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再会に

 ザリッ。

 背後で微かに砂利が音を立てる。

 振り向くと、数十メートル離れた場所に、ヤツがいた。

「……早かったな」

「そうか? あれから十年だぜ?」

 そうか、十年も経つのか。

 イマイチ実感が湧かなかったが、徐々に近づいてくるヤツを見て、考えが変わった。

 ヤツの顔が、所作が、纏うソレが雄弁に語りかけてきたからだ。

「十年、経ったんだな」

「何だそのツラは? アンタ、そんな感傷的じゃなかったろ」

「お前が知らないだけ、とは言えないな。私もトシを取った、と言うことなんだろう」

「手加減しろ、だなんてくだらんことは言うまいな?」

「勿論。一応言っておくが、衰えたなんて考えて油断するなよ?」

「そのオーラを見て、油断するわけないだろ。トシ取ったせいか知らんが、ダダ漏れなんだわ」

 そう言うと、ヤツは足を止めた。お見事。

 半歩、いや、あと、ほんの僅か。

 ヤツがこちらに近付いていれば、頭を取りに行けた。

 ただし、あくまでも射程距離内と言うだけ。取れるかどうかは別。

 恐らく、今のヤツならどうとでも対処出来るはずだ。

「さて、互いに間合いに入った、な?」

「とっくに、な」

 かつて、自分に殺されかけた少女は、眼の前のヤツの中にはいなかった。今のヤツは、か弱い獲物とは真逆。

 こちらを獲物にしかねない、頂点捕食者の強さを持つ。

 ギリギリでかわしたが、ヒヤヒヤした。

 何年ぶりだろうか。

 死を、その気配を間近に感じたのは。久々に味わったものは、あまりに濃厚すぎてクラクラしそうだ。

「酔うなよ?」

 見透かされた。不快感と快感が等量に迫りくる、何とも言えない不可思議な感覚。

 危ない危ない。

 言われるまでもないことではあったが、酔ってしまいそうだ。

 ヤツもまた、人の事をとやかく言えそうに無いことは分かったが、安心材料にはならない。

「十年寝かせて、正解だったな」

「殺すつもりだったろうが!」

 そう、そのつもりでいた。

 なのに、こうして生きている。

 あんな状況からの、この現状。素晴らしい。

 こうして会話しながらも容赦無く放たれる拳、蹴り。

 自分と同じステージへ、あの少女が辿り着いた奇跡。

「追わなかった」

「それは、そうだな」

 ヤツにとっての私は、敵。仇だ。故郷を滅ぼし、大切な人たちの命を奪ったのだから、当たり前。

 恨まれること、復讐されることだって想定していた。

 それは今も、変わらない。

 やられるつもりが微塵も無いこともまた、変わらない。

 強者との命のやり取りはスリリングで魅力的ではあるが、最後に勝つのは私で無ければならない。

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