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らん豚女神と縛りプレイ  作者: ジェームズ・リッチマン
第二章 無知と未知への恐怖心
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一円を拾うのが損ってことはないと思う

 破竹の快進撃、と言うにはあまり爽快感が得られないほどサクサクと手応え無くダンジョンを突き進み、気がつけば俺達は下り階段の正面に辿り着いていた。

 道中はほとんど素通りも同然で、アトラクションか何かをやっているような気分だった。

 虫のようなスカルベは簡単に蹴り殺せるし、ちょっと大柄のスケルトロールも、クローネの『ホーリー・ライト』で難なく処理できる。

 そんなゆるーい戦いの結果、俺のバインダーにいくつかのカードが増えることとなってしまった。



■「レイ・ストライク」スキルカード

・レアリティ☆

・標的を撃ち抜く霊力の砲弾。術者が使用を宣言すると、カードの絵柄から霊力弾が射出される。


■「オート・コンプ」スキルカード

・レアリティ☆☆

・拾う手間無くらくらく回収。24時間だけ、自分がドロップしたカードを自動的に手元に引き寄せるようになる。


□「カルカロン・ギフトカード」アイテムカード

・レアリティ☆☆

・おう、金の亡者よ! ワシが金を恵んでやろうではないか!

 発動させたならば、ワシが直々に1000カロンを恵んでやるぞ!



 計3枚。ありがたいことに、倒したモンスターが必ずカードをドロップしてくれた。

 その内2枚は使ったことのあるカードだったので、特に気にすることはなかったのだが……。


「……なんですか、そのアイテムカード」

「わからない」


 さて、いざ地下2階へ……というところでドロップしたのが、このアイテムカード。『カルカロン・ギフトカード』である。

 効果は、どうやら1000カロンという大金を恵んでくれるらしい。

 しかし、カルカロンと言えば……。


「これを読む限りでは……間違いなく、商神カルカロンのことですね」

「……神様が直接お金をくれるのか?」

「……カードの文面からは、そのように読み取れますね」

「おほー……」


 なんかカードのテキストに描かれているのがすっごく口語っぽくて不安なんだけど。

 イラストに描かれているものも、金色に輝く一枚のコイン、ただそれだけ。

 シンプルなのはわかりやすいのだが、使って良いものかちょっと不安である。

 カードの神様ミス・リヴンさんに限って、おそらく変な詐欺紛いのカードは作らないだろうけども……。元いた世界ではあらゆる詐欺が身の回りに溢れていたため、どうもこういった甘い話には一歩躊躇してしまう。


「……ヤツシロさんのカードも、大分増えてきました。もしかしたら、これから更にカードが増えるかもしれません」

「まぁ、それは確かにそうだな……」


 クローネは俺の持つ赤いカードバインダーを見ながら、真剣に言う。


「すぐに発動できるものは、今のうちに使っておくのも手だと思いますよ。これから先は、もしかしたらバインダーをゆっくり整理する時間が与えられないかもしれませんから……」

「なにそれこわい」

「確かに……それはちょっと怖いなぁ」


 この調子だと、地下二階はせいぜいスケルトロールでいっぱいかなーくらいな予感もするのだが、一気に難易度が跳ね上がる危険性もあり得なくはない。

 まぁ、使っておいて損のないアイテムカードではある。ここはクローネの言う通り、使っておくしかないだろう。


「じゃあ……『カルカロン・ギフトカード』発動!」


 俺はカードを掲げ、堂々と発動を宣言した。

 それと共に、手にしたカードが強い光となって辺りを真っ白に照らし、薄暗いダンジョンを鮮明に染め上げる。


「ぴー、まぶしー!」

「ウウ……!」

「なんつー光だ……! って、うわっ」


 強い光に怯えている場合ではなかった。

 薄目を開けると、なんと俺が作り出した輝きの向こう側から、一本のか細い手が伸びているではないか。


 褐色肌の、子供のように細い腕。

 手首には黄金の腕輪がいくつも嵌められており、折れてしまいそうなほど細い指先には、一枚のコインが山吹色の輝きを放っている。


『ほれ、どうしたんじゃ。金じゃぞ。さっさと受け取らんか、貧乏人』

「え?」


 呆けていると、幼い少女のような声が響いてきた。

 俺は何テンポも遅れて、その声が自分に向けられたものであることに気付く。


「あ、は、はい。ありがとうございます。いただきます」

『うむうむ。貯蓄などというケチな使い方はするでないぞ。金は使ってこその物じゃからな』

「あっはい、わかりました」

『じゃあのぅ』


 褐色の手は最後にゆらゆらと手を振って、光の中へと引っ込んでいった。

 それと同時に眩い輝きは急速に萎み、夜のような暗黒がダンジョンの通路に戻ってくる。

 そうして少しの間、俺達は半口を開けたまま無言であったのだが、最初に口を開いたのはペトルだった。


「そのお金、とっても綺麗ね!」

「……だな」


 俺の手元に残されたのは、1000カロンの価値を持つというカロン黄銅貨。

 ……くれたのは凄く嬉しかったし、予定通りではあったんだけど……まさか、本当に手渡ししてくるとは思わなかった……。


「……商神カルカロンは自らの信仰を広めるため、頻繁に下界へ露出するとは聞いていましたが……まさかアイテムカードの効果でも現れるとは、知らなかったです」

「ワタシ、か、神サマ、直接見たのハジめてです」

「おほー?」


 ……色々と言いたいことはあったのだが、俺は言葉を飲み込んだ。

 神様に関しては、いちいち突っ込みを入れたらキリがないなぁ。




 ……さて、これで本当に地下二階へと突入だ。

 意図しない休憩も挟んだことだし、気持ちを入れ替えて進んでいこう。


『最近不景気じゃのぅ。人ももっと贅沢して、金をばら撒けば良いものを』

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金は社会の血の流れですからねえ。無駄に貯め込まれた金は止まって腐った血の如し 基本的にはみんなが景気よく使う気分であれば大体問題は解決するもので
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