99話 火山調査録2
「フレイムヘイズ2!ファイアバット4!距離をとって!」
俺たちは、未だ山の中腹にも辿り着いてないというのに、頻繁にモンスターに襲われていた。
バットは、あの飛んでるのだろうから、ヘイズはあの煙みたいなのか?
勇者であるアレクが指示を飛ばしてるけど、よくパッと見ただけでモンスターの種類分かるな。俺なんて、俺自身モンスターなのに、情報開示スキル使わないとサッパリだわ。
「燃え尽きろ!」
アリアが、急速に練り上げた不安定な魔力を敵に高速で射出する。不安定なまま空に放り出された魔力は、制御を離れて数秒で爆発を引き起こした。
「ん〜やっぱり、体が燃えてるモンスターに火属性魔法はダメね。フレイムバーストは、私が使える魔法の中でもかなり強力な魔法なのに」
「アハハ……フレイムバーストなんて高威力で制御の難しい魔法を『燃え尽きろ』の一言だけで撃つなんて、相変わらず無茶苦茶だね」
「魔法使いは頭が硬すぎるのよ。モンスターだって、詠唱せずに魔法を使えるんだから、人間様にできないはずがないわ!」
「いや、モンスターは体の構造から違うし……」
話しながらも、一切動きの精細を欠かないのは、流石双子だな。俺もサボってないで敵を倒さないと。
『アイシクルランス!』
脳内で俺が魔法名を叫ぶと、俺が想定してるよりも、少しだけゆっくり魔法が構築されていく。このタイムラグのせいで、前に死にかけたんだよな……。
槍のように長くした氷柱を敵に向け射出する。それを、風魔法使いの二人が加速させる。相手は空を飛び回ってるから、当てるにはある程度のスピードが必要なので、クラウンとアレクが合わせてくれたようだ。
魔力で練り上げた氷は殆ど溶けず、着弾した氷の槍は、燃え盛る敵を綺麗に飾っている。
氷に滴る血は、幻想的な彩りをみせ、見る者の心胆を寒からしめた。
ゾッとするが、美しいな。氷魔法の虜になりそうだ。
まさか、風魔法にこんな使い道があったとは。今身を熱気から護ってるのも風魔法だし、風魔法使い勝手がいいな。
「ふぅ……なんとか倒せたわ」
「こんなに頻繁に襲われてたら、魔力が持たないわ」
「まだ半分も進んでないけど、こんな地形じゃキャンプもできないし、困ったね」
「まーったなったまたこーまったぬーあ!さてさてさてさって〜!ど〜ぉ?するのっきゃな?」
「いまいち緊張感にかけますわね……」
緊張感にかけるというか、鬱陶しいな。冷気のマジックアイテムが無かったら、絶対にご同行願いたくない。勇者パーティに遊び人入れるのって、リアルだとこんな感じなんかな。
俺と同じく、ルンフォード・アレク・アルネアお嬢様は、少しウンザリしている。
アリアは、海千山千の商人達を相手に成長したおかげか、顔色を変えることはない。見た感じでは、無関心と言ったところだ。喋らなくても動きも顔もうるさい道化師に、無関心を装えるって凄いな。
「ねぇ、私昔から不思議だったんだけど、調査依頼って何したらいいの?敵の親玉が玉座みたいなのにふんぞり返ってて、倒せば解決するってわけじゃ無いんでしょ?なのに、どうやって異変の原因を突き止めたり、解決したりするのかしら?」
「調査だからね。特定のモンスターが増えてるとか、本来いないはずのモンスターがいるとか、そういう事を確認すればいいんだよ。解決は出来ればした方がいいけど、本来調査と解決は別口の依頼になるね」
「あら、アレク詳しいのね」
「領主として、強力なヴァンガードのパーティに依頼することもあるから、システムを知っておいて損は無いって、お父様が」
流石次期領主としての心構えがある奴は違うな。アルネアお嬢様は、嫁ぐ気だろうし、アリアは興味無しって感じだ。治める気とかサラサラ無さそう。
まあ、面倒な領地運営は旦那に任せて、私は自由気ままに過ごすのよ!って方がアルネアお嬢様らしいけど。人の金で怠惰に過ごすとか最高かよ。
そうか、アルネアお嬢様が結婚するなら、あまりパーティーを開催したり、お呼ばれしたりするのは避けたいのか。なら、辺境伯のような、領地から離れ難い人と結婚したいわけか。
どおりで男探しが難航するわけだ。条件が厳し過ぎる。
というか、一人娘のアルネアお嬢様が嫁ぐって可能なのか?お嬢様の領土も結婚した相手のモノになるとかか?貴族のシステム。しかも、異世界バージョンなんて俺に分かるわけないし、お嬢様がそれでいいならいいか。
「取り敢えず、どうにかして休憩しませんか?」
