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265:過去が紡ぐは未来への可能性

中身は誰でしょう?

「ヴヴァヴァヴァヴァヴァン様!!? 嘘本物!!?」



「どどどどどどどうしようマイ!!?」



目の前の二人組はテンパりすぎてキョドっている。様付けって言うのはどうしてもなれない。リーラは断固として様付けをやめなかったから諦めてたけど、やっぱり第三者から言われると照れる。



ちなみにリーラが様付けをやめなかった理由、もとい、やめる条件は出してくれていたのだが、俺は拒否したのである。『アール様が私と共に王位を継いでくれるのならば様と付けませんことよ? どうかしら?』なんて言われたら、流石に断る。



王様とかゲームだとしても流石に恥ずかしいし。RPするとしても参考になるのがゲームとアニメ知識しかないからどうしようもない。悪逆皇帝とか後の世で呼ばれたりする人くらいしか正直パッと思いつかなかったのも大きな理由だったりする。



俺は超絶好きだけどな。映画も当然初日に観に行ったくらいには好きだ。ルルCは至高。異論は認める。



俺個人の話は置いておこう。ついでに間違いも正しておかないと今後ちょっと厄介なのである。



「それから俺の名前はヴァンじゃない。そういえば自己紹介がまだだったな。俺はアールという。まぁ死人だ。よろしく頼む」



「「えっ!!? アールさんなの!!?」」



「??? 俺のことを知っているのか?」



「いやいやアールさん知らない人なんて今のプラクロ民にはいませんって!!」



「プラクロ民・・・? どこかの国の名前だろうか? 未来では俺がそんなに有名になっているのか?」



「え・・・これもしかしてマジ物の”アール”さん・・・もといアール様?」



「まってまって!!? ヴァン様でもテンションやばいのにアール様なら尚更やばいって!!! どうしよう!!本物のアール様とかもう・・・ふぅ」



「す・・・すまない。何か悪いことをしてしまったんだろうか? もしそうなら謝罪する。久しぶりに誰かの声が聞こえたからちょっと嬉しくてな。つい君たちの意識をここに呼んでしまったんだ」



「謝らないでいいですって!! どうしようこれ本物・・・いやあのアールさんも本物だけどこの人も絶対に本物と言うかマジ物だよね!!?」



「??? 未来の言葉は色々と凄いんだな・・・全然わからないな」



「ちょーっと待ってくださいねアールさ・・・うん。アール様と呼びますね。区別かも兼ねて。ちょっと深呼吸するので待ってくださいね」



二人組の女性は深呼吸を数回行うと、冷静さを取り戻していく。



という訳で今回の俺の立ち位置は『剣聖物語』で老死した俺という設定を持ってきた『アール』なのだ。この為に運営が特別制作してくれた『五代目剣聖物語:完結編』と名を打った特別編をプレイしていた。



といっても大きな事件は起こることなく、マリアーデはじめとする仲間たちに看取られながら静かに息を引き取っていくまでを描いた『アール』としての終わりを描いた話だ。



老いて尚健在だった『アール』の身体能力は、さすが俺という感じであった。自画自賛で悪かったな。ともかく、終活をしながら自分の最後を経験するという不思議体験を経て、『アール』という人間を俺の中に再度構築したのである。



「はい。大丈夫になりました。お待たせしましたアール様。ところで貴方が私たちをここに呼んだって言ってましたけどそれってどういう?」



「マリアーデや俺のことを大切にしてくれた皆が俺のことを後世に伝わるようになんかたくさん祠とかを作ってくれたみたいでな? 俺の意識が少し各地の祠にあるみたいで本体って言えばいいのかな? ここにいる俺にも伝わるんだよ。ここ数百年は人の気配がなくて寂しかったもんで、つい君たちを呼んでしまったんだ。もしかして何か大事なことをしていただろうか? だとしたら申し訳ない」



