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88話 想定外

 ちまちまと空からダメージを受ける度に、妖精がちまちまと回復してくれる。


 そんな感じでダラダラと倒していると、妖精がスっと消えていった。召喚の時間が過ぎたんだろう。


 召喚って時間なのか、回数なのか、一定の魔力量を消費したらなのかで、大分使い方変わってくると思うんだけど、そこら辺どうなんだろうな?


「こんなものかしら?後は、爆発音で適当に追い払いましょうか」

「さっき買ったアイテムを投げつければいいんですの?」

「えぇ、ルンフォードお願いね」

「お任せくださいですわ!」


 集まった鳥を音だけ派手な爆竹で散らす。これで依頼完了だな。


「ピョーピョー!」

「ヒョロローヒョロー!」


 なんかさっきより騒がしい。


「あーもう!うるさいわね!急になんなの」

「爆発音でビックリしてるんじゃないんですの?」

「驚いた声ってこと?最悪ね」

「これでしばらくは近付かないと思いますわ」


 耳がなくてもうるせぇって凄いよな。どういうことなんだろう……。いや、うるさい訳ねーんだよな。人の残滓こういう時鬱陶しくて困る。マジでうるさいこの鳥。


 ん?なんか感知にデカい鳥が……いや、デカイな!?なんだあれ!?


 に、逃げろ!って声にできないのもどかしいな!文字を書いてる場合じゃない。


 攻撃を全部やめて、二人を引き寄せ、触手でドーム状の壁を即席する。


 情報開示の結果は?


 鎧鳥。


 鎧鳥って、あれどうやって飛んでんの……。


 羽までびっしり鱗のような鉄の羽根が生えてるんだけど、あれって物理的に飛べるの?いや、飛んでるんだから飛べるんだろうけど、納得いかなねぇな異世界。


 でも、飛ぶのって重さじゃなくて、浮力?とか揚力?が……いや、力学的な事は分からん。とにかく何とかしないと。


「何よあれ」

「強そうですわ!」

「なんで嬉しそうなのよ……」

「でも、あの高さだと困りましたね。ウィウィに任せるしか」

「あのぐらい強そうなモンスターだと、大きな音ぐらいじゃ逃げないでしょうし」

「弓使いか、魔法使いがパーティに欲しいですわね。ウィウィだけに戦わせるのは可哀想です」

「モノリだけどね。そうね、遠距離攻撃は欲しいかしら」

「攻撃を受ける役はウィウィで、充分そうですけど」

「まあ、パーティバランスは後々ね」

「そうですわね」


 そうか、今は俺しか戦えないのか。アルテミスやアリアかアレク辺りが欲しいな。アリアだと木ごと燃やして依頼失敗しそう。


 守る人数が増えると、動きの制限が増えるから戦いにくいな。


 最低限の防御だけ残して、攻撃に回そうか。


「オマエか、オマエカァ!!!」


 しゃべたァァァァ!?!?


 ……良く考えたら、そんなに驚くことでもないな。俺もモンスターだし。


 叫んだ鎧鳥が、羽を飛ばしアルネアお嬢様を攻撃してきた。何故だ。


 俺か、次点でルンフォードを攻撃するならわかる。直接鳥倒してたからな。アルネアお嬢様は、討伐数でいえばゼロだ。真っ先に攻撃される理由が分からん。


 鳥目の鳥頭に、アルネアお嬢様とルンフォードの区別がつかなかった可能性は大いにあるが、それだとセリフ的には違和感を感じるよな。ハッキリと認識してる感じの言い方だった。


 鉄の羽根は触手深く刺さったり、何本かを断ち切ったりはしたものの、触手のドームを抜ける程ではなかった。

 羽根を発射するという、攻撃の仕方からして、一点に集中して攻撃するのではなく、広範囲にばら撒くといった攻撃方法らしい。


 この程度の威力なら、1点突破でもされない限り、羽根の攻撃がお嬢様達に届くことは無い。攻撃に集中できそうだ。


 最近は狂信者達も見ないし、狙われる要素は無いはずなんだがな。何故お嬢様が狙われるんだろうか。



 羽根を弾いては、触手を鎧の弱そうな部分に突き刺す。相手が飛んでるうえに、ユラユラしているせいで、狙った場所になかなか攻撃が入らない。これは長期戦になりそうだな。


 相手は名前の通り防御特化のようで、お嬢様達を守ってる俺は動き回れない。双方正面から殴りあってる感じだ。


 情報開示によると、相手の体力ゲージは残り半分ぐらい。俺もこの状態では羽根の広範囲攻撃が上手く避けられず、三割ほどダメージを受けている。既に何時間も殴りあっていると思う。


