネットクロニクル―ゲームを極めた男が見せる世界―』の投稿開始から丁度一年になりました!! ここまで続けられたのも皆さんからのありがたいメッセージや、ご指摘、ご意見があったからこそです。
プラネットクロニクルはまだまだ続きます。これからも楽しくやりたい様にやっていく私とプラクロの皆をぜひよろしくお願いします。
なんか感謝を込めて短編とか追加とか考えてますが、思いついたら書きますので気長にお待ちください。希望があればメッセージなどで直接お願いします。ではでは本編をどうぞ。
新規ワールドシナリオ『星の記憶』。今回俺がプレイヤーとしてではなく、運営陣の一員として参加している今回のイベント。設定としては、あの夜空に流れていた流星群が過去に見た記憶を追体験する”夢”を見せているというものだ。
正確に言えばこれは俺のもうひとつの物語。今回のイベント前に俺がエクスゼウス本社にて、今回のためだけに作られた正規続編であり、外伝『剣聖物語:追憶の章(仮)』の流れを組み込んだ完全新規シナリオとなっている。
当時あった四つの都市が突如出現した謎の塔と、塔出現と同じくして出現したモンスターに対抗すべく、協力して行くというシナリオとなっている。現地に居るNPCから、当時の街の様子、出現するモンスターまで全て『追憶の章(仮)』そのままである。
外伝といっても今回の主人公はアールではない。この時代でのアールは既に死んでおり、俺のことを知る人間もいない。マリアーデたちが残してくれた祠を通して、俺が人々と関わりを持ち、彼らを助けていくというものだ。
ゲームジャンル的に言えばVR育成RPGといった感じだろうか? 実際に俺が祠にやってきた不特定多数の人間に、生きるため、守るため、信念を貫くための術を教えていくというものだ。
ジャンルが違うだろうと思われるだろうが、これはこれでとても楽しかった。言うならば無力な人間を、限られた時間の中で生きるための術を伝授するといった形になる。
やってくる人間の実力は千差万別、同じような実力者などいないため、彼らの実力を瞬時に把握して、適切な稽古をつけていかなければならない。さらに言えば、訪れる人々は本当に”一般人”なのだ。
そのため俺が使う『天匠流』『月光流』『桜華戦流』そのままを教えるには時間が足りない。だが訪れる人間は皆、絶望的状況を迎えた人間だ。それを乗り越えるための術を身に付けなければ死あるのみ。
だから新しい力(流派)が必要だった。俺のためじゃなくて、誰かの為になる力が。
それはもう色々悩んだ。ただ手足を振り回すのではなく、また勝つ為ではなく、生き残る為の流派を生み出すというのは簡単なことじゃない。
エクスゼウスの長時間加速システムがなかったらこんな短時間では実現しなかったのは間違いない。やっぱり超時間加速空間ってトンでもない技術だと思う。
まぁそのおかげで今回のイベントの目玉である新流派が完成したんだけど。
という訳ではい。新流派作っちゃいました。ベースは『月光流』。奥義は『天匠流』の速さと『桜華戦流』の鮮やかさを取り入れて、見た目も動きも派手で簡潔にまとめ上げた。
名づけて『月光征流』。攻撃を受け止めるではなく、受け流すことに特化した新しい流派。必要なのは相手の行動をしっかりと視る洞察力と、攻撃に対処する冷静な思考回路のみ。
その洞察力と思考回路を実現するために桜奏呼吸をベースとして、自分を落ち着ける呼吸をどんな時でも行えるように改良した新しい技術『月代』。
関節の間を縫うように刃を入れることで相手の急所に傷を付ける『一の型『霽月』』。
一の型『霽月』から派生し、つけた傷へ突きを繰り出す『二の型『狼月』』。
一点集中攻撃で相手に激痛を与え、ひるませる『三の型『明月』』。
カウンターにて相手のペースを崩す受けの構え『四の型『待月』』。
そして四の型から三、一、二の型と繋げる奥義『水波紋如月』。
