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魔法学校留学!  作者: ポムの狼


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19/19

19 三人で目指そう! 認定章、全制覇!

 しばらくオリバーにヒールをかけると、オリバーの足の腫れはすっかり引いた。

 時間にしたら、一分くらいだったのかもしれないけど、一分一秒を争う今の状況では、とても長い時間に感じた。


「杏、ありがとう。もう大丈夫そうだ」


 オリバーは、額に浮かんだ汗を拭ってから立ち上がった。


「急ごう、杏。まだ急げば間に合う」


 腕時計を見ながらそう言ったオリバーに、私は頷いた。


 二人で丘を駆け上がり、カウリの木に結びつけられた布の袋からハチマキを取る。

 残り二本。当たり前かもだけど、私たちが最後だ。

 私たちはハチマキを取って、自分たちの頭に巻いた。


「これで折り返し! 絶対にあきらめないんだから!」


 丘の上からは、森の奥に学校の校舎と校庭が見える。

 まだゴールしてる人はいないみたい。丘には私たちだけだから、皆森の中を走ってるってことかな。


 私とオリバーは、風を切って一気に丘を駆け下りた。



 あぁ、もう少しで丘が終わる。

 オリバーは、丘が終わったら、またウィングブーツを使うって言ってたよね。

 ううん、恨み言はなしだ! オリバーはオリバーのベストを尽くして、私は私のベストを尽くすんだ!


 森に入る直前、すっと森の中で何かの陰が動いた。


「え、どうしてここに?」





 * * *

 




 森を抜けて一番に校庭に戻ってきたのは、エイデンだった。


(やった! もうあと、ゴールまで走るだけだ!)


 エイデンはちらりと後ろを振り返るが、まだ皆森の中だ。

 皆、魔法を使って加速していたが、最後には魔力切れでふらふらになりながら走っていた。


(でも、俺にはまだ余裕がある。普段から走る練習もして、このテストに備えてきたんだ)


 エイデンの頭の中には、ここ一か月の秘密の猛特訓が蘇っていた。

 学校を帰ってから、家の周りをマラソンして、絶対一番にゴールできるように練習を重ねていたのだ。


(結局、あの親の七光りは、姿すら見えない。母さんは、あいつのことを警戒しすぎなんだ)


 ゴールまであと十メートル。

 ゴールラインの向こう側には、にっこりと生徒たちの帰りを待つブラウン先生が立っている。


「やった! 俺が一番だ!」


 エイデンは、自分の勝利を確信した。


 ――その時だった。


 しゅんとエイデンの横を風が切った。


「え?」


 日差しを遮る大きな体躯。

 真っ白な生き物がエイデンの横を悠々と走り抜けた。


 その生き物の上には、長い黒髪をなびかせる杏の姿があった。


「やったー! 間に合った!」


 ユニコーンに跨った杏が一番にゴールラインを越え、ユニコーンから飛び降りた。

 杏の肩にのった灰色の猫もごろごろと喉を鳴らし、杏の顔に自分の頭を擦りつけている。


 エイデンは、走りながら、頭の中が真っ白になった。





* * *





「はい、杏さん。合格です。認定章をどうぞ」


 ブラウン先生は、私に金色の認定章を手渡す。その板には『Aorangi Magic School Achievement Medallion (アオランギ魔法学校認定章)』と彫り込まれ、一番左端の穴にはダイヤモンドみたいなキラキラと輝く透明な宝石がはめこまれていた。


「すごい……綺麗……」


 私はその認定章を空に掲げて、日の光を透かしてダイヤモンドみたいな魔法石を見た。板の角度を変えると魔法石は青く見えたり、ピンクに見えたりと色を変えて面白い。私は嬉しさで涙がこぼれそうだった。


「ふんふん」


 ユニコーンが私のつむじを鼻でつつく。

 私は改めてユニコーンに向き直った。


「送ってくれてありがとう。おかげで無事に合格できたよ」


 私がユニコーンの鼻先を撫でると、ユニコーンはタマちゃんが乗っていない方の肩に頭を乗せた。


「すごいですね、杏さん。いつの間にユニコーンを使役したんですか?」


 聞いてきたのは、ブラウン先生だ。


「えーっと……内緒です」


 先生にダメって言われたのに森に入って、アーク団と戦ったなんて話は、口が裂けてもできない。

 

 先生はメガネをくいっと上げながら私を見た。だけど私の次にエイデンがゴールしたのを見て先生は、そっちへ行ってくれた。


「杏! 早すぎだよ!」


「うおぉぉぉぉ!!」


 校庭を走ってきたのは、メイジーとオリバーだ。

 二人して最後のラストスパート。

 二人とも前に倒れるようにゴールラインを越えて、芝生の上に寝転がった。


「メイジーも早いよ。オリバーもよくここまで追い上げたね」


「まあね」


「言っただろ? 僕のウィングブーツ改良型三号は、平地では無敵だって」


 二人ともいつも通りだ。とにかくこれで、三人で合格を祝えそうだ。


 他のYear 5の皆も、ふらふらになりながらゴールラインを越えていく。最初のテストは、無事皆合格できたみたい。


 私たち三人は、先生からもらった金色の認定章を三人並んで眺めた。


「今年は、三人で全部合格を目指そうぜ」


「いいね、乗った」


 オリバーとメイジーは、にかっと私に笑う。


「杏も目指すよね、全制覇」


「もちろん! 三人で目指そう! 認定章、全制覇!」








『魔法学校留学!』第一部・完

 いつもお世話になっております! ポムの狼です!


 今作は、第15回つばさ文庫小説大賞に応募するために書いた児童小説でございます。

 ちゃんと児童小説になっていましたでしょうか?(´▽`)


 コンテスト要項に、

「小学4~5年生くらいから読めるもの」、

「エンターテインメントであること」、

「ずっと読みつづけたいと思ってもらえる作品であること」

 と指定がありましたので、今回は小目標達成といった感じでお話を区切ってみました。


 今回初めて児童小説を書いたのですが、今作は小四の我が子にもチェックをお願いして書いています。

 いつもは、チャッピーに壁打ちを依頼をお願いしているだけなので、誰かに生の感想をもらう経験はとても楽しかったです(^^)/


 受賞できるかは未知数ですが、我が子が続きを書いて欲しい!と早くもリクエストしていまして、そんな物語にできたことに大満足でございます。


 最後に、『魔法学校留学!』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 カクヨムでは他の作品も休まず投稿予定ですので、ぜひ遊びに来てくださいませ!

 なろうでも過去作をコピペして投稿しますぞ(=゜ω゜)ノ

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