第13話 再度の偵察
食後、早坂と木原少尉がホラ穴(営舎)で話をしている。
木原少尉が、
「敵の戦闘機は相変わらず飛行場に飛んで行きますね」
「この間、あれだけブッ壊したのにのう」
「もう一度、やりますか」
「しかし、この兵力じゃ。もう、これ以上の犠牲は出せんぞ。・・・クソー。援軍はどうなってるんだ」
「食料も尽きたし・・・。このままでは飢え死にを待つだけです」
「この島に、友軍はどの位い残っているんだろう」
「三度目の上陸ですから、相当数の残兵が何処かに隠れていると思います・・・」
早坂が独り言を言う。
「餓死か。・・・前門の敵、後門の餓死・・・」
早坂は背伸びをして、何かを決断したように、
「よ~し、もう一発カマシテやるかッ!」
「やりますか! 少しでも敵の攻撃を遅らせて本土の生産を上げなければ」
「よし! 木原、兵を集めろ」
「はい!」
木原少尉がホラ穴兵舎から出て行く。
外で寛いでいる関元曹長達を見て、
「関元ッ!来い」
「はい」
関元曹長が木原少尉の前へ駆け寄る。
「二人付けて斥候に行ってくれんか」
「斥候? はい。で、何処へ」
「飛行場だ」
関元曹長は納得したように木原少尉を見て、
「・・・ヤリますか」
「うん。キサマ達が戻り次第、再度突撃をかける。手薄な所を見付けて来い」
「ヨッシャ!」
関元曹長が樹の根元に寛ぐ兵士達の所へ行き、
「市村、野々宮! 俺に付け。これから飛行場に斥候に行く」
市村上等兵が、
「飛行場?」
野々宮一等兵が、
「斥候!?」
関元曹長が、
「そうだ。 もう一発、カマす」
市村上等兵が、
「よ~しッ! やりましょう」
市村上等兵の気合いが入った声。
市村上等兵と野々宮一等兵は急いで軍装を整える。
暫くして、関元曹長、市村上等兵、野々宮一等兵の三人がカービン銃と38銃を担いでジャングルの中に消えて行く。
昼。
西端の椰子の木陰から、関元曹長、市村上等兵、野々宮一等兵が飛行場を窺っている。
米兵達が裸でテニスをしている。
市村上等兵と野々宮一等兵が木陰から顔を出す。
市村上等兵が、
「良い気なもんだ」
関元曹長は双眼鏡を覗き、手帳に敵の配置図を描き取って行く。
と、関元曹長が背後に奇妙な気配を感じ振り向く。
佐々木AI兵と野村AI兵が立っている。
関元曹長は驚いて、
「あ! 佐々木准尉」
関元曹長は立ち上がろうとうする。
佐々木AI兵が、
「動くな! 敵に見つかるぞ」
「あッ、はい」
市村上等兵と野々宮一等兵は佐々木AI兵達を見て気味悪そうに、
「ご、ご苦労様です」
佐々木AI兵と野村AI兵が優しい笑顔で三人を見る。
佐々木AI兵が、
「安心しろ。俺達がキサマ達を見取ってやる」
市村上等兵が、
「ミトル? 俺達はやられるんですか」
佐々木AI兵が、
「それを聞いてどうする」
市村上等兵が、
「・・・そうですね」
野々宮一等兵が関元曹長に、
「曹長、あの小屋の後ろ、・・・樹の陰に人影の様な物が見えるんですが」
「何?」
関元曹長は急いで双眼鏡の焦点を合わす。
「あれ?・・・あれは・・・友軍だ」
佐々木AI兵が、
「そうだ。先発の『川口部隊』の生き残りだ」
関元曹長が驚いて、
「え! カワグチの残兵が?」
佐々木AI兵が、
「あちこちに散って遊撃戦(ゲリラ戦)を仕掛けている」
「そうですか。この辺に強行した兵隊は皆やられたと思いました」
「俺達が来るのを待っていたのだ」
関元曹長は佐々木AI兵を見て、
「俺達の来るのを? ・・・糧秣も尽きている筈なのに、よく生きてましたねえ」
佐々木AI兵が、
「うん? うん。突撃をかけるつもりか」
関元軍曹、
「はい」
佐々木AI兵、
「向こうの川口の残兵達と一緒にやれ。早坂中隊だけでは死にに行く様なものだ」
関元軍曹、
「え? あ、はい」
佐々木AI兵、
「北側の尾根を回れ。北の尾根は滑走路に面しているから守りは手薄だ」
関元曹長が尾根に双眼鏡の焦点を合わす。
「ああ・・・成るほど。分りました」
佐々木AI兵が、
「気を付けろ。『赤い旗』の所は地雷原だ」
関元軍曹、
「赤い旗?」
関元曹長は、また双眼鏡の焦点を合わしながら、
「赤い旗、アカ・・・あ〜あ、あるある。有難う御座います」
関元曹長と市村上等兵と野々宮一等兵は、『 佐々木AI兵と野村AI兵に軽く敬礼をして、急いで北の尾根に向かう。
続く




