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赤き日  作者: 溶接作業
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子供

 部屋を出ると、オキタルは他の仲間がいる場所へ地面を叩きつけるように歩いていた。


「どいつもこいつも俺を子ども扱いしやがって」


 この基地にたどり着いたときの兵士。

 軍の女中。

 味方の傭兵。

 そして、仲間たち。


 全員が全員、子ども扱いをしてきたのだ。


 確かに、世間一般では十三歳は子供だ。

 それを自分でも理解していた。しかし理解したくない自分がいるのも確かだった。


「俺は傭兵だぞ。そこら辺のガキとは違う」


 オキタルはギシギシと歯ぎしりをしている。


 傭兵になって二年。戦ったことはあるが、殺したことは無い。

 体が成長しきれていないため、極力交戦を避けて、情報収集のみに集中するという制約を設けているからだ。


 もちろん、この制約を設けたのは彼自身ではない。仲間の中で一番傭兵として経験豊富なニッケランが設けたものであった。


「ニッケランが…あんなルール作ったから」


 オキタルは二年前の大きな戦で、帝国軍の敗残兵によって両親を殺された。

 その敗残兵に自身も殺されそうになった際に、ニッケランに助けられたのがきっかけで傭兵になったのだった。


 しかしそれ以来、帝国軍を殺したくなる衝動に駆られるようになってしまった。


 そんな姿を見かねてか、ニッケランは「十五歳というある程度体が出来上がる年齢になるまで戦うな」という制約をオキタルに課したのだった。


 オキタルは立ち止まり、力拳を作っている。


「そんな年齢まで待てるわけないだろ…」


 彼は年齢の割に物分かりの良い子供だ。

 これは両親を殺され、自力で生きていかなくてはならなくなったことが起因している。


 そんな、彼自身も敵兵を葬る難しさは痛いほど理解していた。ルールを作られる前に、何度も敵兵に戦いを挑み、殺されかけたのだから。

 しかし、そんな死を覚悟する体験をしてもなお、帝国兵を殺したくて仕方がなかった。それは何故か。


 ――まだ子供だからだ。


 いくら大人びていると言っても年齢は十三歳。

 大人と同じように我慢できるわけがない。いや、大人でも耐えられないような体験をしたのにも関わらず、ここまで我慢できたのは、彼が物分かりの良い男だからだろう。


 虚空を睨みながら言葉をすり潰す。


「次の戦では――必ず――」


 オキタルは決意を固めていた。


 ヒトを殺す決意。

 両親の仇をとる決意。

 戦う決意。


 様々な決意を固めながら、オキタルはニッケランと亡き両親の顔を思い出していた。

 自分にとって、ニッケランは実の両親のような存在。もう欠けて欲しくない存在。


 そんなニッケランが作ってくれたルールを破ると考えると胸が苦しくなる。

 しかし、オキタルは決意する。


 親のような存在のニッケランに対しての、反抗期からくる衝動なのかもしれない。しかし、もう止まることは無い。オキタルにとって帝国兵を殺すことは夢なのだから―――


最後までお付き合いいただき感謝いたします。

評価やコメントをいただけると、物語をより良くしていく大きなヒントになります。

ぜひ皆さまの声をお聞かせください!

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