(112)エルフと次の手
俺はどたどたと家に戻り、透明の小瓶を手にする。そこに入っていたのは、フィリアと夏菜とストレートビーチで遊んだ時に集めて持ち帰った桜貝の貝殻だった。
透き通るピンク色の可愛らしい貝殻たちが透明な小瓶の中で煌めいている。
それを手に持ち、外でしょんぼりして立ち尽くしているフィリアの元へと戻り、俺は声を掛ける。
「こ、これ使えないかな?」
「あの、ビーチで集めた…綺麗な貝殻…」
「そうそう!確かフィリア、マナの気配がするって言ってたから、これを石の代わりに使えないかなって!」
フィリアの目がぱっと輝く。けれども、すぐまた下を向いてしまう。
「ユウトさん、ありがとうございます。確かにマナの気配がしますので、この桜貝を触媒にして、魔法は発動することができそうです。ただ…」
嫌な予感がする。
「ただ、数が足りませんの。もし魔法を発動しようと思えば、マナを込めた石を並べて魔法陣を組んだように、この桜貝を使って魔法陣を作らないと…」
と、彼女は両手を広げる。確かに。随分と集めた気がしたけれども、これだと、魔法陣の四分の一ぐらいが頑張っても限界だろう。
けれども俺は諦めなかった。
「じゃ、じゃあ!集めに行こう!まだ夕方だし、日が落ちてもスマホのライトもあるし、懐中電灯も持っていく!フィリアが帰れるように、俺、頑張るから!」
と手を差し出す。
「そ、そんな、ユウトさんにこれ以上、迷惑をかけるわけには…!」
「俺がフィリアの力になりたいんだ。フィリアに恩返しがしたいんだ。フィリアの笑顔が見たいんだ。これは俺が勝手にやりたいことなんだ。それじゃダメかな?」
なんてことを俺は口走ってるんだ、と半ば恥ずかしくなりながら、フィリアのエメラルドグリーンの瞳を真っ直ぐに見据えて、俺は彼女に向かって右手を差し出す。
ためらっていたフィリアだが、「あ、ありがとうございます。ユウトさん」と顔を真っ赤にしながら、彼女も手を差し出してくれた。その触れた手があまりにもはかなく優しかった。
心臓がバクバクしながら、
「よ、よし!それじゃあ急いでビーチに行こう!フィリア、麦わら帽子、取ってきて!俺は懐中電灯、取ってくるよ!」とまた急ぎ庭から家の中へと駆け戻る。
まだ、できることがある。
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