草原
「ルート様に護衛するように頼まれました。以後お見知りおきを」
兵士は説明し終えると、小さく頭を下げた。
護衛されるというむず痒さを感じ、ニッケランは天幕の中に急いで入ろうとした。すると、後ろからオキタルの声が聞こえ、振り向いた。
「なにこの人たち」
「俺たちの護衛だとさ」
オキタルは驚いていたが、すこし嬉しそうな顔を見せた。貴族になった気分にでもなったのだろう。
すると、オキタルの横に立っているザザンが声を発した。
「お前たちは、ルート将軍の元へ案内できるのか?」
「お任せください」
先ほど話さなかった方の兵士が頭を下げると、ザザンはうなずいていた。
ニッケランは特に聞きたいこともなく、天幕の中へと入っていき、すぐさま寝具へ滑り込もうとした。
「お待ちください、ニッケラン様」
兵士の一人が話しかけてきた。
疲労から来る余裕のなさから怒りが湧き上がってくる。しかし、それを無理やり抑え込み、振り向いた。
「ルート様に用があると言っていましたが、よろしければ私どもで要件をお伝えしますよ?」
魅力的な回答にニッケランは唸った。しかし、今日それをして呼び出しを受けたりしたら面倒だった。
「明日。明日にしよう」
それだけを言うとニッケランは寝具に体を滑り込ませ、一つ息を吐いた。
ザザンとオキタルも同じ考えなようで、ベッドへ移動し、体を寝具へ沈めている。
一連の流れに兵士は特に何も言わず、一度頭を下げると、持ち場へと戻っていった。
兵士が天幕の外へ移動すると、中は暗闇に包まれる。
瞼の裏側を見つめ、物思いにふける。
うっすらと、瞼を照らす光が浮かび上がって来た。
「…なんだ?」
ニッケランはゆっくりと目を開ける。
気が付くと、草原に立っていた。
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