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赤き日  作者: 溶接作業
二章

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情報

「――それはすごいな…」


 小さく声を漏らしたエイリは戦場の光景を思い浮かべているのか、目を閉じ、何度もうなずいている。ラキアもヤクトンも同じような格好だ。


「正直、王国からの支援が四人だけってのは心細いと思っていたんだが、もしかすると、万の兵士よりも上かもしれないな」とヤクトン。


「そんな大げさな」とニッケラン。


 さすがにここまで持ち上げられるとむず痒く感じる。これ以上は褒めて欲しくないために、ニッケランは牽制をする。

 すると、奥のドアが開き、長老が顔を出した。


「おお、皆揃っているな…なんだ、ヤクトンもおるではないか。おい、料理を手伝え」


 手招きする長老に彼は露骨に嫌な顔を見せた。


「ええーー。やだよぉめんどくさい」

「ええい! お前は料理だけはいっちょ前なんだから、とっとと手伝わんか!」

「ちぇ! 分かったよ」


 彼はそう言うと、長老についてゆく。


「なぁ、ミャアド」

「ん?」


 ミャアドが反応をしたことを確認し、ニッケランは質問する。


「仲間を呼ぶって言ってたけどよ。まさか、反乱軍はここにいる全員とは言わないよな?」

「ハハハ! さすがにこんな人数じゃないさ。散らばってるんだよ、森の中に」


 さすがに無いとは思っていたが、実際に聞くと安心できた。

 次の質問に移る。


「これから何個も質問するけど良かったか?」

「おう、何個でもいいぞ」

「じゃぁ…この拠点は帝国軍に見つかっているのか?」


 ミャアドは笑みを浮かべた。


「森の中に仲間を散らばせている理由は二つ。ゲリラを仕掛けるため。そして、帝国の目を混乱させて、拠点までたどり着かせないためさ」

「でも、こんなにも大胆だとさすがに気づかれるんじゃないのか? 例えば調理中に出る煙とかさ」

「ごもっともな意見だなぁ…」


 ミャアドはさらに笑みを深めた。何やらありそうだ。


「実は調理は地下で行っているのさ。 煙は地下に張り巡らされた換気口から遠く離れた場所に送られて、そこから煙が排出されるのさ」

「そんな大がかりな…もしかして、地下に道が張り巡らされているとかは無いのか…?」


 ジョンが突然、声を出した。何やら興奮している様子だ。


「さすがにそこまでは…って言うと思ったか? 鋭いな! その通りだよ。この森のほとんどの場所に地下トンネルが張り巡らされているのさ。と言っても、俺たちはほとんど作ってないけどな」


 ジョンは満足したような顔になった。しかし、最後の言葉が引っかかったのか再度、口を開いた。


「じゃあ、誰が作ったんだ?」

「長老たちさ」

「どういう意味だ? 彼は仲間だろ?」

「あぁ、仲間だ。だが、正確には違う。俺たちが彼らの仲間になったんだ」


 エイリもラキアもうなずいている。

 ミャアドは続ける。


「実は、反乱軍ってのは昔から居たのさ。お前らとも共闘したことがあるはずだぞ? まぁ、その時は傭兵として戦っているから分からないんだろうがな」

「その、反乱軍はどのくらい前から居るんだ?」


 ジョンの質問に彼は唸った。


「うーん…かなり長いだろう。なにせ、あの長老が若いころから活動してるんだからな」


 驚いた。まさか、帝国内部にそんな組織が居たとも思わなかったし、そんな昔から存在するとも思っていなかった。


「なぁ、ミャアド。反乱軍の数ってのはどのくらいなんだ?」


 今度はニッケランが質問をした。


「そうだなぁ。エイリ、今何人ぐらい居るんだ?」

「増え続けてるからなぁ…完全に把握することは難しいが、最低でも五千は居るだろう」

「五千!」


 大きな声を出してしまった。まさか、そんなにも人数が居るとは。もし、王国国内にこの規模の反王国組織が居たら躍起になって殲滅していただろう。


「でも、なんでそんなに数を揃えられるんだ?」


 再度、質問を飛ばす。


「簡単な話さ。捕まえた帝国兵がそのまま、こっち側に来るんだ。一般兵の扱いも最近はひどいもんだからなぁ」


 帝国の内情はかなり悲惨なものになっているらしい。最早、魔操志が支配する国と言っても過言ではないだろう。彼らは反乱軍と名乗っているが、魔法を使えない者からすれば、彼らは解放軍と言った方がしっくりくるのではないだろうか。


「ちなみに、魔操志は森に現れるのか?」


 静かに聞いていたザザンが口を開いた。ニッケランはそれに強く共感していた。


「今のところ現れてはいない。まぁ、理由はなんとなく察しがついているんだがな」

「理由?」


 ミャアドは嫌なものを見るような目を見せた。


「この話したっけか? 魔操志の中にも差があるって話」

「あぁ、将軍から聞いたよ」


 ニッケランの答えに、彼は一つうなずいた。


「それで、戦場に立てるレベルの魔法が扱える魔操志ってのは上位の存在なんだよ。だから、実は数がかなり少ない。さすがに、主要都市の数よりは多いけど、多く見積もっても十五人ぐらいだな」

「そんなに少ないのか?」


 ミャアドはニッケランの質問にうなずいた。


「で、魔操志を優遇する流れは、ここ最近始まったことなんだが…その地位確立に奴らは躍起になってるのさ」

「躍起?」

「ニッケランの疑問もよくわかるよ。魔操志はいかれた連中だからな。実情を知らない人間には絶対に理解できないのさ。」


 ミャアドは続ける。


「魔操志は主要都市を占拠して、人々を奴隷扱いし始めたのさ。飯は二日に一回でパン一つ。水も満足に飲ませてくれねぇらしい…こうなれば分かるだろ? さすがに逃げ出す奴が出てくる。それを防ぐことに躍起になってるのさ」


 彼の言う通り魔操志はいかれている。同じ人間に対しそんな扱いを出来る者が人間なはずがない。ニッケランの思考は怒りと嫌悪感に満たされていった。


 すると、奥の扉が突然開いた。


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

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