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175:男二人でのボス戦。実質ソロ

野郎二人旅

エーテリアの街もある程度復興してきて二三日なら開けても問題なさそうだ。ならそろそろ次の場所に向かうために行動エリアを広げよう。



というわけでやってきたのはアクシア大草原。目指すのはこの大草原から次にエリアへと行く為の道中を守るボスの元。



「そう言えば二人で組むのは何げに初めてだな」



「そうだっけか?」



暇だったマー坊を連れて今回は二人でボス攻略である。野郎二人でのボス攻略。珍しく華がない。一応ディアは変わらずローブの中で待機しているが、性別不明なので華ではない。



リークはログインしていなくて、レイレイは情報集めにソロプレイ。ルークはチーザーと一緒に、と言うかチーザーに半強制的に連れられて討伐依頼にでもいったようだ。



ギルファーとギンは店番、コヨミは今日稽古をつける日なので待機。なので、初めての男ふたりのぶらり旅である。



と言っても草原のモンスターは基本こちらから仕掛けない限りは大人しいのでまったりノンビリである。



「しっかしようやくイベント終わったと思ったらイベント報酬がまさかのアアリーとマリアーデ登場とか俺としては胸熱だ」



「いや、アールじゃなくてもやばいだろ。全盛期の両腕あるマリアーデさんにアアリーさん登場とかファン大興奮待ったなしだろ?しかも侍ゴブリンと和解するとか予想外過ぎて笑うしかねぇよ」



そうだろう?予想できない展開こそ最高だと俺は思っている。先の見える展開よりも先が見えない展開の方が面白い。もちろん見えてるなら見えてるなりに楽しみ方は多岐にわたるけどな?



例えば映画の終わり方を見てから、テレビシリーズの終わり方を予想するとか、最終回の展開を予想するとか色々な。



俺は魔王への道を選んでもう一度若い頃の自分に未来を託す歴史を作ると思ってたんだけどまさか一週回して時空を書き換えるパターンになるとは思わなかった。



死んだ仲間とか、元敵を自分のクラスメートや後輩にする展開は俺個人としては好きだったのでいいけどな!! 泥棒と破壊者がどうなったのかは気になるけど、多分01以降でもどっかででも出てくんだろJK



それよか次のダブルヒーロー映画どうなるんだ?ヒーローの力持ってない時空になったけど・・・もしかして映画のラストに繋げる始まり方すんのか?



「おーい、もどってこーい」



「はっ!!?すまん考え事してた」



「いいっていいって。ところでアールよ、今度の新ヒーローどう思う?」



「初代リスペクトしてる姿の時点で最高としか思えない」



ホッパー、つまりバッタだ。その時点で一ファンとしては大興奮である。



「それな!!」



がっしりと握手を交わす俺たち。大人はいつになってもヒーローに憧れるんだよ。VRだろうと実写だろうと特撮だろうとヒーローはカッコいい。これは世界の摂理だ。





―――――◇―――――





草原をのんびり歩くこと20分、目の前に明らかにボスでございます的な風貌のモンスターが姿を現した。



灰色の毛皮を持つ黄金に輝く目をギラつかせているガゼルだ。視線はまっすぐこちらを捉えており、今にも突進してきそうだ。



「どうする?」



「とりあえずソロでやらせてくれ。どうせお前は倒し方知ってんだろ?」



「もち、とりまりょーかいだ」



マー坊の了解も聞いたのでゆっくりとガゼルに近づいていく。ある程度の距離に入るとガゼルが静かに動き始めた。



『ブロロロォ・・・・』



――――◇――――

・アクシア大草原(旧街道)ボスエリアへ侵入

・アクシア大草原(旧街道)エリアボス『メフィラガゼル』との戦闘を開始

――――◇――――



アナウンスと同時にガゼルがものすごい速度で突進を開始した。早いけど受け止められないいきおいじゃな・・・なんか嫌な予感。回避専念!!! 



すれ違いざまにお互いの目線が交差した。これは完全に敵として捉えられたな。改めてガゼルの確認をするが、体長は普通の馬と同じくらいの大きさがある。伸びる角も立派で、刺されば即死は免れないだろう。



マー坊も俺と同じく突進を回避していた。するとマー坊は感心するように頷いていた。なんだこいつ



「受け止めなかったのか、さすがアール、野生の勘・・・もとい剣聖の勘ってやつ?」



「おいこら、その言い方だと受け止めてたらやばかったって言ってるのと同義だぞ」



「あの突進、魔法攻撃ついてるぜ」



マジかよ!!? 俺の勘ありがとう!! お陰で死なずに済んだぜ!! ってかおい。



「俺と相性最悪じゃねぇか!!」



あいにく物理特化なんで魔法攻撃のを防ぐ手段なんて自前じゃ持ってないわ!! 単発なら何とでもなるけどもし仮に複数回攻撃とかだったらアウトだぞアホか!! 流石に『彗星』一度じゃ複数攻撃は防げんぞ!!?



