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赤き日  作者: 溶接作業
二章

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武勇

「おーーい! 終わったぞぉ」


 ニッケランは腹に力を入れ、勝利したことを伝える。彼らは一瞬顔を見合わせたのち、さらに速度を速めた。


「すまん、遅くなって」とジョン。全力で走って来たのか息が絶え絶えだ。


「いや、勝てたから問題ない。それにそっちも大変だったみたいだな」


 彼らの体には切り傷が至る所に出来ており、どうやらオキタルとミャアドが加勢したことで決着がついたようだ。


 すると、背後からロングソードが伸びてきた。


「おお、すまねぇな。やけくそになって投げつけちまった」とオキタルへ。


 同じく肩で息をしていたミャアドは安堵したように息を吐き出す。


「一度地下に戻ろう。ここで話し合うのは危険すぎる」とミャアド。


 全員が同意し、地下トンネルへと向かう。死闘の後と言うこともあり、風に揺れる草木にまで反応してしまう彼ら。しかし、道中は戦場とは思えないほど静かだった。


 トンネル内へたどり着くと、脱力するように皆が地面に座り込む。

 ミャアドの横で揺れ動いている炎を眺めながらロングソードの剣士は囁いた。


「次からはもっと作戦を立ててから戦に臨みたいな」


「間違いねぇ。あんな危険な賭けは金輪際しないぜ」とエイリ。


 二人はうなずき合い、笑みを見せあった。


「でも勝てたのは、また! 僕のおかげだよ?」

「あぁ、ありがとうな。でも、あれ何を刺したんだ?」

「あの尋問官に頼んだんだ。少量で敵を痺れさせる独の作り方を教えてって」

「はぁ?」

 尋問官を知っているジョンやザザンも思案顔だ。

「尋問官にって…なにもされなかったのか?」とザザン。

「まぁ、からかわれたけど…普通に教えてくれたよ」


 冗談じゃないと思っているのかザザンは納得しかねる顔で無理に頷いている。

 すると、ミャアドが口を開いた。


「お前たちの話ばっかりでずるいな。俺たちの話も聞けよ」


「どうぞ」とニッケラン。


「俺はジョンの所に助太刀に行ったんだが…敵がまぁバカ力でよ!」


 ジョンをチラリと見ると、どうやら本当らしい。地面で擦ったような傷をさすっている。


「ジョンがガードして奴の一撃を受け止めたら、どうなったと思う?」


 ミャアドはニッケランに聞いた。


「え? バカ力なんだろ? じゃぁ、威力がデカすぎて倒れたとかか?」

「実は宙に吹き飛ばされたんだ。なぁ、ジョン!」

「あぁ。おかげで腕が痺れるわ、地面に叩きつけられるわで散々だった」


 目を輝かせて聞いていたエイリが問う。


「そんなバケモンどうやって倒したんだ?」


 待っていたと言わんばかりにジョンがニヤリと「攻撃されて倒れ込んだふりをしたんだ。右手には武器。左手には土を握り込んで、敵が攻撃してきた瞬間に、目に向かって土を投げつけてやったぜ」


「それで、俺とジョンが同時に奴を叩いたわけよ」


 他の四人は感嘆の声を出し、何度もうなずいている。すると「次はお前たちの番だぞ?」とジョン。


「あぁ」


 ザザンが話始めた。


「俺たちの相手はとんでもねぇ槍使いだったぜ…攻撃なんてできないぐらいに突きが早くてな! 盾がほら」


 彼は両手で盾を持ち上げると、見せつけるように前へと突き出した。

 歪な盾。所々貫かれ、最早オブジェのような見た目になっている。


「おいおい、とんでもねぇ状態だな。それ捨てるしかないだろ…」

 ニッケランは思わず言ってしまう。しかし、杞憂だったようだ。エイリが胸を叩いて言った。


「大丈夫だ。村には精錬出来る施設も用意してある。大概の武器は直して見せるぜ」

 ザザンも心配していたことなのか、安堵の表情を見せ、盾を撫でている。


「で、僕が到着したころには盾もザザンもボロボロ。体の至る所に傷を負ってたよね」とオキタル。

「最終的には、二人がかりで攻撃して、僕が奴の足の健を切り捨てて、バランスを崩したところで、ザザンがドン!」

「そういう訳だ」


 二人は言い終えると満足そうにうなずいている。やけに内容を端折っていたが、それでも死闘が想像できる。


 すると、トンネルの奥から足音が聞こえ始めた。音の主も松明を持っているようで、トンネルの奥から光が強まってきている。


 もしかすると、敵かもしれない。六人は立ち上がると、各々武器を構える。

 姿を現した者はゆっくりとこちらへ近づき、顔が視認できる距離になった。


「ヤクトン!」


 真っ先に声を出したのはミャアドだった。驚いた顔を見せたヤクトンだったが、すぐによろこびの表情へと変わる。


「お前ら生きてたのか!」


 彼は松明を地面に投げ捨てると、ミャアドの胸倉を思い切り掴んだ。しかし、これは喜びに支配された行動だ。


「お前は何でここに?」とミャアド。

「あっ! 報告しないとな」彼は続ける。


「前線から帝国兵が撤退していることを確認した。 戦線は前進していて、今日中に森の中から敵は居なくなるだろうよ」

「やったな、ニッケラン」


 エイリが肩を叩いてきた。魔操志を討ったことで一応は信頼を得られたらしい。


「敵は何か言ってたか?」


 ミャアドがヤクトンに質問する。


「あぁ、魔操志が討たれたとかなんとか…」


 それを聞き、ミャアドは満足そうにうなずいている。


「とりあえず、戻りながら話すか」


 エイリの提案に皆が同意の意を示した。


「なぁ、ヤクトン。敵にヤバイ弓兵居なかったか?」

「――俺が戦ってた所には来なかったけど、他の戦場から逃げてきた奴からそれらしい話は聞いたな…一人の弓兵に全滅させられたとかなんとか…」


 弓兵一人に部隊が全滅させられるなど聞いたことがない。今後、奴とも戦うことになると考えると、魔操志と同等に不安にさせられた。


 すると、先頭のヤクトンが立ち止まり、隠し扉へと向かってゆく。扉を開けると、そこは村の少し外れたところだった。


「とりあえず井戸へ向かうぞぉ…」とミャアド。

 どうやら長老は綺麗好きらしく、泥まみれのまま上がり込むのは厳禁らしい。


 洗い終えた彼らは長老の家へ向かう。


「おぉ、お前たち! 生きて帰ってくれたか」


 深い笑みを浮かべた長老が腕を大きく広げ、迎えてくれた。


 どうやら食事が用意されているようで、中から食欲をそそられる香りがする。


「ささ、中に入って食事だ」


 彼らは急いで足を踏み入れると、鼻腔を良い香りが満たした。


 机の上には豪華な食事。前回のモノと比べるとやや劣るが、それでも十分な内容だ。


「ささ、戦のあとは飯だ! 腹いっぱい食おうじゃないか」と長老。

 同時に、皆が食事を開始する。腹が満たされていくほどに、生きている実感がより強いものとなっていった。



 ――すると、ある程度、食事が進んだところで長老が口を開いた。


投稿するの忘れてたぁ!!


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

ぜひ皆さまの声をお聞かせください!

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