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FreeStar〜短編集〜  作者: 楽俊
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駅のホームで

 駅で切符を買い、無人の改札を通りすぎる。イヤホンで音楽を聴きながら、反対側の駅のホームに向かう階段をのぼる。最近、はまっているバンドでアコースティックバージョンが、とてもかっこいいのだ。ギターを始める前は興味を持たなかったけれど、最近好みの曲が変わってきたのかもしれない。


 ホームから次の列車が来る方に目を向ける。次の電車まではまだ時間があったが、今度は乗り遅れないように余裕をもって改札で待つことにした。田舎のローカル線ということもあり、通っている本数が少ないので乗り過ごしたら大変である。


 こうして、駅のホームにいると高校の頃に聞いてた曲を思い出す。私は、その曲のタイトルを探し久しぶりに再生してみた。動画を一度見たことあるけど、この曲のpvも確か電車に乗ってたな。

この時間が好きだった。一番、私が想像的になれる時間帯。気づいてみると、社会人になってから、こうやってゆっくりとなにかを待つ時間をとれていなかったかもしれない。


 隙間時間にも仕事を詰め込んで、いつもなにかをしてなくてはいけないような気がして、いつも何かに追われていた。今の仕事を辞めたいと想っているが、他にやりたいことや得意なことも思いつかない。


 今の仕事を始めたきっかけは、高校の頃の同級生の加奈子に誘われたからだ。もともとは経理事務の仕事をしていたのだが、持ち前のポンコツさを発揮してミスばかりしていて、周りに迷惑を賭けてばかりの毎日をおくっていた。高校の頃の集まりで、あまりうまくいってないことを話したら、加奈子が「じゃぁ、うちの保険会社で働いてみたら? 若いうちに色々試してみたらいいじゃん」と、言われ私はやんわり断ったつもりだったのだが、後日電話があって「上司に話したら、よかったら話だけでもしてみようか」と、言われ面談のような形になってしまった。


 会社をそんな簡単に辞めて転職していいものかと思ったが、派遣で働いてたため正社員という肩書きに惹かれたというか、半場強引に押し切られて転職することになってしまった。

 加奈子は、高校の頃からいつもそうだった。私の気持ちはあまり考えず。いつも、あの子の一挙手一投足に振り回されていた気がする……。あまつさえ、私が入社したあと、すぐに辞めてしまう始末である。

 そんなことを考えていると、先日温泉街で楓さんが話していた言葉を思い出した。


「もう、自分を傷つけた人のために時間を使うのは辞めなさい。自分がどうしたいかが大切なのだから」


 彼女は今ここに居ないのだから、そのために時間を使うのはそれこそもったいない。大好きな曲から思い出す思い出は、できれば楽しいものがいいなと想いながら到着した電車に乗り、この曲を聞きながら、あの日とは違う窓の風景を眺めながらメロディーを口ずさむのだった。


「私が神様だったら、こんな世界は作らなかった――」


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