小話50 赤魔道士の帰郷
○ 小話44 赤魔道士のリタイアの、セオが3人娘にプロポーズした直後の話です。
「俺の両親に会って欲しいんだ」
結婚相手のご両親とご家族に、ご挨拶する。
モコとヴァイオレッタとグレースは緊張した。
「って言っても、すぐには行けないから、まずクランのみんなに報告に行こうか」
と、セオが破顔して言った。
私たちはクランのハウスに行って、左手の薬指にはめた結婚指輪を見せて、結婚することを報告した。
私たちは大歓声で祝福され、そのままお祝いのパーティーが開かれたのだった。
私たちがセオを狙っていたことは周知の事実だったので、ある程度の準備はされていたみたい。
みんなからお祝いの言葉をもらって、これからどうするのか聞かれた。
「ひとまず両親に、ご挨拶だな」
セオがそう言うと、クランのメンバーから質問が飛んだ。
「セオ先生の故郷って、どこですか?」
「今はラプアシアだな」
「今は?」
メンバーの突っ込みに、セオが答えた。
「故郷の村が、村ごとラプアシアに移住したんだよ」
「ラプアシアかぁ••••••グルメの都。いいとこじゃん」
「じゃあセオ先生たちは、これからラプアシアに行くんだ。いいなぁ••••••」
クランのメンバー全員が羨ましがった。
そう言って、私たちをチラチラ見るメンバーたち。
なにを期待しているのか、丸分かりだった。
「「「一緒に行く?」」」
異様なプレッシャーに私たちは折れて、同行を許可したのだった。
大喜びするメンバーたち。
みんな••••••野暮って言葉、知ってる?
私たちのクランは、全員、一生遊んで暮らせるお金を持っている。
みんなラプアシアで観光旅行がしたかったのだろう。
セオが大笑いしていた。
迷宮都市から数日かけて飛空船の発着場がある都市に行って、それから飛空船でラプアシアに。
着くとすぐに、みんなでセオの故郷の村に行った。
ラプアシアに着いたら自由行動って話だったけど、みんなセオの家族に挨拶がしたいんだって。
村に着くと、セオのご両親とご家族に会えた。
高齢だったけど、元気なご両親だった。
セオの村では、村人全員が家族っていう風習みたいで、宴が開かれて村人全員にご挨拶した。
ふと、村人の中に見たことのある顔があった。
私たちはびっくりした。
姿絵で広く知れ渡っている英雄。
Aランク冒険者パーティー双頭竜のみなさんだった。
英雄の登場にガチガチに緊張する私たち。
なのにセオはまるで10年来の親友と話すかのように双頭竜のみなさんと接している。
そのことについて質問すると、
「ああ、俺は元々、双頭竜のメンバーだったんだ」
そうセオがなんでもないように言っただった。
「じゃあ、セオって、Aランカー!?」
英雄じゃん!
私たちの混乱はすごかった。
道理でセオって、すごい人だったんだ。
妙に納得した。
セオが双頭竜のメンバーの、女戦士と魔法使いと僧侶に、なじられていた。
「「「私たちは「年下だから」って袖にしたクセに、こんな若い子と結婚して!」」」
セオの旗色は悪かった。
しどろもどろのセオが言った。
「お前らの面影が重なって、放っておけなかったんだ」
頬っぺをつねられて、許してもらっていた。
宴にはなんと、ラプアシアの領主さまも参加された。
セオが、
「これからも村のみんなを頼みます」
と言って、上納金を渡していた。
領主さまは、快く受け取ってくださって、
「任せろ」
そう言って笑われた。
セオのご両親とご家族にご挨拶して解散となったが、そのまま宴が夜まで行われたので、みんな村に泊まることになった。
メンバーは、いくつかに別れて宿泊。
私たちは、セオのご両親の家に泊まった。
翌日。
今度こそ解散して、私たちと、神聖魔法の使えるメンバーは竜教会へ。
ご挨拶して祈りを捧げて、寄付をした。
「「「神聖魔法をお授けくださいまして、ありがとうございます」」」
グレースが••••••神聖魔法を使えるメンバーが、一心に感謝の祈りを捧げていた。
神聖魔法を使えるメンバーとも解散して、ようやく私たちだけになれた。
私たちはセオに案内されて、観光という名のデートをした。
おしゃれなカフェでスイーツを食べて。
市場で買い物をして。
大きなお風呂に入って。
ラプアス農園が広がる郊外の丘で、黄金の海のような景色を見たり。
水の精霊と風の精霊のダンスを見たり。
美術館や劇場にも行って。
頬っぺたが落ちるような美味しいグルメも堪能したのだった。
とても楽しかった。
特に愛する人と一緒ということが、景色を何倍も綺麗して、
食べ物を何倍も美味しくして、
ただ並んで歩くだけでも、心が踊った。
世界がキラキラと輝いていた。
幸せ
その一言に尽きた。
こうしてセオのご両親とご家族へのご挨拶は、幸せうちに大成功で終わったのだった。




