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第十九話「オリンピ〜ア」

ここから、1章の終盤となります。


季節は秋です。


終盤らしく盛り上がっていきそうな雰囲気ですね。

むかし、むかし世界中の人々は争いあっていた


世界の至る所で闘争が起こり、善良なる民草は無惨に踏み潰されていく日常


夢も希望もない世界


望まざる混沌


無間地獄の顕現


そんな時代があったそうな


……


そんな時代にも、唐突に終わりが訪れる。


この世の半分を手に入れたと言われた男による一言により、それは始まった。


「なんだかんだ人間同士で殺しあっても不毛すぎるし、際限ないじゃん?俺だって命狙われ続けるの嫌だし。それだったら、毎年競技とかで決める方がいいんじゃね?その方が楽しいしさぁ」


ワガママの極みとも言える人間のポジショントークに踊らされた国家は、頂上を目指し己を鍛え続ける。


世はまさに、大運動会時代!!


……


国には兵士がいる。

大国であるほど兵士は多い。

兵士たちは日々鍛錬している。

兵士たちは、狩りや盗賊退治で活躍する。

そして、2年に1回の大イベント、オリンピーアが一番の活躍の場となる。


オリンピーアは、それぞれ国の代表が参加することとなるが、その結果により各国間で資源の取り合いが行われていた。

一言で言うとトランプの大富豪みたいなルールである。


しかし、これは全ての国家が参加できるわけではない。

参加するためには参加料の支払いが必要だ。

ペシミール王国などの小国は参加料すら支払えない立場にある。

そのため、参加国は殆どが中流国家以上に限られているのが実情である。


……


現代人は、戦争というものに対してどう考えているのか。ある中流国家の町の皆さんにインタビューしてみました。


「怖すぎるのぅ。負の側面しか感じないのぅ」

「いや、人間として終わってね?」

「倫理観が死んでる。現代人がやることじゃないよね」

「全然楽しく無いじゃん」

「普通にコスパ悪すぎでしょ」

「でも、タイパはいいかもな」


現場からは以上です。


……


♢♢♢


「ベルナルド殿、コンディションの方はいかがかな?やれそうな感じだろうか?」


「うむ、整ってきている」


「ベルナルド殿には、この国一同期待しております」


国王とベルナルドと大臣が会話をしている。

実は、前々からちょくちょく打ち合わせをしていた3人。

これまでは、オリンピーアに観戦に行くことすら難しかったペシミール。

しかし、今年は違う。

収入が違う、人材が違う、コンディションが違う、国王の気合いが違う、国民の期待が違う!


端的に言うと、ペシミール王国はベルナルドにフルベットしたのだ。


ベルナルドたちは、オリンピーア参加に向けてコンディションを調整している。


♢♢♢


また、城内の別室ではマリアとキパールが準備を進めている。


「怪我の方はもう大丈夫なのですか?」


「ええ、チャンスとばかりにたっぷりと休息をとらせてもらいましたので、そろそろ体を動かしたいところでした」


「キパールらしいですね」


「しかし今回、ペシミールがオリンピーアに参加することは初めてなので、準備を怠りたくは無いのですが完全に情報不足です」


「我々のようにエントリーした国でも、会場、日程、登録までの手続き、種目などが書かれたパンフレット的なものしか渡されていないとの話でしたね」


「ええ、詳細は実際会場に行ってみないと分からないでしょう。常連国は別でしょうけど……」


「初参加の我々は完全に不利ですね……」


2人は、オリンピーアに向けて不安を抱えている。


♢♢♢


「はぁ……」


なぜこんなことになってしまったのだろう。


秋の訪れ、いつもなら嬉しいはずなのに……。


いつもなら、作物の実りを喜び、虫の鳴き声をBGMに読書を楽しんでいただろうに。


小国の農家の娘が、観客とはいえ、国をかけた世界の一大イベントに行くことになるなんて。


「普通なら嬉しいはずよね……」


これまでそのようなイベントとは無縁の生活を送ってきた私が、どのような気持ちで観戦すれば良いのだろう。

突然、異国の地へ飛ばされるような感覚だ。


「分からないわ……」


メッテは、オリンピーアに向けて緊張している。


♢♢♢


「まさか、こんなことになるなんて」

「ああ、ガルド国王のサプライズ好きにも困ったもんだ」

ニックとヒッチは、ガルド国王がサプライズ好きだと言うことを甘く見ていました。


「今回もベルナルド殿のサポート役ということだけど、僕たちの出番はあるのかな?」

「さあね、うまいもん食えるんならいいんじゃないの?」

ニックとヒッチは、自分たちの役割がよく分からない。


「今度は、中流国家たちと真っ向から勝負することになるのか、変な事にならないといいけど……」

ニックは、オリンピーアに向けて浮かない顔をしている。

「会場の最寄りは中流国家か。どんなうまいもんが並んでるんだろうな」

ヒッチは、オリンピーアに向けて浮かれている。


暑い季節が過ぎたと思ったが、今度はギラギラとしたイベントが始まる……。


オリンピーアの正しい発音は、オリンピ〜アッです。


最後は歯先で音を切ってください。


でも、パスタを食べる時は歯で噛み切らないでくださいね。


イタリア人に噛み付かれちゃいますから。

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