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メカニカルキーボードを改造しよう

メカニカルキーボードの軸を交換する話です。

300度くらいのはんだごてを使うので、自分もやってみようっていう方は火傷だけは注意してください。

指が焼きウインナーになります。

「せんぱい……、コレ臭いっすっ!!臭いっすよぉおおおお!!!!!!」

「我慢しろ。それがだんだん病みつきになってくるから」

「しかも、コレかなり熱いっすっ!!」

「ソコは危ないから触るなよ?もうちょっと下の太くなっているところを持つんだ」


 鏡花にはキーボードの「軸」といわれる、メカニカルスイッチの取り外しをやらせている。

 この間「茶軸だと軽いし、ちょっとうるさいっす」って言ってたから、「静音黒軸」といわれるものを用意した。

 茶軸の打鍵よりやや重く、打鍵音が静かだから鏡花の目的に一番合うんじゃないかってことで選定。

 いつもの通信販売サイトだと10個入りだったから、わざわざ代理店のホームページから50個入りを2セット買った。

 100個って聞くと多いように聞こえるかもしれないけど、俺たちが使っているキーボードは「日本語配列テンキーレス91キー有線接続メカニカルゲーミングキーボード」と呼ばれるモノ。

 要するに100個買っても、作業ミスの予備や構造の勉強を考えると余裕はない。


「せんぱい、キーが抜けないっす……」

「良いか鏡花?絶対に力技で引っこ抜くなよ。基盤が壊れて二度と使えなくなるぞ」


 このキーボードを改造するにあたって、一回見本でやり方を見せた。その時に確認したが、最低でも2層の基盤になっていた。

 ということは、表と裏の配線が「スルーホール」という穴でつながっている。

 穴の中に施された銅メッキでそれをつなぎ、「ランド」といわれるはんだ付け用スペースで部品から出ている脚をはんだで固定していると思われる。

 この穴の壁にされている銅のメッキは非常に薄い。ちょっとはんだの除去不良があり、力技で引っこ抜くと一緒についてきてしまう。

 そうなるとあとは簡単だ。その基盤は修復不能。処分。以上。


「こういう風にうまく取れないときは、一回はんだをし直す。そして、もう一度作業を行う」


 こうしないと、「ランド」と呼ばれるはんだ付け用スペースの銅を除去することもある。この場合はまだ修復が効くこともある。基本的にはNGだけど。

 こういったはんだリワーク作業は、結構難易度が高いんだよなぁ……。


「よし、全部取れたっすよせんぱいっ!!」

「お疲れ様。ちなみに今回はLEDが無いキーボードだから、結構時間かけても大丈夫だったわけだ。LEDは熱に弱いから、もしLEDついているキーボードをやるときは、もっと練習しろよ?」


 二度とやらないっす。という後輩をスルーして、キースイッチを満面の笑みで取り出す。


「……笑顔キモいっす」


 いつものごとくチョップをしようと思ったが、高温作業中なのでやめておく。危険はできるだけ回避するに越したことはない。


「そういえば、せんぱい。この『はんだ吸い取り機』でしたっけ?もっと楽なのは無いんすか?工場の人とかだと大変っすよね?」

「電動タイプがあるけど、高い。俺が欲しいと思っている奴は2万くらいするけど、これだと2千円くらいだから10本買える。それを考えるとね?」


 こちとら、あんまりお金ないから修理して使ってるわけだ。でも、今後もしも沢山やるときが来たら買おう。LEDついてるキーボードやるときとか。


――――――

――――

――


「せんぱい、はんだ付け出来たっす。確認してもらってもいいっすか?」


 鏡花にはんだ付け180ヶ所――2か所はお手本で俺がやった――作業させてみた。

 メカニカルスイッチは樹脂でできてるから、はんだごてを当てたら溶けてしまう。しかし、構造としてはかなり単純なうえに、電気的な基盤などは入っていなお。押し込まれたときに動く接点だけ。

 要するに、押しボタンスイッチになっているだけなので、そうそう熱で壊れることが無いのでやらせてみた。何事も経験経験。


「ん~、ここのはんだが『芋』になってる。後ついでに、ここの部分がはんだ足りてない。多分、使えるとは思うけど、あとでトラブると思うから直しておいたほうがいいな」


 鏡花はちょっとビビって、はんだごてを当てている時間が短かったようだ。十分に熱が伝わらないと丸みを帯びたはんだ。通称「いもはんだ」と呼ばれる状態になる。

 この状態でも通電すれば使えることは使える。ただし、中に空気が入っていることもあり、落とした時の衝撃などではんだにひびが入って使えなくなる原因の一つになる。

 はんだづけで一番きれいに言った時、俗に「富士山状」という。要するに、子どもに「山の絵を描いてみて」と言った時に描かれるような形になっているとベスト。


 はんだづけをやり直させてパソコンにつなぐ。

 で、いつもジャンクキーボードを買ってきたときに、テストするサイトにブックマークからアクセス。

 すべてのキーが反応していることを確認。作業終了!


「初めてはんだづけしたにしてはよくできてたな。この分ならあと一枚やればい俺よりうまくなるな」


 まんざらでもない顔の鏡花。

 実際、初めてにしては驚くほどはんだ不良が少なかった。

 頭を撫でてやろう。


「せ……せせせせせせせせせ………」


 あ、壊れた。面白いからほっとこう。

 基板をきれいに掃除して、組み立てる。ネジを締めて終わり。

 そうそう、組み立てるのは動作確認終了後のほうがいいよ。万が一ミスってたら面倒だから。


「……ふにゅう」

超本格的にe-GAMEをやられている方は、もしかしたらこういった作業をやっているかもしれません。


これをやると、

「特定のキーだけ軽くする」

「特定のキーだけを重くする」

「そもそも部品をはんだ付けしないで効かなくする」

と言ったカスタムもできたりします。


また、通信販売サイトで「キーサンプル」というものが売っています。

それを使って自分に合った「軸」を探してみるのも、面白いかもしれません。


最後に繰り返しになりますが、くれぐれも火傷には注意してください。

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