非情な現実
目が覚めると、耳元で大声を出しているオキタルと目が合った。
「なんだ?」とニッケラン。
彼はかすれた声を出している。オキタルはそれを気にする余裕がないのか、慌てた様子で話を続けた。
「早く起きてよ! ルート将軍がお呼びだよ!」
「はぁ⁉」
ニッケランの頭の中は、爆発的な衝撃にさいなまれ、眠気がどこかへと吹き飛んでしまった。
体を起こすと、すぐに顔を洗おうと外へと向かっていく。
外に出ると、昨晩、案内をしてくれた従者がすでに待っていた。
ニッケランは従者に、反射的に謝罪する。
「申し訳ございません! すぐに顔を洗ってきますので少々お待ちを…」
「いえ、急ぐ必要はございません。ルート様から『ニッケランは、まだ疲れているだろうからゆっくり参らせろ』という伝言を承っておりますので、どうぞ、ごゆっくりご準備ください」
ニッケランは少し安堵した。もし、ルートの機嫌を損ねたらどうなってしまうのか、恐ろしくてたまらなかった。
しかし、急いで支度をすることには変わりない。
近くの川で顔を洗い、新しい服へと着替えると、従者と共にルートが待っている天幕へと移動していく。
体力はほとんど回復しており、昨日の足取りと比べたら何倍もの速度で天幕へたどり着くことが出来た。
彼らは、またも天幕の外で足踏みをする。正直、この天幕に入るのは二度目だろうが緊張してしまう。
その様子を従者は不思議そうに見ていたが、ニッケランたちが動き出したのを見て、先に天幕の中へと入って行った。
「よし、入るぞ」
覚悟を決め、天幕の中へと足を踏み入れる。
外と比べると少し暗い天幕の中に目が慣れない。しかし、だんだん慣れてくると机の向こう側に、昨日と同じ順番でルートとその従者たちが椅子に腰を下ろしている。
ルートの顔が見えると、途端に緊張してしまって、これから何をすればいいのか分からなくなった。
すると、将軍も三人を認識したのか、嬉しそうに口を開いた。
「おぉ、ニッケランよ。すまないな、急に呼び出してしまって。まぁ、座ってくれ、話はそれから始めよう」
緊張で頭が回らない今、自分で考えて行動するよりかも何倍も楽な指示に従う。
それに続いて、残る二人も椅子の腰を下ろした。
ニッケランは緊張を振りほどくように質問をする。
「話したいこととは何でしょうか? 昨日の今日で、また何かが起こりましたか?」
ルートは質問を待っていたかのように笑みを浮かべ、嬉々として話始めた。
「喜べニッケランよ。お前たちの仲間であるジョンが見つかったぞ」
「本当ですか!」
心の底から力が湧き出るように感じ、思わず言葉が出てしまった。
嬉しさが内側から溢れ出てきて質問が止まらない。
「ジョンは今どこに?」
「尋問官の所だ」
耳を疑った。
打って変わって真剣な顔をしたルートが吐いた、この場に似合わない尋問官というフレーズ。これが脳みそを氷漬けにした。
「尋問官と言うのは、あの帝国兵に対して拷問まがいの事を行うという…?」
今度はザザンが話始めた。ニッケランは彼の言葉に、心までも氷漬けにされたような気分になっていく。
ルートは静かにうなずいた。
「なぜですか! ジョンは王国の者ではございませんか!」
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