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「びすまるく?」
「ビックマック?」
「二人ともなに言ってるの!戦艦ビスマルクよ!!」
キョトンとするヨシとシンディをよそにサクラは水面にそびえる黒鉄の城を見やる。
「しかし、おケイも頑張りすぎだろ。あんなバカデカいもん召喚するなんて」
ヨシがそう言った瞬間だった。甲板の上にある主砲がこちら側。つまりは自分たちの乗るフェリーにその砲口を向け始めた。
「は?マジ?」
「いやいやいや、それはないでしょ」
「オゥ!リアリィ?」
「Fire!!(フォイヤ)」
おケイの号令一下。八問ある主砲の全てが轟音と共に放たれた!
「いっ!?」
サクラは思わず声をあげる。雷のような砲声。波動となり空気を伝わるそれは最早、音というよりかは衝撃波だ。
フェリーの甲板にいた人達は皆唖然とその場に立ち尽くした。
「おほほほ!!空砲ですわよ。皆さん」
ビスマルクの甲板で貴族のような高笑いをするおケイ。意地悪い高飛車な態度。
彼女はフェリーの甲板にいる乗客たちと三人の表情を見ては笑いを漏らす。
「あンにゃろ~。アッタマきた」
おケイの余りの態度にヨシはワナワナと肩を震わせながらスマホを取り出して画面をタップした。
「あ、もしもし。イソ君?今さ九州と四国の間にある海にいるんだけどおっきい軍艦で来てくれない」
「ちょっとアンタだれに電話してんのよ!」
「ふふーん。見てなさいよ~」
ヨシが不気味に微笑む。
「おい!こっちからもなんか似たようなヤツが来たぞ!」
乗客の男性が反対側を見て叫んだ。サクラと二人はその声に反応して振り向く。その時だった。
その大型船から九つの火球がパっと現れと思ったら、戦艦ビスマルクの上空で花火のようなものが突然弾ける。それと同時に投網のような模様がかなりの広範囲。ビスマルクの全長の数倍はあろうかという程に広がった。
「まさか!三式弾?!」
サクラは爆煙に包まれたビスマルクから再び火球を放った大型船に視線を飛ばした。
「おほー。イソ君やるゥ、いきなりブッ放すなんて」
「なに?今の…」
上空を見渡しながらおケイは自分の身に起きた事に戸惑いを隠せない様子だ。
「Lock at Tihs!あのフラッグは!」
シンディは突然現れた謎の大型船のマストにスルスルと昇る旗を指差した。
「旭日旗!!」
サクラは歓喜の声をあげる。
「ジャパンのバトルシップですネー」
「そうよ!高くそびえる前鐘楼。九問の主砲。美しい船体。紛れもないあれは戦艦大和よ!!」
サクラは再び歓喜の声をあげた。
「くっそ~。ヨシのヤツ」
おケイは歯ぎしりをする。
「ん?発光信号」
塚本が戦艦大和から発せられる発光信号を読み取る。
ホ・ン・セ・ン・ハ・セ・ン・カ・ン・ヤ・マ・ト・ナ・リ・ス・ミ・ヤ・カ・ニ・コ・ノ・カ・イ・イ・キ・カ・ラ・リ・ダ・ツ・セ・ヨ
「冗談じゃないわ!」
おケイの叫び声と共にビスマルクの主砲が一斉に火を吹いた。
サクラ達の乗るフェリーの上空を空気の切り裂く音がしたと思ったら戦艦大和の周りに水柱が立ち上がる。その内何本かは赤い。
「やった!命中!!」
おケイは思わず身を乗り出す。水柱が砕けると戦艦大和は再び姿を現した。
「え…」
おケイは言葉を飲む。大和はその速力を緩める事なく悠々と海原を進む。
「さすが大和。ビスマルクの主砲を喰らってもビクともせんな」
大和の指令室に座上する山本五十六は唸った。
「では長官。こちらもそろそろ」
「うむ。頼んだぞ森下君」
ヨシが電話一本で呼び出したのはなんと戦艦大和だったのだ。