「いえいえいえいえ!! 寧ろどうしようもなくて神頼み状態に近かったので超越感謝!! みたいな感じです!!」



「あれでもマイ? アール様は意識だけって言ってたよね? ってことは肉体的にはまだあそこにいるんじゃない私たち」



「あ・・・そっか・・・じゃぁ状況は変わらないのかぁ・・・」



「よかったら何があったのか教えてくれないか?」



「もちろんです。実はですね・・・」



二人、マイとミヤコと名乗ってくれたふたりが言うにはこうだ。何でも街の外で探索をしていたらしいのだが、自分より遥か格上のモンスターに遭遇して逃げていたらしく。逃げ込んだ洞窟だと思った場所が実は横穴で、どうしようか明け暮れていたところ、俺の祠を見つけたとのこと。



なんとなく思い立って掃除をして、状況打破祈願でお祈りをした所で俺がここに呼んだということだ。



「そうか・・・君たちも大変な時なんだな」



「なんですよね。でもアール様と話せて幸運って感じなのでOKです!」



「これは自慢できますからね。尚更生き残らないとですよ!」



ふたりは絶望的状況の中でも諦めていなかった。寧ろ俺と出会ったことを自慢するためにより生き残ろうと決意を新たにしてくれた。こんないい子たちがこのまま殺されるのは心が痛い。



「なぁお二人。もし良かったら少しだけ君たちの時間を俺にもらえないだろうか?」



「えっと・・・どういうことですか?」



俺の言葉を理解できず、首をかしげるマイ。その言葉を紐解くように改めて口を開く。



「この場所は君たちが本来いる場所とは違っているんだ。だから意識が元の体に戻っても一秒くらいしか経過していないだろう。この状況を使って君たち二人に俺ができる協力をしたいと思ってね」



「えっ!!? アール様協力してくれるんですか!!?」



「もちろん。俺に出会ったことを自慢したいなんて言ってくれる君たちをこのまま見殺しにするなんて俺には出来ないからな。どうだろうか?」



「賛成です!!寧ろお願いします!! やったこれ絶対生き残れるフラグたったよミヤコ!!」



「うん!! アール様! ぜひお願いします!!」



「わかった。じゃぁまずは素振り20000回からはじめよう」



「「はい!!・・・・・・はい??」」



「今の俺に出来ることは君たちに俺の技術を伝えることだけだからな。安心してくれ。一週間ほどの時間を費やせば君たちが言う熊型モンスターにもきっと勝てるようになっているはずだ」



きっと俺の顔は笑顔だったと思う。ものすごく久しぶりに人に剣を教えるんだ。とてもワクワクしていたんだ。けどその時の二人の表情は何とも言えない天国の中の地獄を見たという感じの何とも言えない表情であった。





――――◇――――





「へこたれるなよマイ、ミヤコ。まだまだここからだ」



「あぐぁああっ これ絶対筋肉痛ぅぅ!!」



「意識だけなのに痛いぃぃ!!」



「ほら、休むのはもう少し後だ。続けるぞ?」



「「鬼ィィィ!!!」」





――――◇――――





「死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅ!! 意識だけだけど死にますぅぅぅ!!!?」



「まって痛い!! タンスの角に小指を強打した痛みが全身からするから死んじゃう!!!!」



「はっはっはっ、安心しろ。意識だけだから死ぬほど痛いが気を失うことはないから」



「「寧ろ失いたいっ!! 今ほど意識だけなことを恨んだことはないですっ!!!」」



「んじゃ腕をズタボロに切ってみるから死ぬ気でよけろよ?」



「「ギィィヤァァァ!!!!?」」




――――◇――――





「やっちょっし・・・ぬぅっ!!?」



「避けたか。なら次こそ刺してみせるさ」



「ぜ・・・し・・・・まっ!!?」



「安心しろ。ここでは死ぬことはないさ。意識しかないからな」





――――◇――――

一週間後

――――◇――――





俺と相対するのは二人の剣士。目を閉じてはいるが俺の挙動の一つすら見逃さない集中力

を常時保っており、油断も隙もない。



「・・・・」



「・・・・」



「・・・・」



互いに言葉を発することなく、意を合わせたかのように同時に、俺たちは駆け出して互いとの距離を詰める。



三つの刃が激しい火花を散らす。斬撃を撃ち落としては一撃を叩き込むように、それをまた打ち払って再び一撃を打ち込む。



「ッ!」



「「ッ!!」」



短剣だけでなく、拳や足技も解禁し、相手への攻撃の手段を更に増やしていく。二人の剣士はそれに驚くことなく、まるで最初からそう来ることをわかっていたかの様に最低限の体捌き

