第4話:『解き放て破天流!誕生、吹雪のオリジナル必殺技!』
「嘘でしょ……あんなに派手に爆発したのに!?」
鳳凰学園の屋上から街を見下ろし、輪は悲鳴を上げた。
前回の戦いで、砂嵐の中で粉碎したはずの巨大ドリル機械獣。だが、その破壊された巨体の破片から、大量の**『ミニドリル機械獣』**が群れをなして這い出し、臨海地区の街並みを荒らし回っていたのだ。
「脱出ポッド兼、自己増殖型のバックアップ……狡猾な手口ね」
物陰で右肩を抱えながら、サキ(ポリマーレディ)が苦々しく吐き捨てる。ミニドリル機械獣たちは一頭一頭は小さいものの、群れをなして高速回転し、建造物をヤスリのように削り取っていく。
「サキちゃん、あたしが行く! 街をガリガリ削らせてまるか!」
「待ちなさい輪! 相手は小さく、数も多すぎる。私が以前見せた範囲攻撃(旋風脚)のコピーじゃ、隙間をすり抜けられて数が減らせないわ!」
「……コピーじゃ、追いつかない」
輪は手首のポリマーブレスをギュッと締め直すと、ニヤリと不敵に笑った。
「なら……借り物の技を真似るのは、今日で終わり!」
「装着!!」
漆黒のスーツを纏い、ミニドリルの群れの真ん中へ飛び降りる輪(破天吹雪)。
群がるミニドリルたちが、一斉に回転速度を上げて輪へ襲いかかる。
「フェフェフェ! 破天吹雪! お前がどれほどポリマーレディの技を模倣しようと、この数の暴力と小回りの利く軌道は捉えきれん!」
「模倣、模倣って……うるさいなぁ!」
輪の体から、凄まじい高密度エネルギーが溢れ出す。
(踏み込みはお姉さんのスピード、腰の捻りは道場で習った流派の極意、そして拳圧の乗せ方は……あたしだけのやり方で!)
型を持たない『破天流』。それは他人の技を真似るためだけの力ではない。一度見た無数の技を自分の中で昇華させ、**「その場に存在しない新しい型」**を生み出すことこそが、破天流の真骨頂だった。
「人の技をトレースするだけが『破天流』じゃない! ストレスも鬱憤も全部乗せた、あたしの本当の拳……食らいなさい!」
逃げるどころか、押し寄せるミニドリルの群れの中央へ一直線に踏み込む輪。両拳を胸の前で交差させ、解き放つと同時に、音速を超える連続突きを全方位へ繰り出した!
「破天流真奥義——銀世界!!」
ズガアァァァァンッ!!
超絶的な拳圧の全方位ラッシュ。解き放たれた衝撃波は、迫り来る何百体ものミニドリル機械獣を根元から一瞬で粉砕! さらに、あまりの風圧と摩擦によって周囲の空気が一瞬で白く凍りつき、まるで真夏の臨海地区に「銀世界の吹雪」が舞い降りたかのような幻想的な破壊の跡を作り上げた。
「な……なにあの範囲と威力……!? 単なる模倣どころか、あらゆる技を融合させて、全く新しい必殺技に昇華させてる……!?」
物陰で見ていたサキが、息をのんで呆然と立ち尽くす。
「バ、バカな……我がミニドリル軍団が、全滅……ッ!?」
ミニドリルたちは一体も残らず凍りつき、そのまま砕け散って爆発散華した。
ドゴォォォォンッ!!
「……ふぅ。やっぱり自分だけのオリジナル技って、スカッとするね!」
背を向けてカッコよくポーズを決める輪。
だが、技の余波で周囲のコンクリートが真っ白に氷漬けになっているのを見て、「あ、やば! やりすぎちゃった!」と大慌てで空へ跳び立ち、逃げるように去っていくのだった。




