武勇
「おーーい! 終わったぞぉ」
ニッケランは腹に力を入れ、勝利したことを伝える。彼らは一瞬顔を見合わせたのち、さらに速度を速めた。
「すまん、遅くなって」
息を切らしているジョンが言った。
ニッケランは首を横に振り、口を開く。
「いや、勝てたから問題ない。それにそっちも大変だったみたいだな」
ジョンもザザンも軽い負傷をしていた。オキタルとミャアドが加勢したことで決着がついたようだった。
すると、オキタルがロングソードとハーフソードを渡してくれた。
「おお、すまねぇな。やけくそになって投げつけちまった」
オキタルは一つうなずくと、安堵しているようだった。
すると、ミャアドが口を開いた。
「一度地下に戻ろう。ここで話し合うのは危険すぎる」
全員がそれに同意し、地下トンネルへと向かった。道中は特に何もなく、死闘を繰り広げた後とは思えないほど静かだった。
トンネルへたどり着くと、移動せずにその場に全員座り込んだ。
ミャアドが握っている松明を眺めながら、ニッケランは口を開く。
「次からはもっと作戦を立ててから魔操志とは戦いたいな」
泣き言にエイリが笑い出した。
「間違いねぇ。あんな危険な賭けは金輪際しないぜ」
二人はうなずき合い、笑みを見せあった。
「でも勝てたのは、また! 僕のおかげだよ?」
オキタルが言った。それにニッケランは質問を飛ばす。
「あぁ、ありがとうな。でも、あれ何を刺したんだ?」
質問に彼は答える。
「あの尋問官に頼んだんだ。少量で敵を痺れさせる独の作り方を教えてって」
「はぁ?」
それを聞いていたザザンが高い声を出した。彼は続ける。
「尋問官にって…なにもされなかったのか?」
「まぁ、からかわれたけど…普通に教えてくれたよ」
まだ納得がいっていない様子だったがザザンはうなずいた。
すると、ミャアドが口を開いた。
「お前たちの話ばっかりでずるいな。俺たちの話も聞けよ」
「どうぞ」
エイリの言葉にミャアドが笑みを見せる。
「俺はジョンの所に助太刀に行ったんだが…敵がまぁバカ力でよ!」
ジョンの様子を見ると何度もうなずいている。
「ジョンがガードして奴の一撃を受け止めたら、どうなったともう?」
ミャアドはニッケランに聞いた。
「え? バカ力なんだろ? じゃぁ、威力がデカすぎて倒れたとかか?」
「実は宙に吹き飛ばされたんだ。なぁ、ジョン!」
ジョンが答える。
「あぁ。おかげで腕が痺れるわ、地面に叩きつけられるわで散々だった」
話を聞いていたエイリが聞く。
「そんなバケモンどうやって倒したんだ?」
待っていたと言わんばかりにジョンがニヤリと笑った。
「攻撃されて倒れ込んだふりをしたんだ。右手には武器。左手には土を握り込んで、敵が攻撃してきた瞬間に、目に向かって土を投げつけてやったぜ」
ミャアドが口を開く。
「それで、俺とジョンが同時に奴を叩いたわけよ」
他の四人は感嘆の声を出し、何度もうなずいている。すると、ジョンが口を開いた。
「次はお前たちの番だぞ?」
「あぁ」
ザザンが話始めた。
「俺たちの相手はとんでもねぇ槍使いだったぜ…攻撃なんてできないぐらいに突きが早くてな! 盾がほら」
そう言うと彼は盾を皆の見やすい場所に置く。
盾は全体がいびつな形に変わり、所々の角が無くなってしまっている。
「おいおい、とんでもねぇ状態だな。それ捨てるしかないだろ…」
ニッケランの言葉にエイリが反応する。
「大丈夫だ。村には精錬出来る施設も用意してある。大概の武器は直して見せるぜ」
ザザンも心配していたことなのか、安堵の表情を見せた。
すると、オキタルが話す。
「で、僕が到着したころには盾もザザンもボロボロ。体の至る所に傷を負ってたよね」
「あぁ」
ザザンが悔しそうに言った。オキタルは続ける。
「最終的には、二人がかりで攻撃して、僕が奴の足の健を切り捨てて、バランスを崩したところで、ザザンがドン!」
「そういう訳だ」
二人は言い終えると満足そうにうなずいている。やけに内容を端折ったが、それでも死闘が想像できる内容だった。
すると、トンネルの奥から足音が聞こえ始めた。音の主も松明を持っているようで、徐々に光が近づいてきている。
もしかすると、敵かもしれない。ニッケランたちは立ち上がり、各々武器を構える。
姿を現した者はゆっくりとこちらへ近づき、顔が視認できる距離になった。
「ヤクトン!」
真っ先に声を出したのはミャアドだった。驚いた顔を見せたヤクトンだったが、すぐによろこびの表情へと変わる。
「お前ら生きてたのか! よかったよかった」
彼はミャアドの元に近づき、胸元を掴んだ。しかし、それは喜びに支配された行動だった。
ミャアドが口を開く。
「お前は何でここに?」
「あっ! 報告しないとな」
彼は続ける。
「前線から帝国兵が撤退していることを確認した。 戦線は後退していて、今日中に森の中から敵は居なくなるだろうよ」
「やったな、ニッケラン」
エイリが肩を叩いてきた。魔操志を討ったことで一応は信頼を得られたらしい。
「敵は何か言ってたか?」
ミャアドがヤクトンに質問する。
「あぁ、魔操志が討たれたとかなんとか…」
それを聞き、ミャアドは満足そうにうなずいている。
「とりあえず、戻りながら話すか」
エイリの提案に皆が同意の意をしめした。
歩きながら気になる事が出てきた。ニッケランが聞く。
「なぁ、ヤクトン。敵にヤバイ弓兵居なかったか?」
「――俺が戦ってた所には来なかったけど、他の戦場から逃げてきた奴からそれらしい話は聞いたな…一人の弓兵に全滅させられたとかなんとか…」
弓兵一人に部隊が全滅させられるなど聞いたことがない。今後、奴とも戦うことになると考えると、魔操志と同等に不安にさせられた。
こんな暗い場所でこの話題を続ける気は続かなかった。全員が黙って目的地へと進んでゆく。
すると、先頭のヤクトンが立ち止まり、隠し扉へと向かってゆく。扉を開けると、そこは村の少し外れたところだった。
とりあえず、全員井戸へと向かうことなった。
長老は綺麗好きらしく、泥まみれで家に上がることは厳禁らしい。
井戸に着くと、全員が下着になり、水を浴びる。
着ていた服も水で湿らせ、力強く洗う。大体の汚れは落とすことが出来た。
終えると、長老の家へと向かう。長老の家の前に着くと、同時に玄関が開いた。
「おぉ、お前たち! 生きて帰ってくれたか」
深い笑みを浮かべた長老が腕を大きく広げ、迎えてくれた。
どうやら食事が用意されているようで、中から食欲をそそられる香りがする。
「ささ、中に入って食事だ」
長老は急いで中へと入って行くと、我々を迎え入れた。
中に入ると、机の上に食べ物が広がっていた。前回のと比べると劣るが、それでも十分なものだ。
全員が椅子に座り、同時に食事を開始する。
――ある程度、食事が進んだところで長老が口を開いた。
投稿するの忘れてたぁ!!
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