「最悪じゃねぇか・・・どうすっかねぇ」



「やる気たっぷりじゃん」



そりゃそうだろ。どうやって一撃叩き込んでやるか考えてんだし、そもそも簡単に倒せない相手の方が俺としては燃える。



簡単に倒せる相手とか敵としては消化不足だ。その点、侍戦はいつ戦っても緊張感とかそういうのがヤバイな。気を抜けば死ぬ感がたまらない・・じゃなくてだ、今はボス戦。切り替え切り替え。



ガゼルは大きく周り再びこちらに向かって突進してきた。魔法は常時発動型みたいだな。ってことは魔法の間を縫って一撃叩き込む作戦は無理っぽい。



「おっと」



再び突進してきたガゼルから距離をとり側転して回避。ガゼルだし足腰は強靭だから足元を崩す方法もあまり効果がなさそうだ。どうすっかなぁ。



実際のところディアの力借りるか、『天籟刀:ズイカク』を抜けば一瞬で勝てるんだけどそれだとなんか試合に勝って勝負に負けた感あるから却下。



自爆覚悟で突貫してもいいけどなんかマー坊に馬鹿にされる気がするからこれも却下。しゃーない。手当たり次第試してみるか。



「『錬金:弓矢』」



エクストラジョブ『星の錬金術師』の力はその場での即効錬成が可能。作り出す物の形状を立体で想像し様々な細工と使用するアイテムを選択し、当てはめていく。



設計図が脳内で完成したら実際に素材を使い錬成を行う。



エクストラジョブ入手時に俺の両腕には『星の錬成術式』が浮かび上がっているため、通常の様に錬成陣を必要としない。



「『素材選択:鉄鉱石・エサルト木材・兇豹の荒皮:錬金』」



選択した素材が消費され即興ではあるが簡易弓矢の完成だ。少しデカく作ったためアイテムの数もそれなりに使ったけどまぁいいだろう。





――――◇――――

・『星の錬金術師』スキル発動

・素材:鉄鉱石×30、エサルト木材×30、兇豹の荒皮×5を消費 

・成功:兇豹の大弓×1、通常矢×99

――――◇――――

武器 弓矢『兇豹の大弓』

攻撃力+57 特殊効果『魔力貫通』

・兇波鋭豹の素材を使用して作られた大躬。放たれる矢は魔の力を貫通する力を持つ。

――――◇――――





まぁまぁいいんじゃないか。ジョブが弓兵だとジョブスキル通常矢が無限装備らしいけど、それ以外のジョブが使用する場合は別で、矢も制作もしくは購入しないと使えないのだ。一応依頼で弓矢もいくつか作っているので、この程度なら朝飯前だ。



掲示板にて『弓は使えますか?』って言ってたのを覚えていたし、もしかしたらこれが攻略の鍵になるかも知れない。



「いつ見てもスゲェよな。普通の錬金術師が見たら泣くよな」



「だろうな。だからあんまり大見栄張って自慢したりはしてねぇだろ。それにまだ使い始めて一ヶ月だし、まだ『錬金術師』に専念してる奴らには及ばねぇよ」



「だな、ではお手並拝見ですな剣聖どの? 剣じゃねーけど」



「そこまで行くと剣聖カンケーねーよ」



むしろ弓兵じゃねぇか今の俺。けどまぁ、道場の息子なめんなよ? 爺ちゃんに色々仕込まれたんだ。使えない武器はねぇよ。因みに爺ちゃんは道場がないときは漁師で稼いでいる。曰く趣味も含めているとか。趣味で漁師とか聞いたことねぇよ。



