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【完結済】魔法学院の異常者 ~転生であらゆる魔法の無力化と模倣が出来るチートを得たので最強ですが、学院で気楽に青春を謳歌します~  作者: アズト
第4章

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第146話 魔の森

 プライベートビーチを出発したおれ達は最後の目的地である師匠の家……、の手前と言える魔の森の入り口に到着した。


「さて、ここから少し歩くぞ」


「どうして歩いて行くんですか? 空を飛んでディーバさんの家まで直接行けそうな気がしますが……」


「それでもいいんだがちょっと面倒でな。ほら、あれとか」


「あれって……!?」


「ドラゴンか……」


 おれが指さしたほうを見ると、数匹のドラゴンが近くの山へと飛んでいった。おそらく、どこかで餌でも狩ってきたのだろう。


「この魔の森近辺は普通の場所よりも魔力濃度が高いせいで、ああいう強力な魔物が多いんだよ。まあ、そういう意味だと森の中もそうなんだが、ドラゴンよりはましだな」


「そ、そうなんですね……」


「でも、わざわざ避けるってことは、レインでもドラゴンを倒すのは難しいってことなの?」


「いや、倒すだけなら楽勝だ。ちなみに、アイシス先輩も倒せますよね?」


「ああ、そうだな。鍛錬の一環として昔何体か倒したことがある」


 アイシス先輩なら倒す実力はありますよね、という意味で訊いたのだが実際に倒した経験があったようだ。さすがはアイシス先輩である。もしかすると、街中におでかけした回数よりも、ドラゴンを倒した回数のほうが多いかもしれない。


 おれがそんなある意味で残念な可能性を考えていると、サフィアが口を開いた。


「倒せるんだったらなんでわざわざ避けるのよ?」


「倒すのは楽勝だが、魔物とはいえ必要のない殺しはしたくないからな」


「あ、そういえば、わたしと一緒に王都に来るときもそうしてましたね」


「ふむ。確かに、無益な殺生は避けるべきだ。良い心がけだな」


「ありがとうございます。それで、殺さずに撃退するとなるとドラゴンとかはちょっと面倒なんだよ」


「そういうことね。分かったわ」


 サフィアにご納得いただけたので、おれ達は魔の森の中へと足を踏み入れる。……ふむ、ここに来るのは四か月ぶりくらいだが懐かしい空気だな。濃い魔力と、強力な魔物の気配を感じる。


 そんな気配を感じ取ったのだろう、リミアとサフィアが少し怯えたような声を出す。


「な、なんというか、その……」


「嫌な気配がするわね……」


「怖いんだったら二人ともおれの両腕に掴まってていいんだぞ」


「……え? でも、それだと……」


「魔物が出てきたときに戦いづらいでしょ……?」


 ……おっと、これは痛いところを突かれたな。確かに、両腕を塞がれては物理的な戦闘はしづらい。そして、不殺は相手をぶっ叩くことが有効なのは逆刃刀で証明されているので、両腕を塞ぐのは悪手と言える。


 だが、だからといって、せっかく両腕に美少女が抱きついてくれるチャンスを逃す理由があるだろうか? いや、ない!!


 そう判断したおれはリミアとサフィアを安心させるように語りかける。


「大丈夫だ、問題ない。そして……」


「「そして……?」」


「前に約束したように、二人になにがあってもおれが守るから安心しろ」


「レインさん……」


「レイン……」


 おれが左手に付けた指輪を見せながらそう宣言すると、二人とも頬を赤くしうっとりとした目でおれを見てくれていた。よし、決まったな。その後、二人がおれの隣まで来てその細くてきれいな腕をおれの腕に絡ませようとする……、ところで後ろから声がかかった。


「レイン君、ちょっと……」


「……! アイシス先輩、なんですか?」


 残念ながら、良い感じのところでアイシス先輩に呼び止められてしまった。アイシス先輩に自分のところまで来るように手招きされたので、おれはリミアとサフィアを残し一人でアイシス先輩のところへと歩いて行く。


 ……近くまで来て分かったが、なんかアイシス先輩の機嫌が悪いような気がする。いったいなにがあったんだろうと思っていると、アイシス先輩が不満そうに言葉をこぼす。


「私は?」


「……え?」


「だから、私は?」


「えーっと……」


 そうやって、「私は?」とだけ言われても、どういう意味だか分からない。なにかヒントがないかと探していると、アイシス先輩が左手に付けた指輪に触れているのが見えた。……ああ、そういうことか。


「でも、アイシス先輩くらいの実力なら、この森の魔物くらい問題ないですよ」


「むう……」


 イカン! なんだか、余計にアイシス先輩の機嫌が悪くなってしまった。考えてみれば、守ると約束したのに問題ないからといってそれに反する言葉を言ってしまったのはいけない気がする。


 そこに気付いたおれはアイシス先輩の両肩に手を置き、彼女の目をまっすぐに見て力強く宣言する。


「約束したように、なにがあってもおれがアイシス先輩を守るから安心してください」


「……うん、おねがい……」


 普段と違い、子どものような言葉遣いでアイシス先輩はそう答えた。いや、頬を赤くし恥ずかしそうに下を向いてしまったその姿は、子どもというよりは乙女と言えるかもしれない。


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