夢
家の中にいるニッケランは窓から外の様子を眺めていた。外は嵐で、草原の植物たちが縦横無尽に暴れまわっている。
代り映えのしない景色に飽きて、後ろを振り向く。父が椅子に座り、机の上の愛刀を手入れしている最中だった。
(あぁ、今日は嵐だから稽古は無しか)
夢の中にもかかわらず安堵している。それだけ稽古は厳しく、苦痛なものでしかなかった。
もう一度、外の景色を眺めようと首を動かそうとした瞬間、父の後ろにある出入り口のドアが大きな音を立てて開いた。
開いたというよりは、蹴破られたの方が正しいだろう。
扉が開いた先には、マントで全身を覆い、顔を隠している者が一人。
その者のシルエットの中でひと際輝いている部分を発見し、ニッケランは視点を移す。
その者の手には、銀色に照ったサーベルのようなものが握られている。
父親の方に目をやると、すでに愛刀を握り、相手に向かって剣を向けていた。
彼はゆっくりと横へ移動していき、侵入者と何かを話している。
(なんて言っているんだ?)
夢の中だからか、それとも記憶が曖昧だからか、水の中にいるように音が籠って聞こえる。
ニッケランは聞き取ることを諦め、男の顔を注視した。しかし、これもまた同様で、黒い靄のようなものが掛かっており、一切顔を確認することは出来ない。
すると父親は少しずつ相手に歩み寄り、一気に間合いを詰めた。それに合わせるように、顔の見えない者は後ろへ一気に下がり、嵐の中へ父親と共に飛びこんでしまった。
ニッケランは事のてん末を追おうと体を動かそうとする。しかし、体が蝋人形のように固まってしまっているかと思うほど動かない。
すると、頭の中に雑音が流れ始めた。
(…なんだ?)
その音はどんどんと大きくなり、実態を帯び始め、それに比例するように夢の世界も秩序を失っていく。夢の世界はどんどんと色褪せ、視界を失う。
脳内の雑音は夢の世界を吸収していくように大きくなってゆく。
「―――ニッケラン!」
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