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覚醒者学校の唯一無二の生徒  作者: 霧野夜星


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第五十九話 政府の依頼

「ギャオオオオオオオオオ!」


 頭部に電撃を受けたブラックドラゴンは、怒りながら星斗の姿を探す。今のハイダークエルフの雷系中級魔法を受けても、ブラックドラゴンはその魔法防御力の高い黒いうろこのおかげで、ほとんどダメージを受けてなかった。


「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 走って逃げていく星斗を見つけたブラックドラゴンは、大きく息を吸い始める。


「召喚者殿! 奴のブレスが来ます!」

「あと少し!」


 星斗は全力で走って扉の所にいるゴールドナイト達と合流し、そのままボス部屋を出て扉を閉める。


「ふぅ、ぎりぎりだった。あと少し遅れてたら、奴にブレスを吐かれるところだった」


 今の星斗は、全能力激化で速さが四倍になり、さらに風の精霊の指輪で速さが15%上昇していた。それで素早い動きが可能になっていた。


「よし、ブラックドラゴンから全能力激化をゴールドナイトにコピーできた。作戦終了だ」

「ありがとうございます。これでさらに強くなりました」

「今は何の役にも立ってなかったくせに」


 強くなったゴールドナイトに、ハイダークエルフが嫉妬している。


「それはそうだが、この力があれば、これからはもっと召喚者殿のお役に立てる」

「ふん。私の方が星斗様のお役に立てるわ!」

「クオーーーーーン!」


 ゴールドナイトとハイダークエルフが言い争っているのを見て、仙狐が二人をなだめる。


(あれっ、こんなに話す奴等だったか?)


 星斗は仲間モンスター達のやり取りを見て考える。


「上位種族変化してから変わったのかもしれないな。まあいい。後はまた一人で転移の石碑の部屋に戻る。みんな。戻ってくれ」

「はっ!」

「わかりました」

「クオーーーン!」


 ゴールドナイト、ハイダークエルフ、仙狐が、帰還の魔法陣でこの場からいなくなる。その後、星斗はひとりで地下十五階の転移の石碑の部屋に戻り、天満ダンジョンの入り口に戻って外に出る。


「ゴールドナイトのユニークスキル枠がひとつ空いた。何をコピーしようか。魔法系にして魔力と最大MPを底上げするか、それとも竜麟みたいな防御系にしてパーティの盾役になってもらうか。これは迷うな」


 星斗はそんなことを考えながら家に帰っていく。それから数日が過ぎて平日の午後、星斗、アンリ、智也、美亜のクラスメイトの四人は、以前攻略した地下迷宮型の八王街ダンジョンの地下十三階に来ていた。


「はっ!」

「うりゃあ!」

「とりゃあーーっ!」


 星斗とアンリとゴールドナイトが前衛に立ち、出現したドラゴニュートやメデューサなどのBランクモンスターを瞬殺する。それを後衛の智也と美亜とハイダークエルフと仙狐が見ている。


「俺の出番がない」

「私も……」


 彼らは転移の石碑で地下十階に瞬間転移して、そこから地下十三階まで進んできていたが、出現したモンスターは、星斗とアンリとゴールドナイトがスキルも使わずに瞬殺していくので、ほかのメンバーに出番がなかった。


「二人共、強くなりすぎ」

「私達は足手まといですよね」

「ああ。二人なら、もっと強いモンスターがいるダンジョンにも行けるはず」


 智也と美亜は、何もせずに経験値をもらっているので、申し訳ない気がしていた。


「気にしなくていいよ。たまには命の危険がない所で戦うのもストレス発散になるし」

「フェンリルとかブラックドラゴンとか見ちゃったからね」

「命の危険!? 俺はそんなダンジョンで戦うのは無理だ」

「私もです。学校で推奨されてる危険の少ないダンジョンしか行ったことないですし」

「いや、確かに高難易度ダンジョンは気が抜けないけど、ライジンギルドの人達が一緒なら、それほど怖くはないよ」

「お姉ちゃんも、戦いなら信頼できるからね」

「二人は、ライジンギルドのエースパーティに入ったんだよな」

「そうそう。ほかにも強い人達が一緒だから……むっ! 敵だ!」


 星斗は気配察知でモンスターの群れの接近に気づく。すると通路の先からドラゴニュートが三体出現した。


「よし、片づけるぞ」

「はっ! 召喚者殿に勝利を!」

「一体は私にまかせて!」


 星斗、ゴールドナイト、アンリが、ドラゴニュート達と戦闘を開始し、それに勝利する。その後、彼らは何の問題もなく進み、地下十五階に到着する。だが今日はボスのアースドラゴンとは戦わず、転移の石碑でダンジョンを出て、そのまま解散して帰宅した。


 それから時が過ぎて休日の土曜日になり、星斗は以前大規模作戦が行われた海堂ダンジョンの周囲の立ち入り禁止地域にある自衛隊の前線基地にやってきた。そこでは前の作戦で取り戻した外周部を、自衛隊と政府の依頼を受けた覚醒者達が守っていた。星斗はその依頼に応募してこの場所にやってきていた。


(今日の狙いはトロールのHP再生だ。ギガントトロールのAランクのやつが理想だけど、まずはトロールのを狙おう)


 星斗がこの政府の依頼を受けたのは、ひとつ空いている自分のユニークスキル枠にトロールのHP再生をコピーするためだった。ちなみに政府の依頼はスマホで受注することができて、報酬もスマホで管理できる口座に振り込まれるようになっていた。


(HP再生を狙いつつ、ゴールドナイトの空き枠にもいいのがないか探していこう)


 星斗は基地内の覚醒者達の集合場所に行く。今回の政府の依頼の条件はBランク以上の覚醒者で、ここにはAランクとBランクの覚醒者が二十人くらい集まっていた。さらにドラゴンファングギルドの侍のような風貌のSランク覚醒、榊原も参加していた。


「えー、覚醒者のみなさんには、これから自衛隊の部隊と共に、立ち入り禁止区域を巡回してもらいます。あちらの高機動車(大型のジープのような自衛隊の車)に、五人、六人づつ適当に乗ってください」


 自衛隊員の指示通り、星斗は覚醒者がまだそろってない高機動車を見つけてそれに乗る。その高機動車には、運転席と助手席に自衛隊員がいて、後部座席には二人の覚醒者が乗っていた。


(この少年。若く見えるがライジンギルドか。あそこは実力者しか入れないはずだから、かなりの腕とみた)


 すでに乗っていた戦士風の男性の覚醒者が、星斗の腕に付けてあるライジンギルドバッジに気づく。


(むっ、今度はドラゴンファングギルドの魔法使いか)


 星斗の次にこの高機動車に乗ってきたのは、ドラゴンファングギルドのバッジを胸に付けた魔法使い風の女性の覚醒者だった。


(国内二位と三位のギルドの覚醒者がいれば、Bランク相手なら問題ないな。よしよし)


 戦士風の覚醒者が、心の中でそう安心している。その後、その高機動車に五人の覚醒者がそろい、全部隊が立ち入り禁止区域に出発する。



 次回 トロール戦 に続く

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