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赤き日  作者: 溶接作業
二章

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62/107

現時点

「規模は!」


 先ほどまでの温厚な長老はそこにはなく、まさに歴戦の戦士の顔つきに変わった。


「それが…」とエイリ。

「どうした? そんなにも大規模なのか?」

「奴らは部隊を細かく分けて侵入してきたようで、森の中と言うこともあり、敵の全容が掴めないんです」

「奴らめ…とうとう本腰を…」


 小さくささやいた長老は唸り始めた。


「なぁ、すまないが仲間を起こして来てくれないか?」と突然、ミャアドが話しかけてきた。彼は続ける。


「今までにないほど大規模なんだ。魔操志…前回の戦ほど強力な奴は居ないとは思うが。それなりの奴は居るかもしれない。そう考えると、アンタらの助けも借りたいんだ」


 断る理由は無い。ニッケランは二つ返事で承諾すると、仲間の元へと駆け出した。

 家に着くと、思い切り入り口を開けて中に入る。


「うお! おいおい、どうした? そんな思い切り開けたらドアが壊れち…」とジョン。


 ジョンの言葉を遮り、ニッケランは口を開けた。


「帝国軍が攻めてきたらしい。結構な規模らしいぞ!」


 ジョンは一瞬、ポカンとした顔を見せたが、すぐに他の仲間の元へと動いた。

 ニッケランはオキタルの元へ、ジョンはザザンを起こしに動いた。


 オキタルの部屋の扉を思い切り叩く。


「起きろオキタル! 仕事の時間だ!」


 オキタルの濁った声が聞こえる。まだ寝起きのようだ。

 さすがに寝起きのまま、彼らの元へと連れだすことは出来ない。ニッケランは扉を開け、寝具にくるまって寝ている彼を揺さぶった。


「オキロォォォ!」


 さすがに思い切り揺らされ、目が覚めたのか「分かったよ…起きるって…」とニッケランを睨む。そして、ゆっくりと起き上がり部屋の外へと出ていった。


(俺も武器を取らないとな…)と自室へ向かう。


「おはようニッケラン。俺たちに休暇は無いみたいだな」とザザン。

 ニッケランは自室に駆け込むと「あぁ! 本当に休ませてほしいよ!」と大声で。ロングソードを背負うと彼と共に居間へと向かう。




「で、帝国軍が攻めてきたってのは?」とジョン。


「まだ、詳しくは…でも、彼らの様子を見るに、かなりの大規模っぽいぞ。しかも、魔操志が居るかもしれないとさ」


「魔操志ね……まぁ、とりあえずは昨日集まった家に行くしかないな。オキタル、お前は顔を洗ってから来るんだ」


「はぁい……」


 生返事をしたオキタルを余所に、三人は目的地へと移動してゆく。その道中でザザンが口を開いた。


「ニッケラン。必要か?」

「何が?」

「ハーフソードだよ。将軍に用意させてただろ? 俺が背負ってるカバンの中に入ってるじゃねぇか」


 ニッケランは、結局用意させたのだった。ハーフソードを握るのはもちろん嫌だったが、死ぬのはそれ以上に嫌だ。


「そうだな…一応持っていくよ。魔操志と鉢合わせたら、さすがにコイツじゃ分が悪い」


 ニッケランは背中のロングソードを撫でながら、森の景色を思い出す。

 上戸の森はうっそうとした場所で、長物を振り回すには不利な場所だ。実際、野生動物に襲われた時は、木々に剣が当たってしまい中々うまいこと剣を振り回せなかった。


 そんな事を考えていると、目的地へと到着した。


「つまり、部隊はバラバラ…お、来たな。て、あれ? あの若いのは?」とエイリ。

 

 ジョンは苦笑いで「オキタルには先に顔を洗ってくるように伝えたんだ。後で来るよ」


「そうか…とりあえず、座ろう。立ちながら話すのは辛いしな」


 素早く椅子へ腰を下ろした彼らに長老が「前置きは無しにさせてもらう。時間がない」と口を開いた。


 彼は続ける。


「現在、上戸の森に帝国軍の大規模部隊が展開しているそうだ。その数、推定三千」


 数字を聞いて仲間と顔を見合わす。ザザンもジョンも険しい顔で


「それで、同胞…反乱軍の部隊が交戦している訳だが…あまり状況が良くないらしい」

「ゲリラが失敗しているのですか?」とザザン。


「いや、エイリの話によると成果は上がっているらしい。しかし、その量が予想よりも少ないそうだ」


 すると、エイリに発言権が回る。


「ゲリラは成功している。しかし、敵が想像より強く、思うように戦況が進んでいない」

「そこで、我々を投入したいと?」とザザン。彼にエイリはしっかりとうなずいた。


 すると「戦況は地下トンネルを移動しながら話そうと思う。出発は半時間後。それまでに各自準備を整えておいてくれ」とミャアド。


 彼が話し終えたと同時に扉が勢いよく開いた。


「お待たせ! で、状況は?」とオキタル。余程慌てて来たのか、汗か井戸水か。彼はずぶ濡れだ。

「話は終わった。オキタル、武器と防具の手入れをしておけ」とジョン。


 そう言うと、オキタル以外の三人は外へと向かってゆく。それに慌てて、オキタルも続く。


「まって! 状況さっぱりわかんないんだけど!」


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

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