剣の腕
目に熱が飛びこんでくる。まぶしく、熱く、目を開けられない。
ニッケランは地面を力一杯にけり込み、右へ飛び込む。
どんどんとその熱源が近づいてきているのか、顔が熱く、焼けているようだ。
耳元で火の粉のような音が聞こえ、熱が背中に伝わる。
次の瞬間、後ろで爆発音のようなものが聞こえ、悲鳴が上がった。
目を開け、後ろを咄嗟に振り返る。敵味方入り混じったところに着弾したようで、どちらの人間も慌てふためいている。
すると、体の左側がヒリヒリと痛んだ。腕を見てみると赤くなり、軽い火傷を起こしているようだった。
「冗談じゃねぇ…」
横を通り過ぎただけでこの威力。しかも、今の魔法と最初の大穴の時と比べると、奴はまだ本気ではなさそうだった。
突然、奴が叫んだ。
「なぜ避けた? お前は選ばれたんだぞ?」
ニッケランは歯を食いしばり、立ち上がった。そして剣を強く握り、吠える。
「覚悟しろ」
魔操志は顔を上に向け、つまらなそうに剣を構えた。
ニッケランは思いきり地を蹴り、目標に向かって駆け出した。
奴は少し驚いた顔をした。速度が思いのほか早かったからだろうか。すると、構えを変え、首を守るようにして守りに入る。
それに対し、ニッケランは飛び上がり、剣を振り上げた。
「剣ごと頭蓋を沈めてやる!」
魔操志は剣を上に構え、顔を守るようにして構えなおす。
雄叫びを上げながら、ニッケランは剣を振り下ろした。空気を切り裂く重苦しい音が鳴り響き、次には甲高い金属音が鳴った。
しかし、手には剣と剣がぶつかる重みが伝わらなかった。しかも、魔操志の頭を狙ったはずの剣は横へ動き、軌道がずれていく。
(受け流された!)
波打つ剣の流れに沿って滑り落ちていく。その様子が走馬灯のようにゆっくりと脳みそに伝わる。次の瞬間、魔操志の剣を構えなおし、剣先を自分に向ける姿が目に飛び込んできた。
反射的にニッケランは剣を顔の前へ移動させる。甲高い金属音と共に、手には衝撃が伝わった。同時に体が後ろへと吹き飛ばされる。
後方に飛ばされた後、足が地面に着いたことを確認すると、前かがみになり、吹き飛ばされた衝撃を吸収した。
ニッケランは一つ息を吐き、魔操志を睨んだ。
(魔法だけじゃなくて剣の腕もあるとは…)
奴は獲物を仕留めそこなったからか面白くなさそうに、剣を適当に揺らして遊んでいる。
彼は背中が汗で冷たくなっているのを感じた。
(魔法を打ってこないのはなぜだ? 余裕だからか? だが、相対していきなり打ってきたことを考えるとそういうわけでもなさそうだが…)
ニッケランはもう一度攻撃しようと剣を構え直す。今度は剣を下に向け、速度重視の構えを取り、走り出そうと足に力を入れた。しかし、先に動いたのは魔操志だった。
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