この新流派を引っさげて今回俺は『星の記憶』へと参戦しているのだ。まぁここでの俺はもう死んでいるから意識だけの存在なんだけど。
「お疲れ様アールくん。紅茶で良かった?」
「ありがとうございますAさん。人に教えるのってやっぱり大変ですね」
「プログラム相手にしてる僕らは結構気楽にやれるけど、人相手にやってる君だもんね。しばらく祠に来そうな人はいないからゆっくり休んじゃってよ」
掲示板での擬似的な情報開示や、プレイヤーたちがフィールドに繰り出し始めたことで、祠の存在がかなり広まったこともあり、教えては戻り、また教えては戻るという繰り返し。
疲れないといえば嘘になる。けど、教えていく中で、俺も成長していけるのが嬉しい。と言うかゲームで、プレイヤーをプレイヤーが育成するということになるとはな。
「アールくん。プレイヤー強化計画いい感じで進んでるよ〜。うひひ、これは今後が愉しみだぜ」
「おーい、素がにじみ出てるぞ〜? 調子こいて足元すくわれないようにモーション逝っとく?」
「「異議なし!!」」
「あちょまっ!!?」
「いってらっしゃーい♥」
出てはいけないモノがにじみ出ていたGさんがほか二名の社員の方に連行されてお仕置き部屋に叩き込まれていった。部屋の扉から専属のOさんが怖い笑顔でGさんを部屋へ引きずり込んでいた。
ちなみにOさん。なんでも配属されてから一年ほどしか経っていないらしいのだが、既に部屋の長を勤めているらしい。相性が良かったんだ。慈悲はない。
「主任。プレイヤーの様子ですけどNPCとの交流もいい感じになってますね。なんか女帝に君臨しそうな勢いですけど」
「さすニコ。既に街の支えになるレベルで象徴してますわ」
「孤高の狼(可愛)な蒼牙氏が子供になつかれてやんのwww」
「エロロちゃんラッキースケベ発動してるわ。見てて可愛い・・・愛でたい」
「見てみて!! ミラファちゃんさっき教えてもらった月光征流使って頑張ってる!! いぃわぁ」
「ブックマンは相変わらず遺跡探索してますわ。この人怖いもの知らずだな」
「あ、ツムグリ君超絶逃げてる。アールくん。もしかしたら出番かも〜」
「はーい」
さらっと流したが、今回のイベントの目的は”プレイヤー強化”である。最近ついに本気を見せてきたエクスゼウス産のモンスター達。現状、特定モーションによるスキルや、システムアシストの頼っているプレイヤーがほとんどである。
そのため、クロニクルモンスターを始めとする特異個体モンスターなどに対し、手も足も出ないことが多くなった。一応対抗策としてUtSが存在はしているが、それだけでは勝てない。
そこでエクスゼウスは今回のイベントを通して、プレイヤーが自分の力だけで強敵に立ち向かう勇気と、覚悟、その力を与えることにしたのだ。
本編『プラネットクロニクル』のエクストラモードに酷似した環境下の中、世界の中央に位置する塔の攻略がシナリオクリアとなる。
HPが全損するとシナリオ終了まで復活しない。ダメージを負うと、その度合いにより大小の痛みを感じる。体は超人的動きなんて出来ない。物理法則は『プラネットクロニクル』よりも『剣聖物語』のリアルハードモードを多少修正した物が適応されている。
つまり、NEWゲームの出来ない一度限りの『リアルハードモード』という感じだ。概要にしっかりと書いてあったし、周知もしていた。それを無視したり、読んだりせずに死に行った可哀想なプレイヤーはシナリオ終了まで寝ている。
最後まで生き残った人だけが、この物語の結末を見届けることができるというわけだ。まぁ、その結末が一体どうなるかは、プレイヤーの実力次第だけども。
「アールくーん! 次の人おねがーい! ツムグリ君なんでよろしーくー!」
「はーい」
それじゃぁまた次のプレイヤーに技の真髄を叩き込んできましょうかね。
エクスゼウスの目的
『やりたい放題やりたいからプレイヤー強化してしまおうぜ計画』
簡単に言うとPSトレーニングイベント。
次回。ついに遭遇。皆さんお待たせしました。




