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「お前の小説目が滑るよ」と言われた時に読む話

作者:雨宮ヤスミ

◆はじめに

 2017年9月22日から23日にかけて、Twitter上で「#rtした人の小説を読みに行く」というタグをつけて作品を募集したところ、48件のリツイートをいただきました。

 私のフォロワーさんは22日当時で100人ほどと多い方ではなく、またこれまでリツイートされた数で一番多いものも5件だったので、この異常なバズりように戦慄しました。同時に、作家が読者に飢えていることを再確認することにもなりました。

 さすがに「こんなに読めないよ!」と、慌てて「20人まで」と制限をつけたのですが、それ以降もリツイートは続き、最終的に上記の数字に膨れ上がりました。

 ただ、これには少し思うところがあります。

 制限をつけたツイートは、自己リプだったので目を通せなくても仕方ないでしょう。気付いた方もおられましたが、目立たない書き方だったと言われれば、認めざるを得ません。

 ですが、元ツイートにはっきり「いつまで」と期限を区切っており、またツイートに日付が表示されているにもかかわらず、それを過ぎた24日などにリツイートがついているのを見ると、さすがに嫌悪感しかありません。飢えたピラニアより行儀が悪い。

 結局、私は24作品に目を通し、こちら「小説家になろう」で書かれた作品に関しては、概ね評価ポイントを入れていきました。

 私はこれまで、「小説家になろう」に投稿された作品はほとんど読んできませんでした。今回読んだ中にもありましたが、私は「ハーレムもの」に非常に嫌悪感を抱く性質でして、そういった傾向の作品が多いであろうこのサイトで小説を読む気にはなれなかったのです。

 ただ、今回読んだ中には「ハーレムもの」は非常に少なく、それらの中でも「ハーレムもの」としてキチンと成立しているのは一作品だけでした。そちらの作品に関しましては、「出てくるキャラ出てくるキャラ女の子で主人公に好意を持っているのが鼻につきます」とかなりこき下ろしたのですが、こと「ハーレムもの」「チートもの」として見るならば、かなりいい出来なのではないかと思います。

 話が逸れました。

 このコラムで触れるのは、「ハーレムもの」についての是非とか、どうしたら「ハーレムもの」として成立するのかとか、そういうことではございません。

 読んだもので「面白かったもの」はTwitter上で触れましたが、こちらではその逆、「面白くなかったもの」に関してのお話をしようかと思います。

 特定の作品名を挙げることはしませんし、別にいちいちこき下ろそうとは思いません。

 そうではなくて、「何故あの作品は面白くないのか、お話が頭に入ってこないのか」ということに関して考察し、どうしたら面白くなるのかというところを考えていきます。



◆面白くない作品=目が滑る

 「目が滑る」という現象を、みなさんは味わったことがあるでしょうか。

 文章を読んでいて、目は文字を追っているのに、まったく頭に入ってこないあの現象のことです。

 これが起こる理由は、三つほど考えられます。

 1.死ぬほど疲れている
 2.実は字が読めない
 3.文章自体が退屈である

 1と2は、読者側の問題です。1の方はしっかり寝てください。2の方は学校か病院のような専門の施設に行ってください。

 今回は書き手側の話をしているので、3の場合を取り上げます。

 では、何故その文章を退屈に感じるのか。これも3パターンほどあります。

 1.二重表現や誤字など、表現上の欠陥が多く読んでいられない
 2.登場人物の心情描写や会話に挟まれるユーモア的な部分が受け入れがたい
 3.説明が長い


 これらの対処法を以降は見ていきます。

 こんなもの余計なお世話だぜ、という方もいらっしゃるかと思います。

 自分の妄想を書き連ねているだけで別に満足だ、という方は閉じてもらって構いません。

 私が対象としているのは、「どうやったら今よりいい文章が書けるようになるだろうか」と考えている、書き始めて間もない方だけです。

 この方法を使えばたくさんの人に読んでもらえるかと言えば、しかしそういうものでもありません。まったくできていない作品であっても、ポイントやPVを稼ぐのは、このサイトではよくあることです。

