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109:武器の真化『ミスリルソード』

早速レアドロップゲット



「ねぇバカ師匠?何してるの?」



「あ、そう言えばお前見るの初めてだっけか?」



ギルファーに伸びている三人を任せたようでルークがこちらに来た。一つ一つ説明するには時間がかかるので真化に関して最低限の説明をすると、ルークは。



「なにそのカッコイイ展開!!」



それはもう目をキラキラさせてこちらを見ていた。僕もやってみたいと目で訴えてくる。それはもうこれまで見たことないくらいに強くキラキラしていた。



「ルークは武器ドロップしたのか?」



「してない!!」



腰に手を当てて自慢げに答えることではない。・・・・・まぁ、別に俺は使うつもりなかったしいいか。



「やってみるか?」



「いいのっ!!?」



擬似真化なら妖刀のように精神を飲まれることはない。剣の意思を見つけて主として認めてもらうにはそれなりに頑張らないといけないけど、何事も経験だな。



それに最初に真化をさせるのが擬似真化した武器というのはかなりやりやすいし。



ミスリルソードをルークに渡し、所有権をルークに変更。文字通り自分の武器になったミスリルソードを嬉しそうに眺めるルーク。



「それじゃやってみるか」



「うん!!!」



「まず剣に意識を集中させろ。素振りするときよりももっと集中する感じだ。そうしたらその内不思議な感覚が出てくるはずだ。そうしたら教えてくれ」



「集中・・・集中・・・・・」



あとは実際に真化させる人間にしか見えないし認識できない。閉ざされた武器の意思を見つけて語りかけるしかない。



「・・・・・・・・・」



一分・・・・二分・・・・・やがて三分と経過していく。周囲に変な影や気配がしないかを確認しながらルークが感覚を掴むのを待つ。



10分ほど経過した頃だろうか、伸びていたリークたちが目を覚まして起き上がり、こちらを見ると物珍しそうにしながら近寄ってきた。



「・・・・なにしてるの?」



大きな声を出すわけには行かないと見てわかったのだろう。耳打ちするようにリークが代表して尋ねてきたので後で教えるとアイコンタクトすると首を縦に振ってくれた。



「・・・・・・・あっ!?」



「見つけたか?」



「うん!!それっぽい感覚あった!!」



「なら今度はその感覚が強くなるように意識を持っていけ。その後は聞こえた声に自分の思いを伝えていけばいい」



「うん!!」



なかなかいい調子だ。これなら30分しないで真化出来るんじゃないか?『真刀:戯』の時に思ったがアフターストーリーよりも真化させやすかった。多分ルークでも真化は可能だろう。



そして今の会話で何をしているのか把握したようで、リークとレイレイが俺の左右に立ち、ズルいズルイと訴えながら体を揺さぶってくる。マー坊も羨ましそうにジト目でこちらを見てくるのでちょっと怖い。



「ドロップに『効果:擬似真化』の武器あるか確認してあったら教えてくれ」



すると三人とも即座にアイテム欄を確認し始める。ドロップ率どうかはわからないけど、ドロップしてたらちゃんと教えてやるから。アイテム欄を漁るように三人が確認すること3分後。



「僕は強くなりたい!!師匠が自慢できるくらい強くなって一緒に戦いたいんだ!!」



そうしている間にルークが剣の意識に到達したみたいだ。



わかりやすく言うとあれだ。ハーフでボイルドな探偵の相棒が閲覧出来る地球の本棚みたいな感じだ。



もしくはイベントになると時代とか時空を超えてシフトしちゃう世界を救うために過去の時代で戦ったマスター的な?



そんな感じの場所にルークは意識が行ったのだ。思った以上に早かったな。それにしてもなかなか嬉しいことを言ってくれるな。街についたらケーキ食わせてやろう。



同じようにルークの決意表明を聞いた三人も、目を点にするようにルークを見ていた。確かにいきなり小っ恥ずかしい決意表明し出したらびっくりするよな、



ちなみにこの時俺もそうだが、外の様子は曖昧になる。自分が口を開いて言っているのか、はたまたその不思議感覚の場でしか話していないのか、実際第三者が見ていないと気がつかなかった。



やがて剣が優しい光に包まれて姿を変えていく。どうやら今ので成功したみたいだな。



エメラルドグリーンに煌く刀身に数本の線が伸びていき模様を描いていく。ゆっくりとルークが目を開くと、変化した姿を見て声のない歓喜の悲鳴を上げながらぴょんぴょん飛び跳ねた。