ルンフォードは戦闘時も含め動きっぱなしで、体力の消耗が大きいだろうし、いくら冷気に包まれてるとはいえ、調査できる程度に熱気が緩和されてるだけで暑くないわけじゃない。
「どうにかしてって言われても……こんなところじゃ座れすらしないわ」
座れすら……いや、休めればいいんだよな?なら、アルネアお嬢様の椅子兼移動手段だった俺に任せて欲しい。
無限に有りそうな程多い触手を束ねてハンモックみたいにし、人数分用意する。休憩しながら、更に移動できる、時間を効率的に使える究極の椅子だな。
寧ろ従魔でなく、本当は椅子だったまである。いや、ないな。
「そうね。モノリがいたわね」
「よほおっとほほおー!!?植物けーい?モン、スターがこんな事を!?サーカスでも凄かったけど〜お?ビックリだねぇえ。火山のちょうーうさから帰った〜ら。サーカス団にもらっっちゃだめ〜かい?」
「ダメよ」
「ザ・んねーん!ね!!!」
五人分のハンモックをつくった後でも、まだ余ってる触手を使い皆を乗せていく。
「昔より触手が細くなったけど、その分柔らかくなって快適になったわね」
きっと骨格に合わせて触手がたわんでるんだろう。まあ、攻撃に向ければ針金より頑丈で、強力な武器になるけどな。
「意外と快適ですわ」
「自立行動できる従魔が、こんなにも優秀だなんて」
「ほおっほおおー!悪くな〜いなーい、なぁ〜ああああ・ああああい!!!!!」
コイツだけマグマに落とそうかな?
「では、でわ。わた〜あしも、ちょっとおーもしろい!モ・ノをお見せいたしま〜まーまーすます!『ウィンドブレス』」
風の息吹?それとも風の祝福?どっちだ。
「風魔法の中でも、珍しい補助魔法だね!」
流石風魔法使いのアレク。詳しいな。補助魔法ってことは、祝福のがしっくりきそうだな。
「どんな魔法ですの?」
「一番大きい効果は、移動速度の上昇と重量の軽減かな。まあ、植物系モンスターがどんな風に重みを感じるか分からないけど、少しでも楽になるんじゃないかな?」
「失礼ね!私は重くないわ!」
「アリアが重くなくても、武器を持ってる僕やルンフォード。大人のクラウンは、重いんじゃないかな?」
「酷いですわ!重くありませんわ!」
「武器が!武器がね!斧は重いでしょ!?」
筋力や疲労的な概念が無い俺には、重量とか関係ないけどな。持てるか持てないかの二択しかない。持ち上げられさえすれば、ずっと持ってられる。
「それ以外の効果は?」
「1度だけ、効果の消滅を代償に、風の壁をつくれるぐらいかな。緊急回避みたいなものだよ」
「なるほど。不意打ちを防げるのはいいわね」
「まあ、魔力消費が大きいから、日にそう何度も使える魔法じゃないけどね」
アレクにも覚えて欲しいな『ウィンドブレス』
もしかしなくても、クラウンって強いんじゃ……。
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名前:モノリ 性別:不明
種族:ラークスフォッグ(霧の湖)
Lv49/70
HP421/693
MP16/593
状態:怒(小)・魔力残量低下
常時発動:《共通言語理解》《隠形Lv.7》《触手Lv.10》《触手棘》《上位感知Lv.6》
任意発動:《調べる》《薬草生成Lv.10》《植物成長速度Lv.10》《植物鑑定》《水汲みLv.10》《血液吸収》《猛毒Lv.4》《噴霧Lv.6》《情報開示Lv.7》《指し示す光》
獲得耐性:《恐怖耐性Lv.10》《斬撃耐性Lv.9》《打撃耐性Lv.9》《刺突耐性Lv.10》《火耐性Lv.3》《風耐性Lv.5》《水耐性Lv.10》《土耐性Lv.8》《雷耐性Lv.5》《氷耐性Lv.10》《邪法耐性Lv.8》《不快耐性Lv.3》
魔法:《土魔法Lv.6》《水魔法Lv.7》《氷魔法Lv.5》《魔導の心得Lv.5》《魔力の奔流Lv.6》
称号:意思ある卵 従魔 絞殺好き 逃走者 雑用係 危険な棘 馬車馬 耐性植物 読書家 急成長 近親種殺し 魔法使い 看破せしもの 上位種殺し(氷) 奪われしもの 凶性植物 狼の天敵 上位モンスター 魔王の誓約 エルフの盟友 殺戮者 看破の達人 導かれしもの 光を集めるもの 斧の精霊(?) 罠師 害鳥駆除 鳥類の天敵 虐殺者 怨敵を討つ者 復讐者 亜龍の天敵
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