 しかし、書く以上は上手くなっていきたいと思いませんか? そう思う方だけ、次の章を読んでみてください。

 当てはまることがあるかもしれないし、当てはまらない、あるいは出来ていることばかりかもしれませんが。

 それぐらい基本的な話です。


◇パターン1「表現上の欠陥が多い」

 これを直すのは、簡単なようでいて難しいです。

 ここでいう表現上の欠陥というのは、誤字脱字衍字のことを言います。

 一応、それぞれの事柄について説明しておきます。

 誤字は、「こんにちわ(こんにちは)」のように、単純な字の間違いのことです。

 脱字は、「こんには(こんにちは)」のように、一文字抜けているもののことです。

 衍字は、「えんじ」と読み、「こんんにちは(こんにちは)」のように、不要な文字が入っているものを指します。

 二重表現は、「お腹が腹痛だ」「馬に乗馬する」といった修飾語と動詞が重複する重言の他、ここでは単に「一文の中で同じことを二回言ってしまっている」状態も指します。

 これらは、見直しをすれば潰せるものです。

 しかし、この「小説家になろう」では、とにかく毎日更新することがステイタスになっています。毎日毎日続きを追い立てられるように書いていたら、見直しなんてする時間がない! となっても不思議ではありません。

 そもそも、見直ししても気付けない人もいます。特に、あまり活字を読まない人は、二重表現は気付きにくいのではないでしょうか。

 「表現上の欠陥」ということに関しては、もう一つ言っておきたいことがあります。

 それは、「何でもかんでも漢字に変換しちゃう病」です。

 パソコン、便利ですよね。よく知らない漢字でもいっぱい使えちゃう。

 漢字かっこいいですもんね。すごく高尚な文章を書いているような気になっちゃう。

 でもね。

 「その」を「其の」とする必要性はありますか? そこで一瞬読者の目を戸惑わせることで、あなたが得られるものってなんでしょう?

 もちろん、京極夏彦先生や夢枕獏先生みたいな作品を書いてらっしゃるならね、そういう部分を漢字にしたら雰囲気でると思いますよ。

 だけど、そういう雰囲気が必要ないものが大多数です。ですので、ひっかかりは潰していった方がいいです。

 じゃあ何を平仮名にして、何を漢字にしたらいいんでしょうね。

 そこもやはり活字にたくさんあたるしかないでしょう。

 新聞では使われる漢字は決まっています。そういうリストがあるんです。雑誌もそうです。学術論文もそうです。

 ゲームのテキストだって、常用漢字に限るのが普通です。その作品の用語で常用外の漢字を使う場合もありますが、その時は「特別にこの単語(または文章)にだけはこの漢字を使います」とプランナーなりが指定するわけです。

 まとめますと、パターン1「表現上の欠陥が多い」の対処法は、「たくさんの活字を読み、文章力をつける」ことになります。

 非常に時間はかかりますが、読むことは書くことです。インプットなしにアウトプットなどできないのです。


◇パターン2「ユーモア的な部分が受け入れがたい」

 これも難しい部分です。

 だって、他の人が何で笑うかなんてわからないじゃないですか。

 自分にとって最高に面白い掛け合いが書けた、と思っても、人から見たら裸で冬の北海道に放り出されたかのような感覚を受けることもあります。

 ほらね。上記のたとえだって、見る人が見たらかなりおサムいわけですよ。

 人によって笑いのセンスが異なる。この場合のセンスというのは、上下じゃなくて差異です。私が面白いと思ったものも、あなたはサムいと言うかもしれません。逆にあなたが最高に笑ったものを見ても、私が渋面することは多々あるのです。

