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世界観を作るのは難しい

 今はカテゴリーとしては推理物を書き進めている私ですが、実はファンタジー作品も大好きです。大好物です。

 文章を読むだけで頭の中に広がってくる、現実とは全く違う世界に思いを馳せることが昔から好きで、「指輪物語」や「ナルニア国物語」「ハリー・ポッター」「リンの谷のローワン」などなど、有名どころを読み漁り、自分がそこに住んでいたら、なんて妄想をして授業中は大体ぼーっとしておりました。


 いつしかその「もし自分が住んでいたら」の空想は既存作品の世界だけでなく、勝手にオリジナル要素が足された、所謂「わたしが かんがえた さいきょうの ふぁんたじーせかい」になりました。


 そんなこんなで、頭の中で日に日に肥大化していく空想の世界をなんとかアウトプットしたくて、大学入試が終わったころ、初めて小説の執筆を行いました。

 なので、こうして物語を作るきっかけとなったのはファンタジー作品なのかな、と思っています。

 

 で、実際に書いてみると、これがめちゃくちゃ難しい。

 頭の中で練りまくっていた空想の世界は、実は設定的に穴だらけということが次々と発覚して、最初は唖然としたものです。そして何度かいても、ファンタジー作品をうまくかけたと思ったことは一度もありません。

 本エッセイは、恥ずかしながら、この時に書いた処女作を悪い例として挙げつつ、何が難しくて、何が矛盾していたのか、を考えていこうかなと思います。


 

 さて、私が書いた最初の作品は「Between -for all living things-」という極めて痛々しいタイトルで、あまりにも恥ずかしいので、小説家になろうではアップすらしていません。


 簡単に紹介しますと


 主人公たちが住む「アクアクララ」(って名前だったと思うんですが)という星が舞台で、その近くに浮かんでる赤い星から一日に何回か飛来する「レヴィナス」(こっちは覚えてる)というでっかい鳥の化け物みたいなやつと戦うお話です。レヴィナスはめちゃくちゃ強くて狂暴なので、住民たちはみんな恐れていました。因みに赤い星とアクアクララの間には何故か長いはしごがかかってます。



 すでにこの時点で、



 「近くにある星から飛来するってどういうことだよ宇宙空間突っ切ってきてんのかよ」



 とか



 「その星どこに浮かんでんだよ大気圏内かよ引力仕事しろ」



 とか、色々ツッコミどころは満載なんですが、今は置いておきましょう。



 さて、本作の主人公たちは「アクィスト」という水を使って戦う仕事をしていました。

 魔力みたいなものを込めると、思い通りに操れる水を無限大に出してくれる石があって、それを装備して戦う訳です。

 戦う相手は先述の「レヴィナス」と、「獣」でした。

 この「獣」に関しても色々考えるところがあるのですが、これは後で触れます。


 とにかく、ちょっと自然が豊かな星で、暴れちゃった獣とか超絶強い「レヴィナス」と、それらに唯一対抗できる「アクィスト」が人と獣の間で奮闘するお話しだったのです。



 ……もう、書けば書くほどやばいお話で、正直これを最高に面白いと思って書いてた当時の自分を殴り倒したい衝動にかられます。


 まず何かやばいかというと「世界観の狭さ」です。


 

 だってこの職業、レヴィナスがいないと成り立たないんです。

 でもレヴィナスは赤い星からしか飛来しないんです。

 で、赤い星とは何故か長いはしごがかかってるから、恐らく一緒に自転してるので、レヴィナスはある一定の国にしか来ないことになります(この「はしご」の設定を消せばまだなんとかなったかもしれません)。


 五千歩譲ってその設定を飲んだとして、そのレヴィナスと戦えるくらい強い「アクィスト」を保有する国って周りからどう思われてるんだよ、って話です。

 そんな人間兵器みたいなやつらが沢山いたら絶対戦争とか起こってますよね。


 加えて「アクィスト」というのはそもそもどれくらいの母体数がいるんだという話もあります。

 レヴィナスが来た時にすぐ駆け付けられる位アクィストがいるなら、アクィストの絶対数が多くなりすぎて職業事態が破たんしてしまいます。

 でもレヴィナスが飛来したらすぐに駆け付けないといけないという壮絶な自己矛盾。なんてこったい。


 で、当時の私はこの辺りの設定を何一つ考えませんでした。

 つまり、役者として「レヴィナス」「獣」「アクィスト」なんかは揃っていたんですが、それを内包する「世界」であったりとか「情勢」というものを何も考えていなかったんです。


 ファンタジーを書く上で、これってかなり致命的だと私は思っていて、「そもそもその職業いらなくない?」とか「なんで~みたいな制度にしないの?」って読者に思われたら終わりなんですよね。


 でも「世界」を書くのはめちゃくちゃ難しくて、そもそも現実世界の国際情勢すらロクに把握してないのに国と国とのかかわりが書けるはずもなく、当時の私はすべてを投げだしました。


 当然の事ではあるんですが、しっかりしているファンタジー作品は、まずこの根幹の部分がしっかりしてるんだなぁとつくづく感じます。

 どんな国があって、そこに住む人はどんな暮らしをしていて、人々はどんなふうに経済を回しているのか。そんな中で生活する主人公たちに、ようやく役割が与えられるわけです。

 それは、「職業」であったり「学生」であったり、様々なんだと思います。

 けど、それらの役割があるのは「必然」であるわけです。

 矛盾のない、破たんのない世界観があって初めて読者は物語に入り込めます。

 そんな風に読者の方々に納得させられる「世界」をまず構築することが、ファンタジー作品を書く第一歩なのかなぁ、なんて思っています。


 思い返してみれば、超有名どころのファンタジー小説は裏表紙に世界地図とかが乗っていたりしました。

 当時は何の気なしにそれを見ていましたが、今から考えてみると、一つの世界を構築するというとんでもない作業が詰まっていたんですね。



 見返してみると当たり前の事しか書いてませんが、こんな感じでのんびり色々考えていきたいと思います。もしよろしければ、色々ご意見などいただければ幸いです。 

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