「・・・・・」



弓矢を構え、矢を引く。こうして弓矢を射るのは久しぶりだから上手くいくか自信はないけどやってナンボだ。



和弓のように大きくしたのは威力にごまかして下手さを補うためだ。それと何か風を纏っているとのことなので威力に物を言わせて貫けたらいいなぁという願望である。



「・・・・・」



絶好のタイミングと思われる瞬間に矢を放つ。飛び立った矢は真っ直ぐにガゼルへと向かっていく。



『ブロォォォォォ!!!!』



まぁ案の定、放った矢は風に遮られて在らぬ方向へと吹き飛ばされていく。そしてガゼルはそのまま俺の正面に突っ込んでくる。



「あらよっと」



速度自体は大したことはない。回避は正直余裕だ。前方宙返りにて突進を回避し、空中で態勢を整えて二本目の矢を射る。



「なんちゃって『天翔サジット THE 弓』ってか!」



『ブゥォォォォォォ!?!!?!』



「え?」



「お!!?うまい!お見事!」



また風に吹き飛ばされると思っていた矢は、遮られるどころか速度をあげて直線に飛び、その後頭部へと深く突き刺さった。回避されるもしくは吹き飛ばされると思ってたから俺も反応に困る。



「やるじゃん。まさか三回目で弱点見つけるとはな」



「え? マジで? コイツこれが攻略法?」



「と言うか普通のプレイヤーには宙返りしながら弓矢射るなんて普通出来ねーよ。なんであの体勢から弓矢引けたのか俺としては驚きだよ」



いやだって、『天翔サジット』は基本衝撃の矢を飛ばす奥義だし、割とそこらへんの石とか、自分の剣とかぶん投げて敵を攻撃するとか使うこともあったからこれくらいはねぇ。



「細かいこと言うと突撃してきた所を回避もしくは受け止めて、一定距離以内から後頭部に攻撃するのが正攻法だな。特に弓だと、奴が纏う風がこっちの後押ししてくれるからベスト」



「なんだよ。案外簡単じゃねぇか」



「普通に考えると、あのガゼルの突進余裕で回避できるのが、お前のレベル帯では普通いねーよ」



ちなみに現在レベル49。強敵や大群と戦っていたこと、さらに『星読み人』のジョブスキル『流星』にて『特殊効果:獲得経験値上昇』などを引き当てたりしたのでこの短期間でハイペースでのレベルアップを果たしていたのだ。



「あえて言おう『お前らとはレベルが違うんだよぉ!!』」



「最近裏切ってチャンピオンと決別したよな外〇さん」



「最近って言ってももう結構前だけどな」



あれは本当に衝撃的だったよな。まさかの裏切りだったし。にしてもあの人本当に強いよな。次はドームで戦うんだよな。お願いしたらチケットもらえないかな。



『ブォォォ・・・・ブォォ・・・・』



突き刺さった場所が急所だったようで、ガゼルは地面に倒れて苦しそうに唸りを上げていた。立ち上がろうとするが、当たり所が悪く脳指令が働かないのか全然立ち上がれる気配がない。



「何か見てられないから仕留めてくる」



「おう。油断して殺られんなよ?」



わかってるよ。若干駆け足気味で近づけばガゼルはジタバタと暴れながらも敵意のある目で俺の目を捉えてきた。最後まで激痛走る体を動かし、俺を殺そうと足掻く姿はまさにボスのあるべき姿という感じだ。



「痛みを感じることなく逝けよ『神斬雲雀』」



『ブロォォォ・・・!!!!!』



『双子星の剣』を抜き、そのままなぎ払うように一閃。痛みがないように即座に首を落とし、神経を断つように数度体を切り裂いていく。切り口から溢れ出る白い体液と、徐々に力を失い動きが静かになっていくボス『メフィラガゼル』。



数秒間攻撃を続けていくと、ボス『メフィラガゼル』は光となって消えていった。




――――◇――――

・『大草原(旧街道)エリアボス:メフィラガゼル』撃破しました

・素材:暴風鹿の角、暴風鹿の毛皮、暴風鹿の魔眼を入手

・新フィールド『旧ガストレード街道』が解放されました。

――――◇――――




「傍から見たらマジで虐殺だよな」



「痛くないように殺るとこうなんだよ」


たまには正攻法でやってみたくなる時がアールにもあるんです。

感想よろしければお願いします。


活動報告にて、新キャラ案募集始めました。よろしければご参加ください

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― 新着の感想 ―
[良い点] ギルファーお留守番するんだ まんま犬やんww 。 [気になる点] 所々分からないネタがありました 教えてください。 アールでも正攻法で戦うんですね! [一言] 仮面ライダーのネタはなんとな…
[一言] 仮面ライダー…いいよね… ジオウのあの展開は確かに予想外だった。 確かに次のダブルヒーローどうするんだろ?Wの時みたいに映画に次のヒーロー出して次からダブルヒーローかな?
[気になる点] >複数回攻撃とかアホか!! (マー坊はこの時点だと、魔法攻撃ってだけで、複数回攻撃ってまだ解説してないような) 話の流れ的に普通の矢なら正面攻撃は、 風に遮られて在らぬ方向へと吹…
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