「しししししし師匠!!?見てこれ!?カッコイイ!!」



グイグイ押し付けるように見せてくるルーク。そこでようやくリークたちが目覚めたのを気がついたのか、顔を真っ赤にしたと思えば、俺の体で隠れるように縮こまってしまった。



「よしよし」



「っ!??!?!?!!?!?!?!?!?!??!?!?!」



恥ずかしすぎて人の顔を見れないのか、ギュッと顔を俺の腹に埋める。そうしながらも、真化させた武器は俺に渡してくるあたり可愛らしい。





武器:両手剣『ミスリルソード:アイディール』

攻撃力+34×1.2 特殊効果『真刀』

・平凡な武器であったはずの『ミスリルソード』が所有者の思いにこたえて『真化』した剣。生まれたばかりの剣はまだ戦いを知らない。だが、目指す姿を追い続ける限り、剣はその思いに必ず応えるだろう。





まぁこんなもんだろう。真化させた武器は初期状態だと大幅に弱くなる。ちゃんと使い続ければ間違いなく強くなる。名前的にも啖呵的にも間違いなくルークの実力が伸びれば剣も強くなるだろう。



「・・・・ひぐっ」



恥ずかしすぎて泣きそうになってるのを見ると、まだまだ先は長そうだけどな。


















機嫌取りをして再び目的地に向けて歩き始めた俺たちだが、やっぱりそう簡単にはいかないものだ。



『『キキィ!!!』』



「邪魔」



『『キギぃ!?!?』』



先手必勝&索敵必殺



猿との戦い方を思い出してきたので、気配を感じ次第エリシオンでの強襲からの鏡雀もしくはサジットで串刺しからの十二宮奥義接続で動かれる前に始末する。レアドロなのは変わりないようで武器のドロップは未だゼロ。



リーク達も戦おうとするのだが、速攻状態異常を叩き込まれてしまい戦力外。流石に10回を超えてからは立つ瀬がないのか借りてきた猫のように静かである。



状態異常にかからないルークが戦ってみたのだが、武器を奪われかける&一撃で復活発動&HP減らせない攻撃力のスリーアウトで同じく項垂れてしまっている。



俺でも少し気を抜けばやられる相手だし仕方ないといえば仕方ないのだ。ステータス関係なしにプレイヤー本人経由で叩き込まれる状態異常とかエゲツナイ事を平気でやるのがアフターストーリーのえげつないポイントである。



大切なことなのでエゲツナイを何度も言う。



他にも泳げないと進めないダンジョンとか、プレイヤー本人を潰しに来る呪いの言葉とか、ホラー顔負けの呪いの遺跡探索とか、条件反射を無理やり使わせてくるような攻撃とか。


意外と効くのが感情の揺れ幅が大きくなって怒り狂ったり、絶望しやすくなったりすることだ。



特に必要悪にならないといけないときにそうなると、マジで辛い。後に真実が明るみに出るまでの間、俺が辿る道は罵詈雑言の限りを尽くしてきたNPCや武器を向けてきた仲間たち、場合によっては国そのものが敵となり襲いかかってくる事だ。



建前を得た人間はその時に関わりを消すためにその対象へ攻撃の矛先を変える。たった一つの命のために俺は世界との戦いに巻き込まれた。

これまでの仲間たちからの攻撃が襲い掛かってくる。



物理的に死ぬか、精神的に死ぬか。



最後の答えを選ぶために必要なのは心に決めた約束だ。自分のことに関しては後悔しない道を選んだ上での事なのでいいんだが、仲間や町の人はそうじゃない。操られたわけではなく、間違いなく本心だ。操られていたならどれだけ救われただろうな。



そんな彼らの心を救うのは、英雄、勇者と呼ばれる何処かの組織のリーダーだ。



例を挙げれば他にもたくさん出てくる。あれだけ殺られて精神的に何の異常もなかったんだから俺も随分図太くなったと思う。



『ゴォォォォォォ・・・・・』



とか思い出しつつ猿狩りしていると随分と図太い声を漏らしながらガッチリとした体付き、見るからに硬そうな毛皮で覆われた体、小麦色の巨大猪が現れた。こいつも久しぶりに見たな。