で避けていく。



避けながらもわずかながら俺への攻撃を繰り返し、俺の手足に傷を作っていく。だがこの程度ではダメージにはならない。速度を落とすことなく攻撃を繰り返していく。



やがて二人も防御だけでなく、連携による攻撃も増やしていく。俺の挙動から先を読むように少しずつ、少しずつ攻め手の数を増やしていく。



そんな攻防を繰り返し続け、集中力を保ち続ける。どれくらいの時間が経過したのか、はたまた時間など経過していないと思うほどの打ち合いを続け、三人の攻撃が重なり、互いに吹き飛び、再び距離が開いた。



「・・・・」



「・・・・」



「・・・・ここまでにしようか」



「はい!! 先生!!」



「ありがとうございました。せんせい



時間にして一週間程度。未来の人間の学習能力は凄まじく、基礎である集中力の維持と、気配から相手の動きを視る動きをモノにしてしまった。それだけじゃなく、最低限の動きで生み出せる最大限の攻撃行動。



そして二人の連携も今まで以上のモノとなっていた。



「うん。二人共今までよくついてきた。以前よりも強くなったよ。心も共に」



「ありがとう先生! でも全部先生のおかげだよ!!」



「なんていうのかな? 師との修行で私もミヤコもこんなに強くなれるなんて思わなかったよ?」



「それは俺だって同じだよ。きっと未来の人間が持つ潜在能力って奴もあるんだろうけど、それ以上に君たちの努力が、何よりも屈しなかったその決意の強さを知れてとても嬉しい時間だったよ」



「先生? どうしたのさいきなり?」



「そうだよ師。別れみたいなこと言っちゃうなんて変なの」



「その通りだ。今この時をもって別れだよ」



「「そんなっ!!?」」



ここに彼女たちを呼べた俺が出来ることは全てやってきた。この空間に滞在し続けると、精神が肉体から完全に離れてしまい、死んだも同然となってしまう。故にこれ以上は時間が取れない。



だが、だとしても彼女たちがこの先待ち受ける困難を打ち破れるだけの力は授けられたと思う。それだけが何よりも安心できることだった。



安心したからだろうか、俺の体を作っていたものがまた光へと還っていく。それを見てふたりは俺にかけてきてくれた。



「先生!!」



「・・・師」



「死んで尚こんな時間を過ごせるとは思っていなかった。感謝する。そしてお前たちはお前たちの道を切り開いてくれ」



「ううっ・・・ハイッ!! 私たち絶対最後まで生き残って見せます!!」



「師・・・本当に、本当にありがとうございました」



涙を流し。消えていく手を握っている二人を見て、最後となるかもしれない言葉を紡ぐ。



「胸を張れ。君たち二人は俺の新しい弟子だ。だから胸を張って明日を生きてくれ。そして、願わくば俺という過去を、どうか次の時代に進んでも忘れないで欲しい。俺と・・・あいつが望んだたった一つの願いだ」



「・・・・っ! はい!!先生!!」



「師・・・また、会えますよね・・!!」



「そうさな・・・もし似たような祠があればきっと・・・俺の意識が残っているならきっとまた会える」



「約束しましょう先生!!  また会いましょう!! 意識だけでも、もしかしたら未来かもしれないけど!! 絶対に会いましょう!! いいえ! 会いに行きます!!」



「私も絶対に会いに行きます。もっと沢山のことを教えて欲しいから」



「あぁ、約束しよう。もしまた会えたなら、また君たちと剣を交えよう。だから、生きてくれ」



そして、二人が強く、涙を流しながらも頷いた顔を最後に、俺の意識は優しい光と共に消えていった。






はいという訳で完全RPアール降臨。そしてオリキャラの二人、ノリノリである。

そして弟子増やすアール様。もちろんこのあとも増えます


運営は阿鼻叫喚の大歓喜。言わずともわかるよね?

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― 新着の感想 ―
[一言] あ、イベント終わったら修羅場だぁ………
[一言] ( ゜ཫ ゜)ゴフッ トウトイ(尊い)
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