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2.3-10 ブレスベルゲンの探検7

 帰り道を聞いたサヨは、とにかく一旦、自宅に戻ることを決める。これ以上の探索をするには、エネルギー源(?)であるクッキーの補給が必要だからだ。まぁ、穴蔵から出たところで、迷子状態が改善するわけではないのだが。


「忠告ありがとうにゃ。どうにか小枝様のところに戻ったら、"きょうかい"の人たちは危にゃいって伝えるにゃ!きっと小枝様ならなんとかしてくれるにゃ!」


「ウ゛ゥ゛」


「じゃ、サヨはこれで——」


 と、サヨが自称ベテルギウスという名のゾンビと別れて歩き出そうとした——その瞬間のことだ。


「【ピュリフィケーション】!」


 そんな聞き覚えの無い声が、サヨたちのいた空洞の中を木霊する。


 その直後——、


「ウ゛ア゛ーッ!」


——ベテルギウスの身体が光に包まれたかと思うと、彼の身体は灰のように、その場に崩れ落ちてしまった。最早、原型は留めていない。


 空間の中に立ちこめていた腐臭も、嘘のように消えてしまった。まるで、空間ごと洗浄されたかのよう。


 そんな空間の中で、サヨは慌てに慌てた。


「(んにゃっ?!ベ、ベテルさんがやられちゃったにゃ?!まさか……)」


 そう、そのまさか。サヨがいた空間へと、神父とシスターが現れる。


「そこの人!大丈夫でしたか?」


 声を掛けてきたのはシスターの方だ。神父の方は、周辺を警戒しているらしく、暗闇の中に光の球を浮かべながら、残ったゾンビがいないかを探しているようだった。


 対するサヨは、シスターの呼びかけに返答できない。彼女は悟ったのだ。


「(この人たちが、きょうかいの人たち……!)」


 下手な事を言えば()られる……。そんな確信を得たサヨは、借りてきた猫のごとく、静かにならざるを得なかった。


「んにゃぁ……(どうする?どうする?!)」わなわな


 獣耳をぺたりと倒して小さく震えるサヨを見たシスターは、可愛そうなものを見るような視線をサヨへと向けた。


「もう大丈夫です。アンデッドは皆、ハザ様が退治してくれますから」


「(もうダメかも知れにゃい……)」


 余計にしょんぼりとするサヨを前に、シスターも困った表情を見せる。


「ハザ様。どうやらこの子、言葉が喋れないくらいショックを受けているようです」


 呼びかけられた神父ハザ(木下家の隣の教会在住)は、周囲を警戒しつつもサヨたちの方へと近付いてくる。


 その姿に、サヨはいよいよ命の危険を感じ取っていたらしい。ベテルギウスは、ハザの呪文によって、一瞬で灰になってしまったのだ。この世界のことも、ブレスベルゲンのことも、教会のことも、何も知らないサヨにとって、神父ハザたちの存在は、恐怖の権化。一歩間違えれば、次に消されるのは自分……。そんなネガティブな考えが、サヨの中で渦巻く。


「ふむ……。獣人の子か。もしや、コエダ殿の所の子ではないか?」


「こ、小枝様?!」びくぅ


「あっ、そうみたいですね。ということは、もしかして、放っておいても大丈夫だったのでは?」


「そうかも知れないが……本人に聞いてみよう。大丈夫か?君」


「にゃ、にゃぁ……」ぷるぷる


「やはり、ショックを受けているのは間違い無さそうだ。見ない顔だから、ここ最近、ブレスベルゲンに来たのだろう」


「最近来たばかりだというのに、ゾンビに襲われそうになったのですか……。可愛そうに……。でも、大丈夫!もう怖いアンデッドはいませんからね?」


「にゃぁ……(そうじゃないにゃ……)」


 事情を説明しようにも、下手な事を言えない……。そんなジレンマに挟まれたサヨは、見えない力に押しつぶされるかのごとく、ただひたすらに縮こまるしかなかったようだ。


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