「折角、回復手段を手に入れたのに、モンスターはどれぐらい負傷してるか解り辛い!」

「さっきの魔法は、回復だったのですね……使わないんですの?」

「私の力じゃ1日に1回が限度よ。使い所を間違たみたい」


 どこぞの何とかモンスターじゃないが、効果抜群とか、急所に当たったとかあればいいんだが、現実の戦闘地味過ぎる。つれぇ。


「エエい!鬱陶しいぞ!この裏切り者めが!」


 ……もしかして俺に言ってる?


「裏切り者ってどういうことでしょうか?」

「同じモンスターなのに、人間なんかの味方しやがって!ってことじゃない?」

「そういうことですのね」

「それ以外に思い付かないし」

「ウィウィが密偵だったりするかもしれませんよ?」

「仮に密偵だったとしたら、何処のよ……」

「……そうですね。狙われる覚えは無いですね。私達が高ランクのヴァンガードでしたら、ありえそうですけど……」

「それにモノリは、私が卵の状態でテイムしたのだから、何処からか入り込んだ密偵ってことは無いわ」

「モンスターの卵って、いきなりあんなに強い子が生まれるんですか!?」

「いえ、最初はよく見かける植物系モンスターだったわ。モノリーフだったかしら?」

「モノリーフって、あの目玉の?お父様の後ろから見たことがありますが、あんな強いのに進化するんですね」

「私もモンスターの進化は見たことが無いし、どういう条件下で進化するのかとか、モンスターは不明なところが多いのよ」

「ペットみたいなモンスターもいますけど、進化したって話は聞きませんものね」


 へー、一応モンスター研究みたいなのも有るんだな。にしても、モンスターからすれば、俺はというか、テイムされたモンスターは裏切り者なのか。そういう発想は無かったな。


 敵の体力が残り二割だ!畳み掛けるぞ!俺の残り体力は残り六割程度。ゴリ押しでいけるな……!


「コッかラは、ホンキだ!」


 不味い!何する気だ!いや、させん。纏めて喰らえ!


 無数の触手を針ではなく、鈍器のようにして滅多打ちにしてやろう。


 触手の塊がぶつかる瞬間、鎧鳥を囲んでいた触手が一斉に燃え上がった。


 鳥が炎を纏うなんて反則だろ!不死鳥かよ!


「燃えてますわ!」

「モノリ大丈夫なの!?」


 大丈夫だ。慌てて燃えてる部分を全部切り離した。


 ダメージは無いが……やられたな。


 攻撃用の触手の殆どを失った。


 ハッハッハ。ハーッハッハッハ!その属性は隠しとくべきだったな!俺は霧の怪異と呼ばれるモンスターだぞ!火を消す手段なんて無限に有るんだよ!


 土魔法に、水魔法、氷魔法!直接大量の水をぶっかけてやることだってできる!……氷魔法はちょっと違うか。


 今からお前の炎を大量の水蒸気に変えてやるよ。空で溺れろ!


 《噴霧Lv.4》《水汲みLv.10》で、大量の霧と水を直接ぶつけながら、纏った火に邪魔されない《水魔法Lv.3》《土魔法Lv.2》でダメージを重ねていく。


 一気に視界と炎を奪われた鎧鳥は、空中でもがき苦しみながら地に落ちる。


「ガァ!?裏切り……者……が」


 その様子はまるで溺れたようだった。

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 名前:モノリ 性別:不明


 種族:ラークスフォッグ(霧の湖)


 Lv17/70


 HP602/602

 MP521/521


 状態:普通


 常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.5》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.3》


 任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.9》《植物成長速度Lv.8》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.2》《噴霧Lv.4》《情報開示Lv.5》《指し示す光》


 獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.8》《打撃耐性Lv.7》《刺突耐性Lv.8》《火耐性Lv.2》《風耐性Lv.2》《水耐性Lv.7》《土耐性Lv.5》《雷耐性Lv.2》《氷耐性Lv.8》《邪法耐性Lv.7》


 魔法:《土魔法Lv.2》《水魔法Lv.3》《氷魔法Lv.4》《魔導の心得Lv.3》《魔力の奔流Lv.3


 称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?)


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