 じゃあ対処法も何もないじゃないか、そう思われるかもしれません。

 しかし、目が滑る系の文章の場合、ユーモアを出すタイミングが問題になるんです。

 つまり、シリアスシーンにぶち込んでいるんです。

 そりゃあね、ぶっ飛んだ性格の主人公またはヒロインを書きたい、と考えるならそういう手法も採りたくなるでしょう。いちいちねじ返したり、茶々入れたり……。

 だけど、それがテンポを削いじゃってる。読んでる側は「わかったから早く話を進めろ」と思うわけです。

 ひどくなってくると、「今はシリアスなシーンなのか、笑っていいシーンなのかわからない」という混乱を引き起こします。

 作者の狙いはわかりますよ。キャラクターを立てることは、キャラクター小説であるライトノベルジャンルでは、最も重要視されるべきことです。

 でも、シリアスとギャグを混乱させるようであるなら、そんなものはない方がいいです。読んでもらいたいのならば、読者を混乱させる要素は、できるだけ廃するものです。

 これの対処法もまた、読み直すことです。それも声に出すことをお勧めします。小声でいいので、目と耳でテンポを損なっていないか、テンポを削いででも必要なシーンなのか、確認してみてください。


◇パターン3「説明が長い」

 これに関しては、実際に見てもらった方が早いので、以下に例示します。


 ※ ※ ※


 俺は主人公! 多分中学生か高校生。

 トラックに轢かれたか雷に打たれたかして、死んじゃったんだ。

 でも、明らかに神さまっぽい記号だらけの白い髭のおじいさんに「予定外の死だったから」とか言われて、中世ファンタジー風だかRPG風だかの世界に転生したんだ。

 もちろん、【ナンカスゴイチート】というスキルをもらったよ!

 ここでは仕事をうけるには冒険者ギルドに登録しなくちゃならない。早速、受付にやってきたよ。

 受付のお姉さんは金髪巨乳の美人だ! やったね!

「こんにちは、主人公さん。わたしはこの冒険者ギルドの受付のエキストラよ。初めて登録する主人公さんに、ギルドのことを簡単に説明しておくわね。まず、冒険者にはEからSまでのランクがあるの。初めて登録するとEランクに分類されるわ。Eランクでは薬草採りや近隣の町へのお使いなどのクエストを受けることになるわね。それがDランクになると、今度は魔物の討伐クエストが受けられるようになる。心配しなくてもいいわ、最初はゴブリンやGバット、スライムといった簡単に倒せる魔物ばかりだから。討伐した魔物の数がDランクの魔物換算で100を超えると、Cランクに上がれるわ。Cランクでは、少し強い魔物と当たることになるの。ハウンドドッグやマンドラゴラといった群れをなす魔物も増えるから気を付けて。こういったCランクの魔物換算で100匹以上討伐すると、Bランクに昇格できる。BランクからAランクに上がるのは修羅の道よ。ここまで順調に昇格できても、Bランクからまったく上がれない冒険者もいるんだから。何故かっていうと、ここからは討伐数だけじゃなくて、ギルドへの貢献度も測られるからよ。それでも一生懸命続けていけばいつかは昇格できるのだけれど、みんなこの辺りでだれてしまうの。それを乗り越えてAランクになれば、街のヒーローと言ってもいいわ。AからSになれば、もう国の英雄よね。そうそう、魔物のランクについても説明しておくわ。魔物はDからSまでのランクに分かれているの。さっきも言ったように魔物の討伐数がランクアップに影響してくるんだけど、たとえばCランクの時にDランクの魔物をたくさん倒しても、あまり効果的じゃないのよ。Cランクの冒険者からしてみれば、Dランクの魔物は簡単な相手だしね。この場合は、二匹倒してようやく一匹の換算になるの。そんな風に、ランクが高くなるにつれて、討伐数の要件を満たすのは難しくなってくるから頑張ってね。説明は分かったかしら?」

「あー、はいはい。完全に理解したわ」

 ※ ※ ※


 はい。何がまずいか、一目瞭然ですね。

 ギルド受付の説明が長いことです。

 そりゃ長ゼリフで魅せるような作品もありますよ。

 昔、『涼宮ハルヒの憂鬱』というライトノベルが流行りました。この作品でヒロインの涼宮ハルヒが、文庫2ページ半ほどを使っての長い独白をするシーンがありました。

 それに比べれば、多分この説明は短いです。じゃあ何がダメなのか。

 それは、『涼宮ハルヒ』の場合は物語の上で重要な意味を持つ独白だったのに対し、前述の説明は物語の上で大して意味を持たないような内容だからです。

 考えてみてください。

 冒険者ランクとやらの昇格条件をここで読者に提示する必要はありますか?