足だけでも俺の胴と同じくらいある。雄々しく伸びる二本の角が強者感を醸し出し、鋭い眼光が敵である俺を射抜くがごとく光っている。



「おーい。こいつならお前らでも問題なく倒せるぞー?」



「「「・・・・・とりあえず倒して」」」



「・・・・・」



何故かジト目で見てくる三人と、無言で頷くルーク。本当に問題ないはずなんだけどな。”ちょっと”突進が速いけど。



「『白月』」



『ブゴォ!?』



猛スピードで突進してきた猪の角を掴んで突進を止める。流石に速かったから衝撃の量も段違いだ。



『コロココロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス』



掴んだ角から呪いのように俺の頭の中に響く怒りと憎しみの篭った声。



「『水無月写鏡』」



『ゴロズブォォx!?!?!』



煩かったので掴まえた角をへし折り猪の体勢を崩す、横に顔を向けた猪と俺の間にできたスペースを一歩前に出て詰める。そのまま拳を構えて衝撃を集中、そして一気に空いた首元目掛けて叩き込む。



「超越月光流十二宮奥義『月翔恋(げっしょうれん)サジタリオ』」



『――っ!!?』



『天翔サジット』で猪の体の中に手を突っ込み、そのまま『恋爪レオ』と『月光真流陸之型:照月』でそのまま首を無理やり切り落とす。



『月光真流陸之型:照月』は触れたものに衝撃を流し込み相手を浮き飛ばす技。首は上へ吹き飛ばし、胴体はレオで下に向かって抉り落とす。



バウンドしたバスケットボールのように宙へ飛ぶ猪の首。本来ならここは白い光が出てグロ描写を規制するのだがこの猪は違う。



断面からはエイリアンのように気持ち悪くグチャグチャグネグネ動く肉が顔を見せる。しかもちゃんとどす黒く赤い体液を撒き散らす。



ジ〇リ的に言うとタタリ神みたいな感じだ。すごくウネウネしてる。



これだけでSAN値チェック回避不可能だろうけどきっちり倒すためには仕方ない。多分修正されて他の倒し方もあるんだろうけど俺は知らないのでいつも通り倒す。



抉り落とした首と胴体が個別に再生を始めたので直ぐに止めを刺さないとな。まずは近いほうから。



ちょっと気持ち悪いけど再び拳を構えて、グチュグチュと動く胴体の断面に腕を突っ込む。



『シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロクワセロオマエモヒトツニナレェェェェェェ!!!!!!』



「超越月光流十二宮奥義『堕天スコウロス』」



見つけた心臓に似たこの猪の命の集合体を体外へと衝撃で押しつぶすように叩き出す。



モツ抜き貫通奥義こと『堕天スコーピオ』をその場で前に出るように体を動かして『魔進タウロス』で集合体を貫きつつ周辺の臓器もまとめてグチャグチャにしながら体を吹き飛ばす。



わかりやすく言うとモツ抜きを繰り出して、モツの位置を変えずに、猪の体だけを吹き飛ばした状態だ。逆モツ抜きってか?



握った命の集合体を握りつぶすと胴体の方は光となってゆっくりと消えていく。もう片方も始末してしまおう。



丁度胴体の半分位まで再生しつつ俺の真上に落ちてくる首だけだったもの。現在はもう胴体を真っ二つにされた猪みたいになってるけどそれは置いといてだ。



丁度上から重力落下でそのまま落ちてくるし逃げられない上に重量まで増やしてくれたからこのままブチ抜くか。まだ衝撃のストックはたっぷりあるし。



「超越月光流十二宮奥義『天雷進瓶ドラグレイエリシオン』」



光の巨人の登場シーンが如く拳を突き上げて空へ向けて全力で飛び上がる。そのまま衝撃を叩き込みプレスするように顔から胴体を重力と共にぺしゃんこに潰す。



真っ赤な液体をまき散らしながら分裂を始めていた元一匹の猪は光となって消えていった。





――――『エイリーアボア』『エイリーアボア(分裂体)』を撃破しました。

――――2432Dを獲得





「・・・帰りたい」



「もうやだ・・・」



「うわぁぁぁーん!!!気持ち悪いィィィィ!!!!!」



「ウネウネいやぁァァァ!!!?!!?!?!?!?」



互いに身を寄せ合い泣き出すリークとルーク。猛抗議をするレイレイとマー坊。実にカオスである。




アフターストーリー&エクストラの洗礼を受けるアフターストーリー未経験者たち。

ちなみにアールは慣れた模様。

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