 こんなものは、主人公がランク昇格する時にでも言わせておけばいいのです。

 あるいは、チートや飛び級が大好きなみなさんですから、主人公が最初からEランクでなく、Bランクぐらいから始めることになった、みたいな展開をしたいこともあるでしょう。それでも、こんな長々とした説明をする必要性は一切ないと断言します。

 説明しないとEランクじゃなくてBランクから始める主人公のすごさがわからない? そんなことはありません。

 以下に例示しましょう。


 ※ ※ ※


 エキストラさんは俺を見て目を丸くした。

「まあ、主人公様は【ナンカスゴイチート】を持っているのね。こんなレアスキルを持っているならば、最下級のEランクではなく、Bランクから始めるのはいかがかしら? その方がギルドの利益になるし、あなたにとっても悪い話では……」

「おいおいエキストラ、こんなガキが俺と同じBランクだって?」

 そう後ろから声をかけてきたのは、ムキムキの大男だった。俺よりも頭二つ分は大きい。2メートルぐらいはあると思う。

「あら、Bランクのガマセ様。何かご不満でも?」
「馬鹿言っちゃいけねえぜ。俺がBランクになるまで、何百匹の魔物を狩ってきたと思ってんだ? ああ? それをお前、いきなりこんなガキが? ふざけるんじゃねえぞ」

 ガマセと呼ばれた大男は腰の蛮刀を抜いた。大柄なガマセが持っているせいでナイフみたいだけど、ギラギラ光ってとても切れ味がよさそうだ。

「ガマセさん、ギルド内での武器の使用は……!」
「うるせぇ! 俺がこいつを、試してやるってんだよ!」

 ガマセは俺に向かって蛮刀を振り下す。


 ※ ※ ※


 この後、主人公の【ナンカスゴイチート】でガマセを倒すもよし、「待ちなさいよ!」とかいってヒロインを介入させるもよしです。

 これだけでも、「魔物を倒せばランクが上がるものなのだな」ということは、察せられるかと思います。

 え? せっかく何百匹殺したらランクアップするか設定したのに、使えないのが不満だ?

 お聞きしたいんですけど、そんな設定何か意味があるのでしょうか。

 小説というのは脳内設定をつらつら書いて晒すものではありません。そういう設定を作るのは自由ですが、「どこを見せるのか」「どう見せるのか」「何を見せるべきか」「何を見せなくていいのか」というところを吟味して文章にするものです。

 読者はあなたの設定が見たいのではないのです。あなたがその設定を使って作り上げた作品を見に来ているのです。

 この「説明が長い」パターンの対処法ですが、やはり読み直すことが重要かと思います。

 明らかに長いセリフになってるな、という箇所には地の文を途中に挟んでみるか、あるいはかっこの中から地の文に移動してみる、といった対策が考えられます。


◆おわりに

 ここまで長々と書いて参りましたが、結局すべて結論は同じです。

 一度書いた文章を読み直し、修正を加えること。

 いい文章を書くには、これにつきます。

 「毎日更新しなきゃいけないんだから、そんな時間ない」とおっしゃる向きもあるでしょう。ですがね、毎日更新するというなら、事前にたくさん書き溜めておけばいいのではないでしょうか。

 そんなのモチベーションが続かない? 何をおっしゃる、そんな程度じゃ毎日更新のために書き続けるモチベーションが保てるかも怪しいというものです。

 しかしながら、こうして書いてきた人間がこのサイトでPV数やポイントで結果を出しているかというと、まったくそうでもないです。なので、採用するかしないかはあなた次第ということで、この辺でペンを置こうと思います。

 お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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